坂道雑文帳

乃木坂とか欅坂とか日向坂とか。 meaning.of.goodbye.0220@gmail.com

菅井友香が「真ん中」に立った日(5年間の“欅坂46”によせて)

 「そしてここで、私たちからみなさまにお伝えしたいことがあります。

  私たち欅坂46は、この5年間の歴史に幕を閉じます——」

 

 2020年7月16日、グループとして10か月ぶりのライブの場となった、無観客配信ワンマンライブ「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU !」。この日の10曲目、「ガラスを割れ!」の披露を終えた欅坂46のメンバーは、いつも以上に激しかったパフォーマンスに息を切らしながら、キャプテン・菅井友香と副キャプテン・守屋茜を先頭にして、全メンバー28人で逆三角形の陣形をとる。そして、カメラに向かって全員で深く頭を下げた。

 メンバー全員が顔を上げると、画面には菅井が大写しになる。振り乱した髪はそのままになっていた。彼女はいつも通りに観客への感謝を述べたあと、こちらをしっかりと見据えて、“欅坂46”との「前向きなお別れ」を切り出す。30万人ともいわれる観客に向けた、数分間にわたるスピーチ。菅井はひとすじだけこぼれた涙をぬぐうことなく、強いまなざしで前を見つめた。

 本稿では、この日に至るまでの菅井友香の足跡をたどることを通して、欅坂46の歴史を振り返りたい。そして、デビュー前から欅坂46を追いかけてきた筆者の、いくぶんかの個人的な思いも乗せて、彼女(たち)へ敬意をもって捧げる文章としたい。

 

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お読みいただくにあたっては、以下の点についてお含みいただきたい。
・脚注などを含めると、記事全体で10万字近くある。非常に長いが、全体の構成上どうしても複数の記事に分けたりはしたくなかった。長くて読む気が失せても、上から下までざっとスクロールしていただいて、筆者の執念のようなものだけでも感じていただければ幸いである。
・筆者は乃木坂46および日向坂46のファンでもあるため、特に比較の文脈などではこの両グループについてもそれなりに言及がある。
・一方で、坂道シリーズ以外のグループについて筆者はほとんど知識がないので、シーン全体を概観するような視点は持ち合わせていない。
・できるだけ細かいことも記録に残しておきたい(主に筆者自身のメモとして)という意図から、かなり細かく事実関係や数字などを盛り込んである。特に脚注については些末な事項も多いため、記事を読むにあたって目を通していただく必要はあまりないと思われる。
・雑誌やムックなどからの引用の際、特に書名などから年月が特定しづらいものについては発売年月日を付記している。
・深夜、日付をまたいだあとに放送されるテレビ・ラジオ番組については、原則として変わる前の日付を採用して表記している(例えば「欅って、書けない?」については、日曜日の日付を付記)。
・特に公開からしばらくの間は、修正や一部書き直しをする可能性が高い。事実関係にはかなり気をつけて書いたつもりだが、公開時点ではまだもう少し全体をファクトチェックしたいとも感じている(記述に誤りを見つけたら、お知らせいただけますと幸いです)。
・記事公開日(2020年8月6日)以降の情報については原則として追加しない(脚注レベルでの事実関係の更新にとどめ、当該部分は赤字で表記する)。

 

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・グループ結成と「サイレントマジョリティー」

 菅井友香が「鳥居坂46 1期生メンバーオーディション」に合格し、欅坂46のメンバーとなったのは、大学2年生・19歳のとき。学年でいうと渡辺梨加と並んで最年長であり、「落ちてもこれで最後だから」と臨んだオーディションだった。乗馬のほかバレエやフィギュアスケートなどを習い、踊ることも好きだったが、芸能の世界にかかわってきた人生ではなかった。

 2015年11月14・15日に開催された初のイベント「お見立て会」の握手会では人気ランキング8位と堅調な滑り出しだったが、「欅って、書けない?」で「お嬢様」ぶりが見いだされると、とたんにそれがキャラクターとなる。特にこの結成間もない時期においては、わかりやすいキャラクターがつくと強い。そこに清楚なルックスや謙虚なたたずまいもあいまってか、デビューシングル「サイレントマジョリティー」の個別握手会では平手友梨奈今泉佑唯、2015年11月に「けやき坂46ひらがなけやき)」として特例で加入した長濱ねる*1らをおさえ、メンバーでいちばんの完売速度をたたき出した。

 「サイレントマジョリティー」での立ち位置は、守屋茜とともに2列目でセンターを後ろから支えるようなポジションだった。2016年3月17日には東京国際フォーラムで「デビューカウントダウンライブ」が開催され、シングル収録曲がすべて披露された。カップリング曲「手を繋いで帰ろうか」では、ダンスのセンターポジションは平手友梨奈だったが、守屋茜とのコンビで曲中のカップルを演じ、パフォーマンスの面でもクローズアップされた。結成間もない時期の「欅坂46オールナイトニッポン」などでは、最年長として渡辺梨加が仕切り役を任されることもあったが、この頃までにはその役割は菅井に移り、「デビューカウントダウンライブ」の段階ですでに、イベント後半のMCで仕切り役を任されていた。

 そうしたなかで4月6日に発売された「サイレントマジョリティー」は、発売前のMV公開段階から反響を呼んでいたが、迎えた発売日には次々に売り切れを起こすなどして大きく話題をさらった。音楽番組への出演もデビューを控えた時期から続いたが、なかでも潮目が変わったと筆者が記憶しているのが4月22日の「ミュージックステーション」への出演である。軍服風の衣装をまとった少女たちが大人への反抗を歌うさまは世間に衝撃を与え、14歳の平手友梨奈は「センターの子」としてTwitterでトレンド入り。欅坂46は鮮烈なデビューを飾ることができたと称していいだろう。

 

・キャプテン就任前夜、大きくなるグループのなかで

 そこからは途端にめまぐるしくなる。1stシングルの発売前から、メンバーはすでにグループとしての初主演ドラマ「徳山大五郎を誰が殺したか?」(2016年7月16日-10月1日放送)に向けての準備を始めていた。6月26日には「欅って、書けない?」#37にて2ndシングル「世界には愛しかない」の選抜発表が行われ、長濱ねるの漢字欅との兼任が発表される*2。ここで正式に、長濱を含めた21人が“欅坂46”となった。また、それに先だって5月8日にはひらがなけやきに11人の1期生メンバーが加入。発売されたシングルには、長濱と彼女らをあわせた12人がひらがなけやきとして歌唱した初の楽曲「ひらがなけやき」も収録された。菅井はこのシングルの全国握手会のミニライブでMCでのひらがなけやきメンバーの自己紹介の仕切りを担い、彼女らを先頭に立って迎える立場ともなった。また、カップリング曲「青空が違う」では、菅井は5人組のユニット(のちに「青空とMARRY」と名づけられる)のセンターに。青空とMARRYには最終的に、この楽曲を含めて計4曲をあてがわれることになり、平手が前面に出る表題曲とは異なる独自の存在感や人気を獲得していくことになる。

 グループとしては平手の圧倒的な存在感のもとにあったものの、菅井もラジオ番組へのゲスト出演など、メンバーを代表して活動する機会も増えつつあった。7月18日の「FNSうたの夏まつり」では、一夜限りの「48&46ドリームチーム」*3のメンバーとして(放送時間の都合で平手が出られないという事情はあったが)守屋とともに選抜され、先輩グループの曲をおさえて視聴者投票で選ばれた「サイレントマジョリティー」を披露した。これはセンターポジションに立った乃木坂46生駒里奈の姿から「イコマジョリティー」とも称され、大きな話題を呼ぶことになる。

 グループはほかにも夏の音楽イベント*4やハロウィンのライブイベント*5などに次々と出演し、露出を増やしていく。「笑わない」というイメージをつけられることも多かった時期だと記憶するが、一方でファンとしてはメンバーの笑顔を見られる機会も増えていた。そして3rdシングル「二人セゾン」の発売を控えたタイミングで、大きな発表が立て続けになされる。「COUNTDOWN JAPAN 16/17」への出演。有明コロシアムでの初ワンマンライブ*6の開催。そして、「第67回NHK紅白歌合戦」への出場である。ほか、年末にかけて多くの音楽番組への出演も続いた。駆け抜けるようにして2016年が終わっていく。

 そんな状況にあって放たれたのが、初ワンマンライブの最終公演(12月25日)、アンコールでの菅井のMCだった。「大人は信じてくれない」と、平手の「有明コロシアム、かかってこい」のかけ声で始まったこのライブ。リリース済みの19曲をすべて繰り出しつつ、表題曲3曲を最後にもってきて「サイレントマジョリティー」で締めたセットリストに、会場のボルテージは最高潮だった。メンバーとともにステージに戻ってきた菅井は、「大先輩方の恩恵を受けて、身の丈に合ってないって言われても仕方がないような、とても大きいステージに立たせていただいて」「その大きなステージに出させていただくたびに、私たちのファンの方っていらっしゃるのかなって幕の中で心配してたりしたんですけど、そのたびにみなさんが緑のペンライト持って私たちを見守ってくださっていて」「正直、私たち欅坂46はまだまだ未熟で、これからどんどん頑張って、いつも笑顔をくださるみなさんに恩返しができるよう、また頑張っていきたい」とまっすぐに語り、各方面への感謝の言葉を何度も重ねる。涙するメンバーも多かったなかで、彼女はその誰よりも大粒の涙をこぼしていた。この日の菅井は、ライブ中盤の「キミガイナイ」の曲中でも涙するなど、ずっと感極まっていたようにも見えた。

 初ワンマンライブを成功させたあともメンバーは緩むことなく走り続け、「紅白歌合戦」では初めての(そして、これで最後となる)、長濱ねるを含めた“21人”での「サイレントマジョリティー」を披露する。振り付けは奇跡みたいに揃っていて、筆者はいまでも、“21人”であることを差し引いてさえ、このときが最高の「サイレントマジョリティー」だったと思っている。デビューから9か月間を全力で駆け抜けた彼女たちの姿はあまりにも整ったストーリーであり、その余韻をじゅうぶんに残して欅坂46の2016年は幕を閉じた。

 

・「満を持して」のキャプテン就任

 年は明けて2017年1月21日。この日に幕張メッセで開催された全国握手会のミニライブで、菅井友香がキャプテン、守屋茜が副キャプテンに就任することが発表された。欅坂46漢字欅)としては珍しく、メンバーに対してもサプライズの形で発表された(これ以外に例がないのではないか)が、副キャプテンという役職を置くことへの驚きが少しあったくらいで、おおむねすんなり受け入れられていたと記憶する。筆者にしてみれば、「満を持して」という感じすらあった。「平手の負担軽減になる」という評価もあったように思う。

 そのときは、そのくらいの話だった。しかし結果的にみれば、菅井にとってキャプテンへの就任は大きな転換点となったといえるのかもしれない。2017年、欅坂46は自らが起こした大きなうねりに飲み込まれていく。

 ここで時計の針を少し戻したい。2016年夏の「イコマジョリティー」である。「サイレントマジョリティー」のセンターに立った乃木坂46生駒里奈は、のちにインタビューで「『この曲は今の私じゃもう当てはまらないな』とも思いました。(『BRODY』2016年10月号 p.56)と語った。そしてその理由を尋ねられ、こう続ける。

「大人に支配されるな」は10代の子が歌うからこそ、あんなにキマるんだと思うんです。欅坂46がやる『サイレントマジョリティー』はレジスタンスなんですよ。でも、私たちは「過去にレジスタンスだった人たち」にしか見えない。……(中略)……私はもう反乱軍にはなれないんです。

(『BRODY』2016年10月号 p.56)

 このとき、生駒はちょうど20歳(この年に21歳になる)。もう少し歳があがってからならまだしも、まだ20歳でこの発言はなかなかシビアなものがある。そして菅井はその生駒と同じ、1995年生まれの当時20歳。むろん、年齢がすべてではない。それぞれに過ごしてきた人生の時間は異なる。また、生駒には5年にわたって積み重ねてきた濃密なキャリアがあるし、菅井にも菅井なりの積み重ねがある。しかしそれでも、この発言が示唆するものは重い。レジスタンスとしての欅坂46が表現するものが「平手的なもの」とするならば、菅井がもつ「菅井的なもの」は確実にそれとは異なるということになる。青空とMARRYの楽曲はその一端だったのかもしれないし、キャプテンに任命されたのも「菅井的なもの」を必要とされる局面が確実にあるということ(もしくは、そのような局面が肩書きによってつくりだされるということ)なのだろう。

 「平手的なもの」の典型的な楽曲が「サイレントマジョリティー」であったとするならば、その系譜にはおそらく「語るなら未来を…」「大人は信じてくれない」が連なる。そしてその先には、2017年4月5日リリースの4thシングル表題曲「不協和音」があった。

 

 蛇足になるかもしれないが、もう少し付け加えておくと、このときの生駒は平手についてこのように語ってもいる。

あと、みんな平手ちゃんのことを「天才」っていうのは良くない! たしかにあの子は天才かもしれないよ。でも、それは言っちゃダメ。平手ちゃんだって絶対に気にするだろうし、もしも手のひらを返すようなことが起きたときに傷つくのは彼女なんだから。だからあんまり言いすぎないであげて欲しいです。

(『BRODY』2016年10月号 p.56-57)

 生駒が鳴らした警鐘を正しく受け止めることができた人間が、どれだけいただろうかと考える。もう遅いのかもしれないが、生駒のような人物の声が、平手の救いとなっていればいいと願うほかない。

 

・「不協和音」とグループの変調

 「不協和音」に話を戻す。筆者のこの楽曲への第一印象は「表題曲でもう一度、この路線でいくのか」というものであった。確かに「語るなら未来を…」「大人は信じてくれない」といった楽曲はあったが、表題曲である「世界には愛しかない」「二人セゾン」はそれと異なる明るい曲調であり、レジスタンスではない欅坂46がそこにはあったし、それは「サイレントマジョリティー」のイメージが強かったとはいえ、「平手的なもの」にもこの頃までは揺らぎがあったということでもある。しかし表題曲として「不協和音」があてがわれたことで、「平手的なもの」がこれと確定したようなイメージを筆者はもっている。

 この曲を含めた4thシングル収録曲*7は、発売日の翌日である2017年4月6日に国立代々木競技場第一体育館で開催された「欅坂46デビュー1周年記念ライブ」*8でパフォーマンスが初披露されることになる。このライブはデビューシングルからの全曲をリリース順に披露する形のセットリストがとられ、アンコールを含めて26曲をフル尺で披露する*9というハードなものであった。「不協和音」は、本編最後の25曲目。激しいパフォーマンスを終え、息も絶え絶えといった感じで終演の挨拶をした菅井の姿をよく覚えている。

 デビューからの1年間の歴史と彼女らの成長を振り返ることができ、筆者としては満足感のあるライブだったが、ここを境にグループの変調が始まる。ライブから間もない2017年4月13日、今泉佑唯が体調不良により休養、活動を休止することがアナウンスされる。シングルのリリースを受けて音楽番組への出演が続く時期であったが、今泉のポジションは詰めることなくあえて空けられた状態で披露されていたことが、美談として語られることも多かった。

 また、「全曲・リリース順」のセットリストが楽曲どうしのつながりやストーリーを欠くため平手にとって抵抗感があり、パフォーマンスに困難があったという話もあった。このことが発端となって平手のアイデアがライブの演出に大きく取り入れられることになり、「欅共和国」の構想にもつながっていく。少し後の時期になって、平手はこのことについて以下のように語っている。

●自分からアイデアを出していきたいと思ったきっかけはあったのかな。

「アニバーサリーライヴが今年の4月にあったんですけど、それのセトリを聞いたときに号泣してしまって。納得がいかなくて(笑)。だから、そこがきっかけかもしれないです。『やるんだったら、自分もアイデアを出したい』っていう思いがあって、富士急からですよね。アルバム制作でも一緒に意見を出させてもらったんですが、めっちゃ大変でした(笑)」

(『ロッキング・オン・ジャパン』2017年12月号 別冊p.30)

欅坂46の曲って、それぞれストーリーがあって全部繋がってるって思うんですけど、セットリストに、そのストーリーのつながりが見えないと、切り替えができないんです。

(『street Jack』2017年12月号 p.44)

 その平手が思うように声を出せなくなったのもこれに近い時期である。2017年5月13日にポートメッセなごやで開催された全国握手会で「喉を痛めて声が出せない」というアナウンスがあったのが始まりで、この事態は約1か月続く。歌唱がしづらいとか、握手会では無理をしないとかそういうレベルの話ではなかったようで、レギュラーのラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」への出演はスマートフォンの音声読み上げで行い(日常生活でも同様だったという)、ドラマ「残酷な観客達」は途中から平手だけ吹き替えとなった。

 

・試練の夏、キャプテンとして

 2017年4月にはそのほかに、NHK-FM「はんにゃ金田と欅坂46のゆうがたパラダイス」のスタートと、菅井の文化放送レコメン!」月曜日ダブルパーソナリティへの就任があった(ともに2017年4月3日)。「ゆうがたパラダイス」では毎週2人の登場メンバーを掘り下げるばかりでなく、ライブをはじめとする各種イベントについて大きく取りあげて裏側が語られることにもなり、また「レコメン!」はそのときどきの欅坂46について菅井が言及してファンにメッセージを送る場ともなった。

 生放送で毎週声を届けられることはファンとの距離を確実に縮めたが、ときに菅井にとって試練にもなった。新ドラマの撮影中であることを情報解禁前に漏らしてしまったのはご愛敬であったが、そんな矢先の2017年6月24日に起きたのが、幕張メッセでの全国握手会会場(平手友梨奈・柿崎芽美レーン)に発煙筒が投げ込まれた事件である。翌々日の放送で菅井は「このたびは欅坂46の握手会でみなさまにご心配をおかけしてしまって、申し訳ございませんでした」と話した。菅井はこの頃から、欅坂46のスポークスパーソンの色を強くしていく。それはすべて必ずしもキャプテンの仕事というわけではないと思うが、一定の肩書きがあり、メディアを持つ者の宿命であったかもしれない。あるいは平手が徐々にメンバーやグループについて雄弁に語らなくなり、むしろ口をつぐんで姿勢だけで語るようになっていったという事情もあったように思う。

実はこうやって任命して頂くまでは、発言することに対してちょっと躊躇があったんですけど、今はこのキャプテンという名称が背中を押してくれるというか。

(『別冊カドカワDirecT 05』〈2017年3月23日発売〉p.62)

 2017年7月19日には1stアルバム「真っ白なものは汚したくなる」が発売され、7月22・23日には富士急ハイランド・コニファーフォレストで「欅共和国2017」が開催された。おおかたの予想を裏切り、アルバム曲が披露されることはほぼなかったが(2日目ダブルアンコールで「危なっかしい計画」のみ披露)、「共和国」をコンセプトとして統一された世界観や水を使った演出で、初の野外ワンマンライブとして大成功をおさめた。後日ソフト化されたのは2日目の模様であったが、筆者は1日目に菅井が「(漢字欅ひらがなけやきを合わせた)32人で、共和国のように頑張っていきます」と繰り返していたことをよく覚えている。さあ、ライブの夏が始まる。初の全国アリーナツアー「真っ白なものは汚したくなる」への期待は、いやがうえにも高まっていた。

 8月2日の神戸ワールド記念ホール公演でスタートしたツアーは、しかしグループにとって試練の時間となった。神戸での2公演を、平手が「体調不良」のため終盤で途中退場する。公演は重ねられていくが、8月16日の愛知・日本ガイシホール公演(1日目)では全編を欠席。 グループは欠けたセンターポジションを埋めることができず、フォーメーションの中心が空いた状態でのパフォーマンスとなるという非常事態であった。菅井はこの公演について、後年こう振り返っている。

あの日のことは記憶に焼き付いていて、いまだによく覚えています。センターがいない『サイレントマジョリティー』。モーセ(メンバーが左右に分かれて道を作り、その間を平手が歩く振り付け)の真ん中を誰も歩かないのにポーズをとっている自分たちが、すごく虚しくて、 悔しくて、それをどうすることもできなかった自分が情けなくて。

(『BRODY』2018年8月号 p.20)

 8月22日のゼビオアリーナ仙台公演(1日目)でも、最終盤に平手は途中退場。間違いなく難局であったこのツアーでは、アンコールのMCで菅井が強いメッセージを送る場面が各公演に設けられてもいた。すでに非常事態であった初演では「私たちはこの夏絶対に成長してみせます」と高らかに宣言し、センター不在のライブを完走した愛知・日本ガイシホール公演(1日目)では「ここにいないメンバーが帰ってくるまで私たちは坂を上り続ける」と決意を表明。公演の合間に出演した「レコメン!」(8月7日)でも、グループのおかれた状況を端的に「ピンチ」と表現し、「こういうときこそチームの団結力が試される」「みんなで乗り越えたい」と踏み込んだ発言をした。

 しかし一方で、このツアーを終えた直後、彼女はこうも語っている。あまりにも率直な表現であり、これもひとつの現実として、受け入れなければならないのだろう。

今までのライブでは少しは達成感を感じられたんですけど、今回のツアーは本当に達成感がなくて。たぶん個人的には成功したと思えないからなのかな……

(『BUBKA』2017年11月号 p.9)

  

・「センター」と「キャプテン」の距離

 このような出来事を通して、筆者はこの2017年夏に、欅坂46における「センター」と「キャプテン」の位置関係や距離感が定まり、それが後年まで続いていったという印象をもっている。シングルで区切るならこの時期は4thシングル「不協和音」にあたるが、このシングルで初めてフロントに立ち、平手の隣というポジションを与えられた菅井は、キャプテンという立場もあり、新たな苦難に直面する。約3年後、平手がグループを脱退したあとになって、菅井はこの時期をこう振り返っている。

——菅井さんは、もともと“不協和音”では平手さんの隣のポジションですけど、彼女は目を合わせてくれなかったそうですね。

「はい。私はてちを引っ張って振り払われたりするんですけど、彼女はすごく役に入り切っちゃうので、この曲の時期とかは、声をかけても反応してもらえなかったり、力になりたいと思ったのが裏目に出てしまったりすることが増えて、『難しいな』と感じることが多かったです。『もしかしたらあまり近づかないほうがいいのかもしれない』と思う時期もありましたね」

(『CUT』2020年4月号 p.80)

 そしてキャプテンという立ち位置について、こう続けた。

——彼女が、自分をそういう状態に追い込んでパフォーマンスをすることを、どのように思っていました?

「人格を変えてしまうくらいに作品にのめり込むことができる人に出会ったことがなかったので、すごいと思っていましたし、尊敬していましたけど、キャプテンという立ち位置では、それだけではいられないというか。もっとグループとしての見られ方という点で調和をとりたかったですけど、そうすることの難しさを感じる瞬間も、正直なところ多かったです」

 (『CUT』2020年4月号 p.80)

 名実ともに、平手友梨奈欅坂46の「真ん中」であった。この2017年夏の葛藤を経て、 メンバーは平手の後ろに立つだけではなく、自分たちひとりひとりができることを模索していくことにもなるし、後述する「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」を控えた時期からは、平手不在の際にセンターポジションを埋められるグループにもなった。しかし、グループが平手から離れようとしていたのかというと、決してそうではない。夏を終えたあと、齋藤冬優花が「平手がいないとだめなんです。」とブログで振り返ったことを思い出す。そこには平手が欅坂46の世界を先頭で切り拓いてきた、たぐいまれなる「センター」であるということと同時に、グループという場所をともに形づくってきた、かけがえのないひとりの仲間、「メンバー」であるという意味も込められていたように思う。

 「人格を変えてしまうくらいに作品にのめり込む」センターを、あくまでひとりの「メンバー」としても扱い、支えることで、グループという輪のなかで守るのがキャプテンという立ち位置である。少なくとも、欅坂46というグループではそうだった。そのとき菅井友香は「真ん中」にいたわけでもなければ、それを目指していたわけでもない。もともと、そういうタイプではない。

背中で語るリーダーより、肩越しで寄り添うリーダーでありたい。欅坂46でも、自分から来れない子もいると思うし、そんなときは私から距離を縮めていきたいです。

(『CM NOW』2020年5-6月号 p.27) 

——好きな数字は?

2! 昔から2番手として、誰かを支えるポジションが多かったからかも。

(『CM NOW』2020年5-6月号 p.29)

 欅坂46欅坂46であり続けていくことを求め、平手を中心とするすべてが「平手的なもの」を純化していく一方で、そうした「菅井的なもの」も膨れ上がっていく。「平手的なもの」が称揚されるとき「菅井的なもの」はノイズとなるが、「平手的なもの」が批判されるときは「菅井的なもの」がそれを守るための避雷針になるという構造がある。

 誤解を生むことを恐れながらこの表現を使うが、「平手的なもの」が純化され、楽曲の世界を伝えることに人格が投入されて戦いが繰り広げられるとき、グループという形を整え、理想と現実のあいだを埋めようとする「菅井的なもの」は嘘ですらある。もう少し正確にいえば、「菅井的なもの」には、「嘘だ」という誹りが容赦なく向けられる。振り幅や変化が大きいグループにあって、懸命に「現在」を語ることは、発信されるべき重要なメッセージである一方、一瞬で容易に「嘘」になりうる。そこで「嘘」と「真実」は、ほとんど見分けられないくらいに重なりあっている。

●平手さんはまともすぎるのかもしれないですけどね。

「まともですか? でも、ツアーを通して『絶対に嘘をつかない』とは思ってました。だから(ツアーの)名古屋を休んだ時も私の気持ちを言いたかった。……(後略)」

(『ロッキング・オン・ジャパン』2017年12月号 別冊p.37)

 平手友梨奈のカリスマ性によって欅坂46がアイデンティファイされてきたことは認めなければならず、しかし菅井友香がグループをグループとして守り続けてきたことを忘れてはならないし、忘れたくないと思う。

 話は戻って、2017年8月30日。迎えた全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」千秋楽、幕張メッセ公演。菅井は欅坂46の世界観のなかに自らの身を置きながら、休養期間から復帰して「夏の花は向日葵だけじゃない」を歌い上げた今泉佑唯をあたたかく迎え入れ、MCでは感謝と決意を改めて伝え、「ありがとうございました!」と公演をまとめる。それがキャプテンのあり方である。

 しかしそれまでの10公演と異なり、そこで会場は明転しない。アンコールのかけ声がふたたび鳴り響く。フラフラの状態で平手がひとりステージに立ち、炎のなかで「一人きりで地獄へ落ちろ!」と歌い上げる(「自分の棺」)。曲が明けて登場したメンバーは、汚された真っ白な衣装を破りあい、灰まみれになる。響き渡る銃声、血みどろの平手。異常な熱狂が轟く客席にぶつけられる、苦闘の象徴「不協和音」。狂気すらはらんだ「僕は嫌だ」を叩きつけ、スクリーンに「The End」*10の文字だけを残して欅坂46は無言でステージを去る。

 「嘘」と「真実」がないまぜになり、いくえにも重なりあった千秋楽のステージ。あの夏の“欅坂46”が、そこにいた。

 

・果たされなかった3つ目の約束

 怒濤の夏を終えた欅坂46は、少し落ち着きを取り戻したように見えた。ひらがなけやき2期生の合流が始まるが、ひらがなけやきの活動拡大や長濱ねるの兼任解除もあり、漢字欅にとっては少し遠い話題として存在していたようにも思う。5thシングル「風に吹かれても」(2017年10月25日発売)の制作が始まり、菅井は今回もフロントに立つことになる。「That's the way(そんなもんさ)」と繰り返され、「人生は風まかせ」とポジティブなメッセージが送られるこの曲は、メンバーの笑顔を前面に出した新たなイメージでパフォーマンスされた。

 このシングルでの音楽番組出演の合間をぬうように、2017年11月後半の時期、22歳になる11月29日の誕生日の直前に、菅井はフランス・パリへ1st写真集『フィアンセ』の撮影に赴いている(発売は2018年6月5日)。翌12月の半ばには大学の卒業論文を提出。「これで年末に向けて心置き無く頑張れるぞー!!」とブログに綴った。

 大学卒業の確定は翌年3月まで待つことになるが、ここでこの話題に触れておきたい。菅井にとって、大学卒業は必ず乗り越えなければならない壁だった。彼女はグループへの加入の条件として、オーディション合格後に「大学を4年で卒業すること」「馬術部を最後まで続けること」を両親に約束している。グループの活動とこれらの両立は当然のことながら難しい。欅坂46の学生メンバーは比較的グループ活動と学業を両立させることに成功している印象があるが、他グループなどにも目を向けてみると大学卒業に至らなかった例をいくつも思いつくし、そもそも両立が困難なため大学進学を諦めている例も多くあるだろう。菅井は比較的稼働の多いメンバーでもある。4年での大学卒業を果たしたことについては、後年に彼女は幸運もあったと振り返っている。

——活動が始まってからしばらくの間は、大学生でしたよね。

「はい。大学2年生の時に欅坂46に入ったので、『大学1年生の時に単位を取れるだけ取っておいてよかったなあ』って、過去の自分に感謝しました(笑)。両立させていくということに関しては両親も心配させていて、大学を4年で卒業することと、入っていた馬術部を続けることを約束していたので、それはちゃんと守りたいと思っていました」

(『CUT』2020年4月号 p.79)

 また馬術部に関しても、ライダーからマネージャーに転じはしたものの、グループの活動と並行して裏方の仕事をするという形で、最後までやり通している。

「馬房の掃除や見回りの担当を決めるんです。部員全員に連絡して、予定を聞いて、シフト表を埋めて。……(中略)……去年の夏のツアー中も、ホテルで一緒になったメンバーに『ごめんね、ちょっと電気点けるね』って言って、夜中にシフトを組んだりしてました」

(『フィアンセ』菅井友香ロングインタビュー)

 この両親との約束については、前掲の『CUT』2020年4月号のほか、『Top Yell NEO 2017〜2018』(2017年12月28日発売)や『BUBKA』2019年2月号などでも繰り返し語られているエピソードである。しかしここでひとつ付け加えるとすると、このエピソードには、本当は続きがある。『フィアンセ』のロングインタビューによれば、両親との約束は3つあった。

——ご両親には言っていたんですか?

「最終審査の前日まで一切言っていませんでした(笑)。……(中略)……でも、父に電話で伝えたら、けっこう微妙な反応で‥‥。①4年で大学を卒業する、②馬術部を辞めずにやり通す、③就職活動をする、という3つを条件に、『本当にやりたいんだったら後悔しないようにやりなさい』とは言ってもらえました」

(『フィアンセ』菅井友香ロングインタビュー)

 3つ目の約束がどうなったかについては、言うまでもない。『フィアンセ』でも、この点についてはこれ以上何も語られていることはない。 菅井の学年だと、就職活動が本格的に動き出したのは2017年3月。「不協和音」のMVを撮影したのがその頃だ。「欅坂46に就職した」なんて言い方はあまりクールじゃないが、それからの彼女の足跡を追うならば、そのような形となったと言えるのだと思う。2017年の夏を終えた段階で、菅井はこう語ってもいる。

「みんなが就活してるときに、ちょっと焦りや迷いが生まれちゃった時があったんです。でも今は、私はこの道に進むんだって決意ができたし、欅坂に骨を埋める覚悟を持っています」

(『BUBKA』2017年11月号 p.11) 

 

・苦しみ抜いた2017年の終わりは

 さて、時計の針を2017年冬に戻したい。10月25日のシングル発売にともなう各音楽番組への出演の時期は、11月中旬より始まった年末恒例の音楽特番ラッシュにシームレスにつながった。特番への出演に際しても、徹底して「風に吹かれても」がパフォーマンスされ続けた。最新シングルであるからして当然と言ってしまうこともできるのだが、筆者にはこの年にリリースしたもう1枚のシングルである「不協和音」のパフォーマンスをていねいに避けているようにも見えた。事実、12月28日に出演した「COUNTDOWN JAPAN 17/18」においても、セットリストに「不協和音」は含まれなかった(表題曲は「風に吹かれても」のみで、その他はこの日初パフォーマンスとなった「避雷針」をはじめ、ハードめのカップリング曲・アルバム曲で固められた「攻めた」セットリストでもあったのだが)。

 2016年末の音楽特番では、「二人セゾン」と「サイレントマジョリティー」が使い分けられていたし、別に1曲に統一して回らなければならないわけではないだろう。「不協和音」のほうがインパクトとしては大きい楽曲だったと評価することもできようものだし、番組側からのリクエストもあったかもしれない。あるいは「サイレントマジョリティー」のリクエストだってあっておかしくない。しかしそれでも、選ばれたのは「風に吹かれても」だった。「第59回日本レコード大賞」のノミネート曲が、「不協和音」から「風に吹かれても」に差し替えられたという噂さえあった。

 そうして披露された10回以上の「風に吹かれても」にあって、特に特番の時期以降、平手に「調子の波」がみられるようになった。「欅坂46が笑う」ことがフックとなっていたはずのパフォーマンスで、平手が表情を曇らせることが重なる。「FNS歌謡祭 第1夜」(12月6日)で平井堅とのコラボレーションで披露した「ノンフィクション」の世界にのめり込んでしまっているのではないかという声があり、「第68回NHK紅白歌合戦」での「不協和音」のパフォーマンスに向けてその世界のなかにいるのではないかという声もあった。

 そのなかで特に記憶に刻まれているのは、「FNS歌謡祭 第2夜」(12月13日)の「風に吹かれても」である。この日は平手ばかりでなく全員が笑顔を封印してのパフォーマンスで、見るからに普段と違う、はっきり言ってしまえば異常な状態だった。直後、「今日の『風に吹かれても』はクールバージョン」という説明が菅井、守屋ら多くのメンバーから発信される。筆者としては、平手の状態をふまえた上での、メンバー発信による苦肉の策だったのではないかと推測した。しかし曲調と明らかにミスマッチであったし、それもあってクールというより暗い印象を与えてしまっていたように思う。結局、「クールバージョン」はこの日限りで封印されることになる。

 そしてもう1点、これも特番の時期以降、音楽番組において今泉佑唯の欠席が続いていた。握手会には参加していたし、頻繁にブログを更新してもいたが、欠席への言及は特になかった。2017年4月から8月の活動休止に関連して、耳の状態が悪いことが明かされてもいたため、体調を心配する声も多かった。そのようななかで12月28日にようやく、「年末の活動に向けて治療を続けてまいりましたが、医師の判断により年内の活動をお休みさせていただいただく事になりました。」と、公式サイトで休養が正式にアナウンスされる。「紅白歌合戦」への参加の線も消え、全員での「不協和音」のパフォーマンスもかなわないことになった*11

 20人で迎えた「紅白歌合戦」。TVサイズよりさらに短縮しての「サイレントマジョリティー」だった前年とは異なり、TVサイズに間奏を足しての「不協和音」が演じられ、1年間のグループの成長が思われた。平手も続いていた不調を感じさせず、グループとして完成度の高い迫力あるパフォーマンスを見せた。そしてさらに、総合司会の内村光良とのコラボレーションの形で、サプライズで異例の「二度目」が披露される。しかし、ここで事件は起こった。わずか約30分前に披露した一度目の「不協和音」による消耗が相当だったか、最初から平手が明らかにフラフラの状態。クライマックスの三角の陣形をとったところで昏倒する鈴本美愉をカメラがはっきりと捉える。画面には映らなかったが、パフォーマンス終了後に志田愛佳も倒れた。過呼吸ということで大事には至らなかったが、悪い形で大衆の話題となってしまう。「不協和音」という楽曲のパワーを改めて見せつけられた格好ともなった。

 手負いの状態で駆け抜けてきた欅坂46。まさかの幕切れで、2017年が終わる。

  

日本武道館公演と“21人の欅坂46

 迎えた2018年。菅井は「紅白歌合戦」について、ブログで「色々とご心配、ご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ございませんでした。」と言及するところからのスタートとなったが、1月8日放送の「レコメン!」によれば「お休みいただいて、みんなで家族でゆっくり過ごして、ご飯に行ったりとか、初詣も行きましたね」とのことであり、いくぶん休息の時間もとれたようであった。しかしこれ以後、グループとしては急転直下の展開が続くことになる。

 元日の段階で、1月30日-2月1日の3日間の日本武道館公演の開催がアナウンスされていた。1月7日にはその詳細が公開され、1月30日はひらがなけやきの単独公演、1月31日・2月1日は漢字欅の単独公演となることが発表され、チケットの先行受付が始まる。菅井も1月8日の「レコメン!」で、2018年の展望として「1月の末にライブが控えていて、日本武道館で初めてライブをやらせていただけることになったので、それを成功させて、まずいいスタートが切れるようにできたらなって思います」と語っていた。

 しかしその週末、1月13日。平手友梨奈のけが*12により万全のパフォーマンスが困難であるとして、漢字欅による1月31日・2月1日の公演をひらがなけやきの公演に振り替えることが発表される。平手のけがは、「紅白歌合戦」において「不協和音」Cメロで倒れ込む振り付けの際に生じたのではないかとも推測がなされることもあった*13。アーティストにとって夢の舞台である日本武道館公演は、ひらがなけやきにとっての挑戦と試練の場となり、彼女たちのその後の飛躍につながっていくが、漢字欅にとっては悔しい時間にもなった。

 週が明けた1月15日、菅井は土生瑞穂とともに「はんにゃ金田と欅坂46のゆうがたパラダイス」に出演する。この回の出演メンバーの発表はその1月13日のことで、2017年4月の番組リニューアル以降、菅井にとって初めての出演でもあった。番組冒頭、日本武道館公演について水を向けられた菅井は、「楽しみにしてくださっていたみなさまには本当に……(中略)……申し訳ございませんでした」とメンバーを代表して謝罪の言葉を口にするとともに、「また次に、全員でね、武道館じゃなくても、どこかステージに立てる日を目指して、ひとまわり大きくなってまたみなさまに楽しんでいただけるライブができるようになりたいと思っていますので、ぜひその日を楽しみにしていただきたいと思います」と前を向いた。

 「また次に、全員で」。菅井はさらりとそう口にした。欅坂46は長く、“21人全員”ということに強くこだわってきた歴史をもつグループである。それは選抜制がとられず全員でまとまって戦ってきたということであり、あるいは長濱ねるが遅れて合流したことも、“21人”という数字を特別なものにした。一方で「次は“21人”でなくなるかもしれない」という刹那的な思いもそこにはあった。「語るなら未来を…」のMV撮影についてインタビューを受けた齋藤冬優花が、かつてこのように語っている。

「(前略)……それで、『今は全員でいろいろなことをさせてもらっているけど、もしかしたら21人で撮る最後のMVになるかもしれないから、悔いのないようにやろうよ』って、私の思いを伝えたんですね。みんなも心の中では同じように感じていたみたいで、後悔しないようにという気持ちで一つになれた気がします」

(『blt graph.』 2016年8月号)

 “21人全員”ということについては、「不協和音」のリリースに向かっていく時期に、菅井がこのように語ってもいる(いまにしてみると、非常にイノセントなコメントであるようにも思える)。

欅坂46はシングルの選抜メンバーもそうですし、ドラマや冠番組もそうですけど、ねるを含めて21人全員で活動することが多くて。全員でひとつのものをつくることで、自然とみんなで話す機会も多くなった。選抜にしてもフォーメーションでひとり抜けちゃうと違うものになってしまう。「全員で欅坂46」という考え方は、そうやって自然と出来上がっていったのかなと思います。そこに関しては、これからも変わりたくないですね。

(『別冊カドカワDirecT 05』〈2017年3月23日発売〉p.62)

 「第67回NHK紅白歌合戦」では長濱を加えた“21人”での「サイレントマジョリティー」があった。今泉佑唯が抜けた20人での「不協和音」は、“21人”への思いを改めて強くした。全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」では、平手が欠けた愛知・日本ガイシホール公演があり、“21人”が揃った幕張メッセ公演があった。「また次に、全員で」。メンバーもファンも、多くは同じような気持ちだっただろう。 

 それをふまえて事実として書き残しておくが、これ以降、“21人”が揃ってパフォーマンスしたことは、なかった*14

 

・「平手のいない欅坂46」の模索

 2018年1月に時間を戻す。日本武道館公演の中止について、菅井はブログでこのように語ってもいる。

このままではいつまでも平手ちゃんにばかり負担がかかってしまうし、
グループとしても前に進めないのではないか。

夢の武道館
出られるみんなで力を合わせて責任感を持って
今出来る全てでぶつかってみたい。
折角頂けた大きなチャンス。

でも、時間もない。。。


スタッフさんの冷静な視点での意見を聞いて納得できました。

今の私達は武道館に立つべきではなかったのかもしれません。

そう 受け入れなければ。。

菅井友香公式ブログ 2018年1月16日「前に進むために」 

 平手を欠いた状態でライブを行うという選択肢もあったということがここからは読み取れる。しかし、準備期間は1か月をとうに切っている。ひらがなけやき時代に経験のある長濱ねるを除いて、センターというポジション立つことすら、一度も経験のないメンバーたち。「今の私達は武道館に立つべきではなかったのかもしれません。」という言葉はあまりにも重いが、それがグループの現実だったのだろう。

 これに前後して、菅井の身にはもうひとつ、苦しい出来事が起こっている。

Q:ついに今年1月、平手さんはグループを脱退されましたね。
実は最初に私が、てちから「グループを辞めたい」という想いを聞いたのは、「不協和音」を歌った2017年の紅白(歌合戦)の後ぐらいです。これまで、ずっとセンターを務めてくれたこともあり、そのときの私は「欅から、てちがいなくなるなんて嫌だ」「やっぱり一緒に欅をやりたい」という、どこか彼女にすがるような気持ちでした。でも、今考えるとそんな甘えた気持ちが、彼女をさらに苦しめたのかもしれない……とも思えるんです。

シネマトゥデイ『僕たちの嘘と真実 DOCUMENTARY of 欅坂46』菅井友香 単独インタビュー」〈2020年3月26日公開〉)

 後年になって明かされたエピソードだが、非常に重い出来事である。こうしたこともあって、平手を欠いた状態でもパフォーマンスを行うことが、切迫した問題として検討されるようになったのかもしれない。結果として漢字欅日本武道館公演は中止になったが、ひらがなけやきが3日間のステージを高いレベルでやり遂げた*15。2月1日の最終公演のアンコールでは単独アルバムの発売が発表され、ひらがなけやきは独立路線を強めていく。その一方で漢字欅は、改めて「初の漢字欅単独ライブ」*16として、4月6-8日の「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」に向かっていくことになる。

 この時期には6thシングル「ガラスを割れ!」が制作され、3月7日が発売日となる。これに先立ち、3月3日には「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」のチケットのファンクラブ先行受付が始まっていた。そのなかで3月4日には「シブヤノオト」、3月9日には「ミュージックステーション」で「ガラスを割れ!」が披露されたが、平手は参加せず、今泉佑唯小林由依のダブルセンターの形がとられた。また、同じ3月9日午後には「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」に、平手が「スケジュールの都合」により不参加となることがアナウンスされている(「スケジュールの都合」の中身については、この時点では特に明らかにされなかった*17)。

 「シブヤノオト」が平手を欠く形のパフォーマンスの端緒であったが、予告されたものではなかったため、ファンには単純に動揺が広がっていたと記憶する。パフォーマンスそのものについては、当初絶賛されていたというわけではなかったが、その後もテレビ番組や全国握手会などで今泉・小林のダブルセンターの形での披露は続き、徐々に受け入れられるようになっていったという印象がある。それと同時に、「ほかの楽曲のセンターは誰が務めるんだろう?」と「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」への期待が高まっていく時期にもなった。

 

・「不協和音」のセンターポジション

 迎えた2018年4月6日、武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで開催された「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」1日目。しばらく各種イベントなどへの欠席が続いていた志田愛佳が不参加となることがこの日の公演数時間前にアナウンスされ、19人で臨むステージとなった。今泉佑唯小林由依をセンターに置いた「ガラスを割れ!」でスタートしたライブは、「避雷針」「月曜日の朝、スカートを切られた」の渡邉理佐、「エキセントリック」の土生瑞穂、「風に吹かれても」の小林由依など、センターメンバーを次々と入れ替えながら展開される。「デビュー2年目の欅坂46を見せる」ことをひとつのコンセプトに、この1年間にリリースされた楽曲を軸として、多くのユニット曲も披露された。

 菅井も「君をもう探さない」「危なっかしい計画」でセンターに立つなど、「センター不在」のグループにあって、前面に出てパフォーマンスを展開した。そして20曲目、ライブ本編最後の楽曲は、あの「不協和音」。客席がざわめくなか、センターにはまたも、菅井友香が立った。

 「不協和音」のセンターに誰を置くかは、慎重な検討を必要とする決定だったということは容易に想像できる。実際にライブ直前になるまで決まっていなかったようで、菅井はライブ直後の4月9日に出演した「レコメン!」で、「マネージャーさんから『菅井に背負ってもらいたい』みたいな連絡がきて。『本当に?』と思って。ちょうどエイプリルフールだったから『これもしかして嘘?』みたいな」と、打診そのものが本番まで数日と迫った4月1日であったことを明かしている。

 やはり「不協和音」でセンターに立つという決断は、やすやすとできるものではなかったようで、菅井はライブ後、その逡巡についてこう明かしている。

最初にスタッフさんから「菅井に頼みたい」って連絡がきた時は、「大丈夫ですか?」って思いました。自分が『不協和音』をセンターで踊るイメージも全然できなかったので。だからすぐには返事はできなくて、姉と母に相談しました。そうしたら、姉も母も背中を押してくれて、「平手ちゃんの『不協和音』を真似しようとしないで、友香の『不協和音』でやれるだけチャレンジしてみたらいいじゃん」って言ってもらえて、私もそれでちょっと気が楽になったというか。こんなに頑張れる環境もありがたいし、ここで逃げたら自分が変わるタイミングはこの先ないだろうなと思ったから、1回がむしゃらに死ぬ気でやってみようって思って、「ぜひよろしくお願いします」って返事しました。

(『BRODY』2018年8月号 p.20-21)

 また、終演直後のインタビューでは、「 (「不協和音」を)やらせていただく返事をしようか迷ったときに、ふと『ガラスを割れ!』の歌詞が思い浮かんで、『やる前からあきらめるなよ おまえはもっとおまえらしく 生きろ!』って。この曲歌わせていただいてるのに自分が目の前から諦めてどうするんだろうって。説得力もないじゃんって思って。みなさんに希望を持ってほしいから、体現したい。やろうって思いました。(「欅って、書けない?」#126、2018年4月15日)とも語っている。

 そしてもうひとつ、菅井には難題ともいえるものが与えられていた。

TAKAHIRO先生も原文ママ、「菅井は『不協和音』から戻ってこいよ」って何回も声をかけられました。『不協和音』の持つ言葉や楽曲の力は、特にライブでやると、精神的にちょっと安定したはずの二十歳を超えた私でさえも、終わってからとか涙が止まらなくなっちゃったりするぐらいなので。

(『BRODY』2018年8月号 p.22)

 「不協和音」から「戻ってくる」こと。この楽曲には「魔曲」という二つ名があり、筆者は個人的にこの言い方が好きではないのだが(楽曲そのものがもつ力だけではなく、そこにかけるメンバーの努力や思いがあるからこそ、あれほどのエネルギーを生んでいるのだと思うので)、そう言われても仕方がないくらいの事態がそこには横たわってもいた。「菅井は」戻ってこい。では、戻ってこなかったのは誰なのか。その答えは、ここに書くまでもない。

 スクリーンに不気味に輝く「LAST SONG」の文字。イントロがかかってざわめく客席は、センターポジションに菅井が現れると歓声の渦に変わった。見たこともないような表情、あまりにも激しいダンス。平手のそれとは違う、悲痛を爆発させたような「僕は嫌だ」。歌詞にはない言葉を叫ぶメンバーの声が聞こえる。菅井も「もうやめて!」と悲鳴のような叫び声を上げたのだという(公演3日目、『BRODY』2018年8月号 p.21)

 全身全霊の「不協和音」は、菅井の精神を揺さぶる。そのあとに続いたアンコールでのパフォーマンスの際について、彼女は後日このように語っている。

「(前略)……『不協和音』をやったあとに、アンコールで『二人セゾン』とか『世界には愛しかない』とか『サイレントマジョリティー』とか披露したんですけど、全ての歌詞がすごく新鮮に聞こえてきて。……(中略)……そうなってくると、感情のコントロールが難しくて…パフォーマンス中も涙が出てきちゃうんです」

(『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20180703』p.199-200)

 それでも菅井は「戻ってきた」のだと思う。MCでは「私たちが成長することで安心して戻ってこられる居場所を作りたいです」と平手と志田のことにも触れ、いつものようにライブを締めて、「ありがとうございました」と頭を下げる。「不協和音」の世界に飲み込まれる寸前まで表現者として自らを追い込み、高いパフォーマンスを見せながら、「戻ってくる」ことにも成功した。

 表題曲全6曲をはじめ、ライブで重要となる曲をアグレッシブにパフォーマンスした形となったこの「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」。「平手がいないからこの曲はできない」ということをなくすのが、この日の19人の至上命題だったかもしれない。ハードな曲も続いたが、メンバーはひとつになってその試練を乗り越えた。そしてその最高峰が「不協和音」だったことは疑いないだろう。グループの絶対的センターを欠くなかステージに上がり、センターポジションに立ったキャプテン。あの日菅井友香は確実に、欅坂46の「真ん中」にいた。

大げさかもしれないけど……私は欅坂46のためなら死ねるなって思ったんです。ライブが始まる前もステージ裏で「私は今日、死んでもいい!」って言っていました。きっと誰か聞いていたと思います(笑)。もしライブが終わって死んでしまっても、何も後悔がないってくらいの気持ちで1回1回に全部使い切ろうって自然と思えて。ちょうど大学も卒業したので、欅坂46としてできることがあればもう全部出し尽くそうって、あのライブで思いました。

(『BRODY』2018年8月号 p.23)

 この「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」によって漢字欅にとっては新たな道が切り開かれ、これ以降、平手以外のメンバーがセンターに立つ機会が、時期によってはぐっと増えていく。また日本武道館公演までの時期のひらがなけやきは、漢字欅の楽曲を多くカバーしていた。そして時計の針をもう少し進めると、2期生ら後輩メンバーも「二期生『おもてなし会』」などで多くの楽曲をパフォーマンスしている。こうした状況にあって、2020年7月現在までに、シングル表題曲のセンターポジションにはそれぞれ複数のメンバーが立ったことがある。

 それぞれ挙げていくと*18、「サイレントマジョリティー」では長濱ねる*19鈴本美愉*20、藤吉夏鈴*21小林由依*22、佐藤璃果(当時坂道研修生、現乃木坂46*23。「世界には愛しかない」では長濱ねる*24影山優佳*25守屋茜*26、増本綺良(当時坂道研修生)*27。「二人セゾン」は柿崎芽美・井口眞緒*28、小池美波・原田葵*29、小池美波*30、松岡愛美(当時坂道研修生。グループへの配属を待たずに活動を辞退した。配属先は乃木坂46の予定だったとされる。)*31。「風に吹かれても」は小林由依*32、山﨑天*33、幸阪茉里乃(当時坂道研修生)*34。「ガラスを割れ!」は今泉佑唯小林由依*35小林由依*36、武元唯衣*37。「アンビバレント」は鈴本美愉*38土生瑞穂*39小林由依*40渡邉理佐*41、森田ひかる*42、髙橋未来虹(当時坂道研修生、現日向坂46)*43、小池美波*44。(「黒い羊」については、披露回数が非常に少なかったこともあり、森田ひかるのみ*45。)

 そのなかにあって「不協和音」の平手不在時のセンターポジションは、菅井友香が守り通してきた*46。 これも披露回数が少ないということもあるが、それよりも「他のメンバーに容易に任せられない楽曲である」面が強いのではないかと筆者は感じている。ひらがなけやきでも、齊藤京子が「不協和音」をやりたいと申し出たが却下されたことがあると語っていた*47。「不協和音」のセンターポジションは、ある意味では菅井が後年にわたって守り抜いた「聖域」のような場所だったといえるのかもしれない。

 

 ・変化していくグループのなかで

 この時期のトピックとしてもうひとつ挙げておかねばならないのが、2018年3月10日に開催が発表された「坂道合同新規メンバー募集オーディション」である。ひらがなけやきを含めた欅坂46としては、ひらがなけやきの1期生、2期生を迎えた経験はあったものの、漢字欅としては初めて後輩メンバーを迎える機会を得ることになった。

 一方で、「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」を終えたこの時期以降、メンバーに関するニュースも続いた。5月3日に原田葵が学業のために一時活動休止を発表。同日には、長らく欠席状態が続いていた志田愛佳も正式に休養に入ることが発表される。こうした動きについて、この頃の菅井はこのように語っている。

「(前略)……グループを守っていって、また21人揃ってライブができたらな…(原田)葵ちゃんが帰ってくるのは来年になるかもしれないけど、その頃には新メンバーが入っているのかな。……(中略)……欅坂って21人というのを大事にしていた部分もあって、それが崩れることに悲しい気持ちもあるんですけど、それと同時にちょっと甘えもあったのかなって。だから、欅坂がずっと続いていくためには必要なことなのかなと思います。……(後略)」

(『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20180703』p.201)

 また、6月3日には「欅共和国2018」(7月20-22日)の開催が、6月17日には「夏の全国アリーナツアー2018」(8月11日-9月5日、計11公演)の開催が、6月21日には「ROCK IN JAPAN FES. 2018」(8月4日)への出演がそれぞれ発表される。7月5日には、7thシングルが8月15日に発売されることがアナウンスされた。また、平手友梨奈がグループに再合流し、7月7日の「THE MUSIC DAY」に「ガラスを割れ!」のセンターとして出演する。ライブの夏に向けて活動が高まっていくなか、一方でよくないニュースもあった。

 7月18日、今泉佑唯が「欅共和国2018」への出演見合わせを発表。「スケジュールの都合」とのことだったが、今泉は「去年はお休みしていたので、ことしは私も水をかけたいです!(笑)。(『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20180703』p.114)と意欲を見せていただけに、残念がる声も多かったと記憶する。そして「欅共和国2018」が終わって8月7日、今泉はグループからの卒業を発表する。デビュー以降、グループから卒業する初めてのメンバーとなった*48。当日深夜に菅井はブログを更新し、全体としては前向きなトーンでまとめつつ、“21人”への思いと悔しさをにじませた。変わっていくグループの形。今泉については卒業と同時に「夏の全国アリーナツアー2018」への不参加も発表され、欅坂46はこの夏のツアーに18人で臨むことになった。

欅坂46は21人の絆を特に大切にしてきたグループです。

個人的な感情になってしまい申し訳ないのですが
2nd Anniversary liveの時、
みんなの笑顔を見て、この居場所を守りたいってそう誓いました。

それなのに守ることができなくて
自分が不甲斐なくて、やり切れない思いです。

本当にごめんなさい。

菅井友香公式ブログ 2018年8月8日「(無題)」)  

 菅井が後年、2020年7月16日に無観客配信ワンマンライブ「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU ! 」で語った「この2年は、特に、出口の見えないトンネルをさまよっていたような状態だったと思います」という言葉。これを額面通りに受け取るならば、出口の見えないトンネルをさまよった「この2年」が始まることになるのがこの時期だ。あとになってあまり色眼鏡では見ないようにしたいが、菅井の言葉も頭に置きながら、引き続き振り返っていきたい。

 

平手友梨奈の沈黙と暴走、そして……

 2018年8月11日、マリンメッセ福岡公演で幕を開けた「夏の全国アリーナツアー2018」。会場は1曲目の「Student Dance」の世界観のもとつくりこまれ*49、公演開始から30分はペンライト点灯を控えるように告知、開演前の注意事項のアナウンスもなくスクリーンへの表示に代替され、メンバーによる影ナレもなく、Overtureまでカットするという徹底ぶりであった。初日を終えた菅井は、このような言葉を残している。

前半での欅坂46らしい世界観を重視したブロックと、後半の思いっ切り楽しみたいというブロックで、それぞれ全力が出せたと思います。みんなで話し合う時間も増えたし、それぞれが大人になった自分たちの考え方や志を持っているから、去年と同じようには絶対にならないようにしたいし、きっとそうならないと思う。一人ひとりが課題を持って挑めば自然と、終わった頃にはまた違う欅坂46の新しい形が出来ているんじゃないかなと、今日の初日を終えて前向きな気持ちになれました。

(『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20180918』 p.105) 

 佐藤詩織が足のけがの悪化から休演する公演があるなどしたものの、前年のようには大きな事件も起こらず、公演は重ねられていく。そのなかで時折、平手の「調子の波」を感じることもあった。前年の夏に発生した平手の「体調不良」。MCでメンバーが一列に並んだ真ん中に立ってうつむき、声を出してMCに参加することはまったくなく、何か思い悩んでいるような、ばつが悪いような姿を見せることが続く。その姿は恒常的に話題になるようになり、筆者も正直に言ってしまえば、この頃には平手の一挙手一投足に常にハラハラするような思いで客席にいた。「欅共和国2018」では少し上向いたようにも感じたが、このツアーでは元の状態に戻る。ライブのコンセプトや世界観が作用している面もあったのだろうと思う。前半と後半で大きく演出のテイストが違うこともあったのだろうか。

 こうした平手の姿について、欅坂46運営委員会委員長・今野義雄はこのように語っていたことがある(全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」に関する発言)。

彼女は表現者としてだけでなく、クリエイターとしてもいいものを作りたいという気持ちが強く、常に100点以上を目指していると思うんです。だからこそ、「100点が取れない」とわかった瞬間、自分の中で失敗の烙印を押してしまう部分がある。それが全国ツアーで現れてしまった。世間的には平手の体調不良を心配する声がありましたが、あれは「表現への苦しみ」に見えました。

(『Quick Japan』vol.135 〈2017年12月25日発売〉 p.69)

 また、欅坂46のMVを多く手がけてきた映像ディレクター・新宮良平は、後年においてではあるが(「黒い羊」のMV撮影について述べたもの)、平手の変化についてこのように語っている。

平手さんを例にとると、彼女はどんどんストイックになっていて、昔ほどスッと役に入りきれなくなってきているように僕には見えます。彼女の中にもいろんな葛藤があると思うし、大きな期待を背負いながら、自分に求められているものをワッと出すのはすごい難しいことだと思います。

(『BRODY』2019年4月号 p.67)

 そのようななかで迎えた9月5日、幕張メッセ公演2日目にして「夏の全国アリーナツアー2018」最終公演。この年の千秋楽も、記憶に強く刻まれるものになる。

 それまでの10公演と同様に、暗闇となったステージで懐中電灯を使った演出の「Student Dance」に始まり、2曲目は全員での「AM1:27」、3曲目は「エキセントリック」。この日の平手は明らかに動きに迫力があった。そしてステージが明転し、客席にも赤いペンライトが点く。4曲目は「ガラスを割れ!」。この曲の最後のサビで事件は起こる。平手がイヤモニが飛ぶほどに激しくヘッドバンギングをしながら、センターのポジションから花道に飛び出してくる。もともとそのような演出ではなく、花道には照明も当たっていない。楽曲の終わりとともにセンターステージにたどり着いた平手はそこでよろめいて倒れ、2メートル下の客席の床へ転落した。

 この日筆者は客席の中心に近い席にいた。関係者席やオペレーションのブースがすぐそこにあり、メインステージは少々遠く感じられはしたものの、正面からステージ全体を見ることのできる比較的いい席だった。尋常ではない動きで花道に飛び出してくる平手の姿も、肉眼でしっかりと見えた。そしてこの席だからわかったことだが、この事件が起きて以降のブースの動揺と混乱は半端なものではなかった。メンバーのイヤモニに向けてなのか、必死の指示出しが続く。慌ただしく打ち合わせが行われて人の出入りがあり、時にはステージを集中して見ることが難しいくらいだった。「やるなら最初から言っとけよ!」という怒号が聞こえて、これは演出でも何でもないのだということがわかった。そしてユニット曲が挟まれたタイミングで、総合ステージングを務める振付師・TAKAHIROがステージの方向へ駆け出していく。緊迫した状況が続いていた。

 菅井が後年に語ったところによると、平手のステージからの落下は「そのときの私たちは同じステージに立っていながら照明の関係上まったく見えず、どんな状況だったのかわかりませんでしたシネマトゥデイ『僕たちの嘘と真実 DOCUMENTARY of 欅坂46』菅井友香 単独インタビュー」〈2020年3月26日公開〉)とのことで、メンバーにも驚きとかなりの混乱があったということは想像に難くない。しかしステージに立ち続けるメンバーは動揺の色を見せない。センターポジションを空けてライブは続行され、菅井はつとめて冷静な口調で、平手がステージから転落して病院に向かったというMCを挟む。「二人セゾン」では小池美波がソロダンスを踊り(彼女自身の判断によるものだったとのちに明かされる)、「世界には愛しかない」では守屋茜が(マイクは入っていなかったものの)平手パートのポエトリーを読む。「サイレントマジョリティー」では冒頭の平手の歌唱パートを客席からの大合唱が埋め、スクリーンには鈴本美愉の凜々しい姿が大写しになる。それは「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」から、あるいはそのもっと前から連なる完璧すぎるストーリーでもあった。 終演後、守屋はこう振り返る。

メンバー欠けてもみんな動じることなく、アニバーサリーライブで経験してきたことをみんなでカバーして。もしかしたら、お客さんから見たら自然に出来ている思われてしまうかもしれないけど、逆に思われたら思われたで相当動じずにやれたということなので。それはすごく良かったと思うし、だからこそ今日はみんなでひとつになれたんじゃないかと思います。

(『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20180918』 p.135) 

 残された17人のメンバーは、アンコールまでを無事に終える。そしてダブルアンコールがかかると、異常なしとの検査を終えて戻ってきたという平手がステージに姿を見せた。披露されたのは「W-KEYAKIZAKAの詩」。涙するメンバーたち*50のほうへ、微笑みをたたえた平手が振り向いて両手を広げる。1年前には「“W-KEYAKIZAKAの詩”で終わりたくなくて、みんなもそう言ってて。(平手、『ロッキング・オン・ジャパン』2017年12月号 別冊 p.31)と、ダブルアンコールの「自分の棺」と「不協和音」で観客の度肝を抜く演出をぶつけた幕張メッセ。その場所で、「夏の全国アリーナツアー2018」は思わぬハートフルな形で幕を閉じた。

 菅井はツアーの全日程を終え、このようなコメントを残している。

去年もてち(平手友梨奈)が急に出られなくなったことがあったけど、まさかことしも最後にこんなにびっくりするようなことが起こるとは思ってもみませんでした。でも、みんなで動じずに、安心してもらって盛り上げることが出来たのが、せめてもの救いかな。……(中略)……このメンバーで3年間やってこられたのは今でも誇りだし、どんなことも間違ってないと思えるように、今後も頑張っていきたいです。

 (『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20180918』 p.136) 

 卒業していくメンバーがあり、グループの形が変わっていく。そのなかで、結成から確実に積み重ねてきた“欅坂46”への愛着とプライドが言葉ににじんだ。

 

・変化の受容、前へ進むこと

 2018年の夏をたくましく乗り切った欅坂46。しかし、グループの変化はまだまだ続く。9月22日には、米谷奈々未が卒業を発表(12月22日にスペシャルイベント「私物サイン会」〈2019年2月10日〉を除いて活動終了)。この日にグループとして出演した「イナズマロックフェス」では平手の状態が目に見えて悪く、多くのファンが動揺を隠せないほどであった。少し空いて11月4日、この日の個別握手会(京都パルスプラザ)で、今泉佑唯がグループ活動を終了。活動最終盤には写真集『誰も知らない私』の発売があったが、あまりメンバーとのかかわりはみられず、個別握手会でも別室にレーンが設けられるなどしており、いくぶんファンに戸惑いを与えながらの卒業であったと記憶する。さらに11月16日には休養中の志田愛佳の卒業が公式サイトで発表される。(後日放送の「欅って、書けない?」への出演はあったものの)公式サイトでの発表をもってグループ活動終了となり、これもファンに戸惑いと動揺を与えた。

 その一方、11月21日にはグループとしての初の写真集となる『21人の未完成』が発売。今泉や志田や米谷、休業中の原田葵も登場した。個人ごとに撮影したカットを集めて構成された写真集であり、全員でのカットなどがあるわけではなかったが、正真正銘の“21人”での最後の作品となった。11月29日は、「坂道合同新規メンバー募集オーディション」の合格者の配属先が発表され、2期生として9人のメンバーの加入が発表される。12月10日には「欅坂46二期生/けやき坂46三期生『お見立て会』」が開催され、新メンバーのお披露目の場となった。2期生の多くが菅井を憧れのメンバーに挙げるなど、新メンバーを迎えるための彼女の尽力が思われるひと幕もあった。

新しい仲間ができた喜び、心強さ、
客観的に観て改めて感じる楽曲の良さ、
思い出されるメンバーとの3年前の記憶、切なさ、期待...

アイドルグループって
こうして変化して行くんだって思いました。


変わらなくちゃ!
でも良い意味で変わらないグループでもいたいなって...
言ってることおかしいかな〜


とにかく、
ここから欅坂46をもっともっと皆さんに愛していただけるグループにして行きたいです!

菅井友香公式ブログ 2018年12月12日「変化🍂🍃」 

 菅井に関していうと、この時期には彼女にとって初めての舞台となる「ザンビ」(11月16-25日)への出演があった。この舞台は坂道シリーズ3グループのメンバーが共演する貴重な場でもあった。各グループの中心メンバーや若手のエース級が出演した舞台であり、菅井は欅坂46のフロントウーマンとしての色をさらに強くすることにもなった。

 このようななかで大きなトピックだったのは、「アンビバレント」を引っさげて出演した音楽番組でのパフォーマンスに予告なく2期生が参加したことであった。12月4日の「うたコン」および12月5日「FNS歌謡祭 第1夜」に、武元唯衣、田村保乃、松田里奈が出演。これは先述の「お見立て会」の開催前ですらあり、まだ日を追って公式サイト上で2期生のプロフィールが数人ずつ公開されているというタイミングであった。新メンバーがパフォーマンスからの参加となったことには、「欅坂46らしい」という印象もあった。

 また12月21日には、平手のけが*51による一部活動休止が発表される(確かにこの時期はパフォーマンスに苦しんでいたような印象もあった)。実質「この日以降の年末音楽特番には出演しない」という宣言であった。この日以降の音楽特番には、センターを交代しながら出演していくことにもなる。この日の「ミュージックステーション スーパーライブ2018」では鈴本美愉がセンターを務め、武元・田村・松田に加え、森田ひかるが2期生として参加。12月24日の「カウントダウンTVスペシャル!クリスマス音楽祭2018」では土生瑞穂がセンターで、武元・田村・松田・森田に加え、さらに藤吉夏鈴が2期生として参加する。12月30日の「第60回日本レコード大賞」では、小林由依がセンター、2期生は同じく武元・田村・藤吉・松田・森田の5人。2019年1月1日の「CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2018→2019」では渡邉理佐がセンター、2期生は武元・田村・松田・森田に加え(藤吉が外れている)、井上梨名が参加した(以上4番組とも、披露楽曲は「アンビバレント」)。

 2018年12月31日には「第69回NHK紅白歌合戦」に3年連続となる出演。披露楽曲は「ガラスを割れ!」で、ここにも平手を欠き(「紅白歌合戦」には出るかもしれない、という予測もないではなかった)、1期生のみの17人で出演することになる。センターは前日の「第60回日本レコード大賞」の「アンビバレント」に続き、小林由依が務めた。披露曲を変えながら2日連続の大舞台で務めたセンターの位置について、彼女はこう語っている。

——センターを連日務めましたが、挫けそうにならなかったですか?

小林 2つの曲のセンターを同じ時期にやることが今までなかったので、「みんなが私のセンターをどう思っているのか」という不安もあって。その重圧を耐えるのに必死で、気持ちが落ちちゃうこともありました。でも、メンバーに「私の足りない部分は助けてほしい」と伝えたら、長文のメールをくれたり、私が落ち込んでいるときもしーちゃん(佐藤詩織)が気づいて声をかけてくれたりと、この期間はメンバーの温かさをすごく感じました。

(『月刊エンタメ』2019年3月号 p.105)

 間奏では絶叫するほどの熱いパフォーマンスを見せた小林。メンバーもそれに応えるようにボルテージを上げていく。後半にはメンバーの数と同じ17人のダンサーも加わり、迫力満点のパフォーマンスとなった。 

 思い返せば、平手の不在と戦い続けたような2018年だった。欅坂46は、その戦いに勝ったと評していいだろう。グループを離れるメンバーがいれば、加わるメンバーもいた。そのなかにあって、確実にグループとしての強度を増しながら、欅坂46は新しい年を迎える。

 

・最後のCDシングル「黒い羊」

 この冬のトピックといえばもうひとつ、2019年2月27日発売の8thシングル「黒い羊」 がある。発売および発売日の発表が1月14日、タイトルの発表が1月19日であった。前作のリリースからは半年以上の時間をおいての発売であり、少し時間がかかったな、という印象であった(乃木坂46に範をとるならば、おおむねの目安は「1年に3枚のシングル」であるといえる)。1月27日に発表されたフォーメーションは、所属の1期生17人の「全員選抜*52」であった。長濱ねると鈴本美愉の3列目に少々驚きがあった、という感じだっただろうか。

 当時も少し思ってはいたが、いまにして改めて思うと、制作が想定より長引いたのだな、という印象がある。目に見える根拠はあまりない。やはり半年空いたということと、カップリングのユニット曲が「ごめんね クリスマス」(上村莉菜、尾関梨香、長沢菜々香渡辺梨加)だったということくらいだろうか(なお、カップリングのユニット曲にはもう1曲、菅井友香守屋茜の「ヒールの高さ」もあった)。クリスマスをめがけて制作されていたのだとしたら、時期的な問題で、(カップリングも含めて)2期生に楽曲があてがわれなかったのも納得がいく。

 それだけ力を入れてこだわって作られた(のだろうと推察される)「黒い羊」は、楽曲・MV・パフォーマンスとも、濃厚な「欅坂46の色」が感じられる凄みのある作品に仕上がった。「そうだ 僕だけがいなくなればいいんだ」と誰よりも自分へ訴えかける歌詞。テレビCMの「僕の周りの世界は、絶望にあふれている」という平手のせりふも印象深い。MVではリップシーンどころかメンバーのアップショットやグループでのダンスシーンまでも封印したワンカットの構成で、「絶望」をテーマにした、主人公である“僕”のひとつのストーリーをを描ききった。その世界をメンバーのダンスに落とし込んだパフォーマンスも圧巻であった。

 MVの監督を務めた映像ディレクター・新宮良平も、「一瞬しか映らないメンバーでも楽曲を届けるために本気で表現者としてやっている姿がすごかった」「全てのメンバーが楽曲を伝えるために本気でした(『BRODY』2019年4月号 p.67)と賛辞を惜しまない。しかしその裏には相当の苦闘があったのだとも感じられる。そこについてはあまりはっきりと語られたことはなかったようにも思うが、菅井が後年、このように語っている*53

——欅坂46の曲は心の暗部、痛み、疎外感などを描く曲がたくさんありますから、平手さんも追い込まれることが度々あったんでしょうね。

「てちだけじゃなくて、他のメンバーも繊細な子が多いんです。特に“黒い羊”の時期とか、本当に追い込まれちゃう子がいたので、それが心配でした。“黒い羊”の時も、てちとの関係が難しくて、この表現が合っているのかはわからないんですけど、人の意見にも黒とか白とかがある中で、いいあんばいのグレーを見つけていくのが私の役割だと思っているんです。でも、てちはその曲の人になってしまうから、グループの中でのいいあんばいを見つけるのがすごく大変でした。センターのてちとキャプテンの私がタッグを組んだら、もっといいグループになれるというのはわかっていましたけど、“黒い羊”は、そこが難しかったです。そういう、この曲が持っている難しさに影響されて、作品作りになかなかついていけなくなるメンバーもいました。でも、どうすることが正解なのかは、わからなかったです」

(『CUT』2020年4月号 p.80-81)

 また、すでに上で一度引いている発言だが、このときの平手について新宮は、 「彼女はどんどんストイックになっていて、昔ほどスッと役に入りきれなくなってきているように僕には見えます(『BRODY』2019年4月号 p.67)とも語っている。平手の苦闘も想像を絶するものだったのだろう。とびきり強く重厚な世界をもつ楽曲において、「その曲の人になってしまう」ために、投入したエネルギーも相当なものだったはずだ。

 そうした楽曲であるからか、「黒い羊」は披露された回数が表題曲としては非常に少ない楽曲となった。音楽番組およびライブでの披露をすべて数え上げても12回にしかならない*54。のちの「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」(東京公演3日目を除く)や「夏の全国アリーナツアー2019」追加公演(東京ドーム)など、グループの節目となるライブでも披露されることはなかった。ただ、一方で音楽番組での披露が始まる前の時期に、平手はこう語ってもいる。

「(前略)……MVの時は、もうプレッシャーと責任と、全部が合わさって……まあその気持ちは作品につながったのかもしれないけど。うん、今はMVとはまだ違う感情なんですよね。そういうことかなあ。これからもこの曲をやるたびに、なんか肯定されていくのかな。だからあんまりつっかかりがないのかな。テレビパフォーマンス、自分のなかでそんなに心配してなくて。これまでは、もうちょっとつっかかってたから。ああ、そういうことなのかなあ」

(『ロッキング・オン・ジャパン』2019年4月号 p.179)

 その後にその思いがどうなったのか、変わっていったのか変わらなかったのかは、特には語られていないように思う。

  

・独立と決断、変わりゆくもの

 「黒い羊」リリース前の時期には、もうひとつ大きなトピックがあった。2019年2月11日のSHOWROOM配信で、ひらがなけやきのシングルデビューと日向坂46への改名が発表されている。ひらがなけやきは2018年1月30日-2月1日の日本武道館公演を成功させたあとも、この公演の3日目で発売決定がアナウンスされたデビューアルバム「走り出す瞬間」(延期を経て2018年6月20日に発売*55)を引っさげての「『走り出す瞬間』ツアー2018」(6月4日-7月10日、計10公演)や、初の舞台公演となる「あゆみ」(4月20日-5月6日)などを経験。4月8日には冠番組「ひらがな推し」がスタートし、「欅って、書けない?」から独立。さらにアルバムのリード曲であった「期待していない自分」で音楽番組に出演したり、単独で「TOKYO IDOL FESTIVAL 2018」にも出演したりするなど、独立路線をぐんぐんと強めていた。2017年7月22・23日の「欅共和国2017」ではひらがなけやきの楽曲*56の際には座ってしまうような観客もいたと記憶するが、2018年7月20-22日の「欅共和国2018」ではそのようなことはまったくなくなり、むしろ披露曲数が4曲*57と少なかったことに不満の声が聞こえてくるほどであった。

 時は2019年2月11日に戻る。この日、メンバーにはシングルデビューや「デビューカウントダウンライブ」など*58の発表のみと伝えられており、グループ改名はメンバーに対してもサプライズの形での発表となった。この場にいなかったメンバーにも同じタイミングで改名が知らされており、その様子は映像におさめられているが、喜びを表現するメンバーもいれば涙を流すメンバーもおり、改名に対する思いには当初濃淡がみられたようにも思う。しかし、2019年3月5・6日の「デビューカウントダウンライブ」に向けてグループはまとまっていく。このライブは前半がひらがなけやきのラストライブ、後半が日向坂46のデビューライブとする構成がとられ、名実ともに「ひらがなけやき」としての歴史にはピリオドが打たれることになった。

 ひらがなけやき(日向坂46)が独立することは、漢字欅にとっても、頼れるパートナーから離れて独立することを意味した。ひらがなけやき漢字欅のパートナーとして、日本武道館公演を託された件ばかりではなく、合同の公演ではいつもセットリストに変化をつけて会場を明るく盛り上げる役割を担っていた。また、「欅共和国2017」などでは漢字欅の衣装替えの時間をMCでつなぐこともあった。ただここまでの1年間においては、「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」「夏の全国アリーナツアー2018」と漢字欅単独のライブの場も重ねられてきていた。「独立」の背景には、ひらがなけやきの成長とともに、漢字欅の成長もいくぶんかはあったのかもしれない。この件について、ちょうどこの日の深夜に「レコメン!」に出演した菅井は、「本当にみんな団結力もあって、グループとしてすごく力をつけていて、私たちもすごく助けてもらっていたので」「なんかちょっと寂しいな、と思いつつ。でも本当に同じ坂道グループを一緒に盛り上げていけるように私たちも頑張りたいなと思います」と率直に口にした。また、後日ブログにもこのように綴っている。

彼女たちの努力が、実力が、願いが
日向坂46への改名とデビューという形で実を結んだのだと思うと、とても感慨深いです!

キラキラしたみんなにぴったりの素敵なグループ名だな〜☀️空色も爽やかで可愛いですよね!

これからどんなデビューシングルが出来上がるのか私も楽しみです!

これからは握手会も別々になるので
一緒に活動できる日が少なくなるのかな?と思うと少し寂しいです...

8枚目シングルは、2チーム合同の最後のシングルになるので、楽しんで行けたらいいな🐏

菅井友香公式ブログ 2019年2月14日「ハッピーバレンタイン❤」

 合同での最後のシングルとなった「黒い羊」の個別握手会は7月まで続いた。独立後もしばらくは定期的にグループとして会う機会があったのは、幸せなことだったかもしれない。

 そしてあともうひとつ、触れなければならないことがある。彼女も見届けたという日向坂46の「デビューカウントダウンライブ」(2019年3月5・6日)。その翌日の3月7日、長濱ねるがグループからの卒業を発表する。音楽番組でのパフォーマンスへの欠席がみられたということはあったが、電撃的な発表だったと言っていいように思う。あとになって思えばフォーメーションが3列目となったことはその予兆だったのかもしれないし、3曲目のソロ曲「否定した未来」をあてがわれると発表されたときには筆者のなかで「もしかして?」という気持ちもないではなかった。しかしただただ、驚きであった。

 最終オーディションを経ない特例での加入があった。「ひらがなけやき」の誕生があり、11人の1期生を迎えた。ひらがなけやきのセンターに立ちながら、漢字欅との兼任があった。兼任の期間は約1年強であったが、なぜかとても長かったような印象を受ける。兼任が解除され漢字欅の専任になってからも、写真集『ここから』のスマッシュヒットがあり、「こちら有楽町星空放送局」のメインパーソナリティ就任があり、ダンスのフォーメーションでは2列目の中央という中心的なポジションを担った時期が長かった。ひらがなけやきを含めた“欅坂46”の歴史は、彼女とともにあったといっても過言ではない。めまぐるしい変化に常に直面しながら成長してきた“欅坂46”の象徴が、20歳でグループを離れる*59

 

・2期生の本格参戦と「黒い羊」

 ちょうどこの時期の2019年2月28日には、「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」の開催が発表される。4月4-6日の日程で、会場は大阪フェスティバルホール。会場が大阪であることにも、「ハコ」が小さいことにも驚きがあった*60。筆者は幸運にも初演のチケットを手にしたのだが、後ろから3列目だったにもかかわらず「近い」という印象だった。さらに3月9日には、「二期生『おもてなし会』」が4月20・21日に丸善インテックアリーナ大阪、4月27・28日に武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで開催されることと、「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」の東京公演として2019年5月9-11日に日本武道館公演が開催されることが発表された。2期生にとっては「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」大阪公演が欅坂46のライブに参加する初の機会となり、そこからライブラッシュが続く様相となった。

 迎えた「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」大阪公演は、欅坂46のライブとしては異色のものであった。守屋茜によれば、「いままでと違う演出の方の下でコメディ要素も取り入れた新しいライブに挑戦させていただきました。(『EX大衆』2019年6月号 p.76)とのことである。また平手友梨奈は、このライブについてこのような発言をしている。

「(前略)……でも今回は初めてぐらい、あんまり関わっていなくて、演出とか制作のほうに。でも、1回、そうやって自分が関わらないことをやるのもきっと自分のために、グループのために、やらなくちゃいけないことなのかなあというのをずっと考えてて。うん、それはやって良かったのかなと思います」

(『ロッキング・オン・ジャパン』2019年6月号 p.68)

 冒頭から「サイレントマジョリティー」「世界には愛しかない」「二人セゾン」と初期の表題曲を連ね、合間合間にはポップな映像が挟まれる。テイストとしては「欅共和国」よりも明るいくらいで、演出家が変わったということも、平手があまりかかわっていないということも、そう言われれば納得がいく。坂道AKBのカバーとなる「誰のことを一番 愛してる?」*61および「東京タワーはどこから見える?」では、歴代のさまざまな衣装をメンバーがそれぞれに着用してパフォーマンスしたことが話題となった。菅井には「不協和音」の衣装が、守屋には「世界には愛しかない」の衣装が割り当てられるなど、「2rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」を思い起こさせる演出もみられた。そして何より驚きであったのが、アンコールで全メンバーにより披露された乃木坂46のカバーとなる「シンクロニシティ」である(振りに関しては振付師・TAKAHIROによって“欅坂46バージョン”として付け直された)。これに関しては平手の肝いりであったようで、「すごく好きな曲だから、届けたいなって思ってた」「いつかどうしても欅でやりたくて、やらせてもらったていう感じです。まあ、大阪でしかやれないかなとも思ったので(『ロッキング・オン・ジャパン』2019年6月号 p.68)と語っている。

 初のライブとなった2期生は、主に卒業したメンバーのポジションを埋める形で参加していた。思ったより違和感なく溶け込んでいる、というのが筆者の率直な感想であった。ゼロからの振り入れは厳しかっただろうが、セットリストは明るく、コンパクトな会場であったのでステージのギミックや花道などがなかったため、比較的入っていきやすいライブだったのではないだろうか。ただ、卒業したメンバーのポジションに入るということは、(多くのケースでは)たとえ空いたポジションがフロントであろうとそこに入れられるということでもあり、ハードな立場であるということもできるだろう。

 そのわずか2週間後には「二期生『おもてなし会』」がスタート。過去の「おもてなし会」*62でもおなじみの「音楽部」「ダンス部」などの部活動や、私服ファッションショーなどさまざまなパフォーマンスが披露されたが、何よりも「おもてなしミニライブ」のセットリストが意欲的であった。「サイレントマジョリティー」「世界には愛しかない」「二人セゾン」などがやっぱり定番なのかな、と思っていたところ(「サイレントマジョリティー」は2018年12月10日「欅坂46二期生/けやき坂46三期生『お見立て会』」でも披露している)、披露された表題曲は高難度の「ガラスを割れ!」「アンビバレント」「風に吹かれても」。フェミニンで大人っぽい振り付けの「Nobody」や、明るく楽しい雰囲気の「手を繋いで帰ろうか」も披露。ユニット曲およびアンコールの「W-KEYAKIZAKAの詩」*63を含めて8曲が披露されたボリューム感のあるミニライブであった。

 そして今度はそれから2週間にも満たないうちに、「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」東京公演がやってくる。グループとしては2018年に果たすことができなかった日本武道館での公演に、1年以上の時を経てリベンジするような形にもなった*64

昨年色々なことがあって、
もうここに立つことは出来ないんじゃないかと
心のどこかで諦めかけていた時期もありました。
 
ずっと憧れていた場所に連れてきてくださってありがとうございます!

菅井友香公式ブログ 2019年5月18日「3」

 明るくハッピーだった大阪公演から一転、「欅坂46らしい」雰囲気のステージ。「大阪と東京をまたいで一つのライブを完結させる」というコンセプトで、大阪公演でのアンコール2曲目であった「危なっかしい計画」からライブはスタート。なんとここで、菅井の「ありがとうございました!」で一度ライブは締められる。このあとにOvertureが流れ、東京公演の「本編」が始まった。

 ユニット曲は封印し、MCも最小限にとどめた。折り返しには影絵のパフォーマンスを挟みつつ「全員曲」*65を15曲繰り出す。表題曲は3曲のみ。時間にして約90分に凝縮された公演を駆け抜けた。メンバーにとっては非常にハードなライブだったようで、佐藤詩織はのちにこのように振り返っている。

——2019年、もっともエネルギーを発したのはどの瞬間でしょうか?
 武道館のライブです(5月9日〜11日)。2日目の朝に起きたら首から下に力が入らなくて「ヤバい」と思いました。初めて影絵パフォーマンスに挑戦したプレッシャーがあったのと、「頑張らなきゃ」という気持ちが大きくて。かなりエネルギーを使いました。
(『EX大衆』2020年1月号 p.80)

 そして3日目のみのアンコールでは、2期生全員を含んだ26人*66で「黒い羊」を披露。映像を交えながら、MVの世界観をステージに落とし込んだようなパフォーマンス。意味深長な映像とともにライブは終了し、明転。客席はどよめきに包まれたのだという*67。全国握手会のミニライブを除くと、「黒い羊」がライブの場でパフォーマンスされたのは(少なくとも平手をセンターに置いたものとしては)これが最初で最後であった。

 このときの「黒い羊」については、松田里奈と関有美子が2期生の立場からこのように語っている。

松田 最初は二期生が入ることで元からの世界を崩してしまうんじゃないかと思ってしまって。

関 『欅って、書けない?』(テレビ東京)のヒット祈願で、先輩たちの思いを間近で聞いていたので、この神聖な空間に入っていっていいのか不安でした。

松田 だけど、二期生にとってもすごく思い入れの強い曲なので、失敗しないようにと必死に振りを覚えて。TAKAHIRO先生からは「あまり曲に入り込みすぎないように。自分たちのストーリーになりすぎないように」と言われていたんですけど、少しでもこの曲の世界が伝わればいいなという思いで踊りました。

関 特にこの曲が始まる直前、先輩方がハグし合っている姿を見て、曲にかける思いの強さが伝わってきて泣きそうだったんですけど、そうしたらTAKAHIRO先生が「この曲の思いがお客さんに届きますように」ってイヤモニで伝えてくださったんです。それを聞いてさらに泣きそうになっちゃったんですけど、最後まで我慢して踊りきりました。明るい曲ではないんですけど、その曲に没頭できたことがあとになって楽しかったなと思いました。

松田 でも、何回もやっちゃいけないのかもしれないとも感じました。

(『月刊エンタメ』2019年7月号 p.105)

 これだけを見ても「神聖な空間」「あまり曲に入り込みすぎないように」「何回もやっちゃいけないのかもしれない」などという言葉が交差する「黒い羊」。パフォーマンスまでを含めたこの楽曲の世界が提示したテーマはあまりにも深く大きかった。「不協和音」「ガラスを割れ!」などの「戦う欅坂46」ともいうべきものともまた違う、あまりにも異質で、あまりにも圧倒的なオーラをまとった作品(系譜としては、「エキセントリック」「アンビバレント」などの内省的な楽曲に連なるのだろうか)。披露できる回数が少なかったのは、当然のことだったのかもしれない(筆者は結局、「黒い羊」のパフォーマンスを見ることができないままになってしまった)。

 

・八面六臂、キャプテンとして

 しばらく時系列に沿って主にグループの出来事を追ってきたが、 いったんここで小休憩とし、菅井友香個人にフォーカスして、彼女のグループから選抜されての活動や、個人としての活動について、ざっと見てみようと思う。

 ちょうどこのあたりの時期に前後して、菅井は少しずつ、個人として演技の仕事を獲得していく。欅坂46は「徳山大五郎を誰が殺したか?」(2016年)と「残酷な観客達」(2017年)でグループとしての主演ドラマは経験があったものの、グループとしての舞台公演などは行われたことがなく、また個人として舞台を経験したメンバーも長らくいなかった。そのようななかでの公演だったのが、上述した坂道シリーズ3グループ合同での舞台「ザンビ」(2018年11月16-25日)である。欅坂46からは菅井のほか、小林由依土生瑞穂守屋茜が出演した。そして菅井は翌年、舞台「漫画みたいにいかない。第2巻」(2019年2月20・21日。6月19・20日には追加公演)に特別ゲストとして出演する。菅井にとって、これがグループを離れた個人としての初舞台となった。それに続き、朗読劇「Reading♥Stage『百合と薔薇』」にも出演(2019年6月8日の昼・夜2公演)。これは日ごとにキャストが変わっていく形の朗読劇であり、欅坂46からは菅井のほか、守屋も別日に出演した。

 そして翌年には、初の主演舞台となる「飛龍伝2020」が上演される。上演決定およびキャストが発表されたのが2019年11月29日。2020年1月30日-2月12日に東京公演、2月22-24日には大阪公演。これまで7回にわたって上演され、富田靖子牧瀬里穂などそうそうたる面々が演じてきた主人公・神林美智子を「8代目」として演じることになった。

——最初は演技経験の面で不安もあったと思います。
 お芝居は好きだけど、「得意」とか「向いてる」と思ったことはなかったんです。だけど、初代である富田靖子さんが神林美智子を演じている映像を見せていただいて感銘を受けて、「できる」「できない」は置いといて、「どうしても『飛龍伝』に出たい!」と思うようになったんです。オーディションには、歴代の美智子役を意識して黒い服を着ていきました。形から入るタイプなので(笑)。想いが叶って、選んでいただきました。
(『EX大衆』2020年4月号 p.81)

 「いままで出演させていただいたドラマや舞台とは何もかも違って。ゼロというよりマイナスからのスタートでした(『EX大衆』2020年4月号 p.82)と語るなど、大きな壁にぶつかったようではあったが、公演が始まるとその熱演が話題となる。東京・大阪で全20公演を完走し、千秋楽ではスタンディングオベーション。この経験を、菅井はのちにこう振り返る。

——個人でのお仕事についてもお聞きします。『飛龍伝2020』では舞台で初主演を演じられました。全共闘の学徒40万人を束ねる女委員長・神林美智子という難しい役どころ。今回の舞台を経ていかがでしたか?

菅井 すごくタフになったと思います。体も心も。美智子はすごく大きなものを背負った女性で、演技経験が浅く未熟な私が演じられるか不安はありました。……(中略)……でも、いろんな方にこの役を乗り越えたら、どんな役でもできると言っていただけたので、その言葉が支えになりました。演じ切ってみて、美智子の役どころは自分にないものをたくさんもっている女性だったので、欅坂46のキャプテンとして足りなかったものを伸ばしていただけたと思います。

(『CM NOW』2020年5-6月号 p.22-23)

 このほかの個人仕事についても振り返ってみる。初期には馬術関係のものが多かった。2016年から2017年にかけて、「炎の体育会TV」の「馬術部」として馬術大会に数度出場。2017年6月には日本馬術連盟馬術スペシャルアンバサダー」に就任*68。同連盟のWebサイト「A to Zinba」ではコラムの連載をもった。その他、2017年4月から「レコメン!」月曜日ダブルパーソナリティを務めているのはさんざん引いてきた通りであり、現在4年目となっている。2017年11月には『歴史街道』で連載がスタート(2019年1月まで)。『日経エンタテインメント!』でも、2018年6月から現在に至るまで連載をもっている。

 結成当初は長濱ねるや平手友梨奈の出演が多かった印象のある、いわゆる「外番組」にも、徐々に菅井が出演する機会が増えていく。筆者の主観で主要だと思うもののみ挙げていくと、2018年1月23日は「踊る!さんま御殿!!」に初出演*69。その後2018年6月19日、2019年3月26日*70とこれまでに計3回出演している。グループから数人が出演する形の番組にも、2019年1月1日の「芸能人格付けチェック」*71や、2019年2月25日の「ネプリーグ」*72など、選出される機会が多い。近年では「池上彰のニュースそうだったのか!!」に3回にわたって出演し(2019年11月30日、2020年3月28日、2020年6月20日)、上の世代が多いスタジオにあって「常識人」ぶりを発揮している。グループとして出演するCMからも外れることはない。「LINE Pay」「クランキー」「イオンカード」「永谷園」「タフマン リフレッシュ」「メチャカリ」など、必ずといっていいほど選出されている。「タフマン リフレッシュ」のCM出演に関連しては、2019年7月10日のプロ野球公式戦(ヤクルト対横浜DeNA明治神宮野球場)で田村保乃とともに始球式を務めている*73

 他グループとのコラボレーションについても述べると、AKB48のシングルで3回にわたって楽曲が収録された*74AKB48グループ・乃木坂46・日向坂46*75との混合ユニット「坂道AKB」に、菅井は3回すべて欅坂46から選出され、参加している*76。各グループの若手を集めるというコンセプトもあってか、その3回すべてにおいて、菅井は参加メンバー最年長の学年にあたる年齢であり*77、またポジションは3回とも3列目であった。また、2018年12月12日の「FNS歌謡祭 第2夜」での限定ユニットとして結成されたAKB48グループ・乃木坂46・IZ*ONEとの混合ユニット「IZ4648」にも選出されている*78。このときのポジションは2列目だった。

 こうしてあげてみると、グループのキャプテンとしてまさに八面六臂の活躍を続けているといえる。ただし言えるのは、欅坂46には他グループとは一線を画す特徴的なイメージ(「平手的なもの」)があるなかで、そうではないもの(「菅井的なもの」)が求められている場合において、それを果たす役割が菅井に集中しているようだということである(他グループではキャプテンばかりでなくセンターメンバーやフロントメンバーなどともう少しうまく分担しているように思う。ただし、欅坂46には副キャプテン・守屋がおり、また小林や渡邉理佐などが前に出てくる場面もあるが)。

 こうした欅坂46に独特のキャプテンのあり方について、菅井と乃木坂46初代キャプテン・桜井玲香の対談ではこのように語られている。

——(前略)……桜井さんは菅井さんをどんな人だと思っていますか?

桜井 菅井ちゃんは周りから愛されて、大事に育てられてきたという印象です。それはテレビを見ていても伝わってくるし、実際に話しても真っすぐな人なんだなってわかるんですよね。そんな人が欅坂46という、アーティスティックなグループのキャプテンをするのってバランスを保つのが大変だと思うんです。どうやって保っているのかなっていうのがすごく気になっています。

菅井 バランスですか? 取れてないです。

桜井 取れてるでしょ(笑)。

菅井 できてないと思います……。

(『BUBKA』2019年4月号 p.13)

桜井 菅井ちゃんがいるから欅がいい感じで継続的にグループとして保たれているんだろうなっていうのは思います。それは、必要な存在だから、なんですよね。

菅井 キャプテンという役割を与えていただいて、3年間やってきたんですけど、メンバーのことが好きなぶん、力になれていないんじゃないかと感じることもあって。私はダンスの面では引っ張れないから、他の面で力になりたいって考えているんです。でも、それができているかわからないからモヤモヤしちゃうことがあります。やっぱり欅って尖ったイメージがあるし、それによって欅の印象が悪くなっていないかなとかいろいろ考えちゃって……。……(後略)

(『BUBKA』2019年4月号 p.13)

 少なくともこの時点では、菅井は自分の果たしている役割について自信がないようではあるが、彼女は確実にグループのバランスをとり、継続的に保ってきたのだと思える。グループとして「尖ったイメージ」ともいえるものを追求していくと、一方では「そうでない活動」も増えていく。それを先頭に立って担ってきたのが、キャプテンである菅井友香なのだ。ライブのMCで「また私が綺麗事ばかり言ってると思われるかもしれない(2017年8月30日、全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」千秋楽幕張メッセ公演、『Top Yell NEO 2017〜2018』〈2017年12月28日発売〉p.5)と吐露したこともある菅井だが、しかしその場所に彼女が立っていることが、グループをグループたらしめているのだろう。

——ライブでのパフォーマンスにムラがあるとみなさんが言うのもそうだし、メンバーの個性もバラバラだし、不安定な部分は多いと思うんです。ただ、それが不思議と美しく見えるんです。そして、さらに言えば、その欅坂のキャプテンに菅井さんがいるという構図がめちゃくちゃ映えるんですよね。不安定さを絶妙な安心感で包んでいる感じがするんです。

織田 友香の存在はめちゃくちゃ大きいよね。

守屋 うん。

織田 友香がいなかったら絶対にここまで来られなかったし。全部友香に任せちゃうっていうことも多いし、良くなかったり落ちたりしたときは、キャプテンだから自分の責任だと感じたりする子だと思うんですけど、そういうところも含めてキャプテンは友香しかできないとすごく思う。安定してるんですよね、友香は。欅坂のことを一番客観的に見られるし、冷静に考えられる人だと思います。

(『BUBKA』2017年11月号 p.24-25)

 

・2019年夏、「欅坂46で叶えたい夢」

 さて、時間は2019年に戻る。 5月30日には恒例となった富士急ハイランド・コニファーフォレストでの「欅共和国2019」(7月5-7日)の開催が、6月24日には「夏の全国アリーナツアー2019」の開催が発表され、徐々に夏のライブに向かっていく時期となる*79。例年より早い時期に開催された「欅共和国2019」であるが、この年の関東甲信地方の梅雨明けは7月29日ごろ。3日間にわたって雨模様であったが、これも恒例となった大量の水を使った演出や、ステージを船に見立てた世界観ともマッチし、天候をあまり感じさせないライブであった。

 「欅共和国2019」には、グループの改名・独立にともない日向坂46(ひらがなけやき)の出演はなくなったが、欅坂46としては新たに2期生が加わり、パフォーマンスにさらに迫力が増した。そしてこの公演の大きなトピックのひとつが、約1年の休業期間を経て、原田葵が1日目の6曲目「バレエと少年」からステージに合流したことである。「ライブが始まる前は不安や緊張のほうが大きくて(『EX大衆』2019年9月号 p.80)とも語る原田だったが、同楽曲の主役のひとりとして堂々のパフォーマンスを見せた。振り入れがまだで参加できなかったという楽曲もあったが、2日目からは休業期間中のシングル表題曲である「アンビバレント」にも参加。「夏の全国アリーナツアー2019」に向けて明るいニュースともなった。

 その原田は休業期間中について、このようなエピソードを紹介している。

「お休みを頂いている間に、ゆっかー(菅井友香)が『誕生日プレゼントを渡したいから』と塾まで来てくれたんですよ。会った時はいつもながらに『元気〜?』と声をかけてくれて。ちょうど『アンビバレント』が発売された時期だったので、グループであったことやメンバーの近況も伝えてくれて、10分くらいだったけど帰り際には『受験頑張ってね』と励ましてくれました。……(後略)」

(『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20190807』 p.47)

 プレゼントは「表紙から裏まで隅々にダルマが描かれたノート(同)であったといい、「センスがゆっかーらしかった(同)とも語った。

 「夏の全国アリーナツアー2019」の直前には、ふたつのニュースが次々と飛び込んできた。まず8月8日には、このツアーの追加公演として、グループとして初の東京ドーム公演が9月18・19日に開催されることが発表される(この発表と同日にチケットの先行受付がスタート)。発表から公演までの期間が1か月強という短さであったことへの驚きもあったが*80、菅井も「欅坂46で叶えたい夢」として「いつか東京ドームでライブがしたいです(『フィアンセ』菅井友香ロングインタビュー〈2018年6月5日発売*81〉。ほか、『Top Yell NEO 2017〜2018』〈2017年12月28日発売〉などにも同趣旨の発言あり)とたびたび口にするなど、グループの夢でもあった東京ドーム公演の実現は、嬉しいビッグニュースとして受容された。

 その一方で、ツアーの開幕を翌日に控えた8月15日には、右ひじの負傷により万全のパフォーマンスができないとして、平手友梨奈の“「夏の全国アリーナツアー2019」への出演見合わせ”がアナウンスされる。ただ、これまでの平手のけがや出演見合わせの発表ほどには、少なくとも筆者には動揺や不安はなかったように思う。平手が不在でもメンバーはあまり動じずに、高いレベルのパフォーマンスができるようになっているとすでに知っていたからだ。“「夏の全国アリーナツアー2019」への出演見合わせ”ということで、ここに東京ドーム公演が含まれるのかどうかは判然としなかったが、なんとなく「東京ドームに照準を合わせて復帰してくるのかな」という観測をしていた記憶もある。平手の活動に対するスタンスに関しては、欅坂46運営委員会委員長・今野義雄がこのように語ってもいる(主に2018年4月の「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」への欠席、および2018年末頃の音楽特番の時期での活動休止をふまえての発言)。

「平手は人一倍エネルギーを使って、作品をピュアに表現しようとしている分、ベストコンディションをキープするのが難しいこともありました。そのため『1年中全力疾走を続けるのではなく、違うやり方も考えよう』と本人と話しました」

(『日経エンタテインメント!』2019年5月号 p.55)

 このツアーの演出におけるひとつのキーワードは、“逆転”ということであったように思う。メンバーたちが檻に閉じ込められながら踊るところから始まるといういかにも欅坂46といったような世界観のなか、曲間には逆再生で作られたダンストラックも挟まれ、「Student Dance」ではMVの世界とは逆にタイマーのカウントが減り、「東京タワーはどこから見える?」ではスクリーンに倒立した東京タワーが映される。「大人は信じてくれない」のセンターに年長者の菅井が立ったことも“逆転”のひとつだったのだろうか*82。そしてライブ本編の最後には、巻き戻しのライブ映像とともにOvertureが逆再生で流された。セットリストも、「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」東京公演のそれを逆回しにしたもので、追加公演を除く全10公演とも同じ。ただし8月27日の大阪城ホール公演以降は「避雷針」のセンターに鈴本美愉にかわって平手が立ち、この1曲のみではあったがパフォーマンスを見せた。東京ドーム公演への期待ももたせながら、9月6日の福岡国際センター公演で“逆転”した世界は幕を閉じた。

 

・激動の選抜発表とメンバーの「覚悟」

 8thシングル「黒い羊」のリリースから約半年が経っていたこの夏は、新曲やニューシングルへの期待が高まっていた時期でもあった。新曲「砂塵」が7月12日より放送が始まった「タフマン リフレッシュ」のCMに使用され、さらにこれも新曲の「10月のプールに飛び込んだ」が、7月29日より放送が始まった「欅坂46×ローソンスピードくじ」のCMを皮切りに、「イオンカード」および「メチャカリ」のCMでも用いられた。これらの楽曲は9thシングルに収録されることは間違いないとみて、表題曲なのかカップリングなのかだとか、平手の声が入っているとか入っていないとか、さまざまな憶測が展開されてもいたと記憶する。

 そのようななかで、追加公演を除いたツアーの全公演を終了した直後の9月8日*83、公式サイトで9thシングルの発売が「今冬」であること、そしてこの日の「欅って、書けない?」#197にてその選抜発表が行われることが告知される。放送はメンバーのいないスタジオから始まり、この日の企画は冒頭から選抜発表。メンバーへの発表の際のVTRが差し込まれる形で、9thシングルが欅坂46として初めての選抜制がとられること、およびその選抜メンバーが発表された。17人編成*84のフォーメーションで、センターには引き続き平手を据え、2期生から7人が選抜入り。1期生7人・2期生2人が「選抜落ち」となる形になった。平手の両脇に松田里奈・田村保乃を置くなど2期生を大胆に抜擢したことや、これまでダンスの面でグループを引っ張ってきたと評される鈴本美愉齋藤冬優花、レギュラーのラジオ番組を持ちソロ写真集『青春の瓶詰め』の発売を控えていた小池美波、グループとしてのレギュラーラジオ番組「こちら有楽町星空放送局」のMCを務める尾関梨香ら多くの1期生が選抜落ちとなったことなど、大きな衝撃を与える選抜発表であったと記憶する。発表直後の菅井の「欅が変わるためにはもうこれしかないのかなって思いました。グループとしてすごく停滞しているのはずっと感じてたので、何かきっかけが必要なこともあるのかなと思ってました」というコメントも放送され、グループの状態について「停滞」と述べたことも話題をさらった。また、番組内では選抜発表が「7月某日」であったことも明かされており*85、選抜制の導入という事態を胸に秘めたままツアーのステージに立っていたメンバーの心中が思われた*86。スタジオでは番組MCの土田晃之澤部佑も驚きを隠さず、平手は「ファンの方がついてきてくれるか不安」と口にした。

 菅井は放送翌日の「レコメン!」で、「3年間みんなで取り組ませていただけたことが本当に恵まれてたし、ありがたかったなって思うし、やっぱりこうなると正直寂しい」「ずっとその全員が好きで応援してくださった方もいらっしゃると思うし、なんかすごく残念って思わせてしまったら本当に申し訳ない」「今回はこうでしたけど次どうなるか分からないですし、私たち次第で何か変わるかもしれないし、いつかまたみんなでできたらいいなとは思います」と複雑な心境を吐露した。ブログでは3年半もの間続いた「全員選抜」について、「安心しすぎてた部分もあったかもしれない」として、「欅坂が1段階成長するために必要な試練なのかな」とも書いた。

 選抜発表からその放送まで約2か月あったこともあってか、この頃においては多くのメンバーがこうしたトーンで選抜制を受け入れようとしていくが、一方で2期生の加入もあり、「いつかは選抜制が導入されるかもしれない」とメンバー自身ももともと予想していたところはあったようである*87。また齋藤冬優花は、選抜制導入への「覚悟」について、こう語ってもいる*88

 ——では、前々から選抜があるかもという覚悟があった?
齋藤 覚悟は1stシングルのときからしています(笑)。もうずーっと「次のシングルは選抜制だろうなあ」って思いながら活動してきたので、これまでメンバー全員で表題曲を歌わせていただけてたのはすごいことだし、感謝しています。
(『月刊エンタメ』2020年1月号 p.36)

 齋藤は、過去の選抜発表でこんな経験をしている。初めてフロントに抜擢された3rdシングル「二人セゾン」、その選抜発表(「欅って、書けない?」#53、2017年10月16日)。7-7-7の21人のフォーメーションの後列から順にメンバーの名前が呼ばれていくが、1stシングル、2ndシングルと3列目のポジションであった齋藤の名前がなかなか呼ばれない。発表前には、土田・澤部が「ひらがなけやきのメンバーが入ってくるかもしれない」と(その場にひらがなけやきのメンバーはいないのに、半ば無理やり)あおってもいた。2列目までの14人のメンバーが呼ばれ終わって、とうとう1列目。1stシングルのときから「覚悟」をしていたという齋藤は何を思っていたのだろう*89。しかも従来は各列外側のメンバーから名前を呼ばれていく形だったため、1列目の最後に呼ばれるのはセンターの平手であったのに、このときはなぜか各列中央のメンバーが最初に呼ばれ、それからその左右のメンバーが順に呼ばれていく形がとられたので*90、1列目では平手が最初に呼ばれ、下手端の1番のポジションであった齋藤は最後に呼ばれる形となった。発表後には「呼ばれないのかなって思ってて」と涙を流した齋藤。演出だとしたら趣味が悪くないか、と首を傾げた覚えもあるが、このときの経験も彼女の「覚悟」を強めていたかもしれない*91

 選抜制の導入に話を戻す。いつかくる「そのとき」。それがこのときだったというだけのことだ。「全員選抜」は、いつか覚めてしまう夢のようなものだったのかもしれない。改めてこの頃のメンバーの発言を追っていくと、そんなふうにも思えてくる。筆者自身もなんとなくそう感じてはいたが、あまり考えないようにしていたようなところがある。このときメンバーは全員で26人。この少し前には、STU48が3rdシングルで「28人全員選抜」としたことが話題にもなっていた*92。偽らざるところでいえば、「ギリギリいけるのでは?」ともちょっと思っていた。「選抜制はもう流行らない」みたいなことも思っていた記憶もある。「覚悟」ができていなかったのは、こちらのほうだったのだろう。

 また、菅井は少しあとになって、選抜制の導入について改めてこうまとめてもいる。

 一方で、広く衝撃を与えたのが、発売を控える9thシングルからの選抜制への移行だった。これまで“全員選抜”として活動を続けてきたグループにとっては、あるべき形が大きく変わるほどの出来事だったが、菅井は「変化は決してマイナスなことばかりじゃない」と打ち明ける。

 「正直にいえば、複雑でした。昨年の夏頃から次のシングルについては考えていて、私たちは変わらないメンバーでやってきた意識もあったけど、デビューから3周年を数えた中では、環境に慣れたことからどこか気持ちの“隙間”にも似た余裕が生まれてしまっていたのかなとも思ったんですよね。

 だからきっと、選抜制への移行は私たちがより強くなるために、必死に考えてくれた結果とも感じていて。グループの形がまた1つ変わることで、一人ひとりの活動へ対する思いが高まってきているのを感じているし、1日でも早く新体制としての新曲を皆さんにお披露目できる日が来るのを心待ちにしています」。

(クランクイン!「欅坂46キャプテン・菅井友香、グループの変化は『マイナスなことばかりじゃない』」〈2020年1月19日公開〉)

  

・「2期生」という存在

 グループの「2期生」というのは、なかなか難しい立ち位置である。オリジナルメンバーである1期生にとっては、初めての後輩。パワーアップのために新メンバーを迎えるということが、既存のメンバーの力不足を指弾するように感じられてしまうこともある。ひらがなけやきが2期生を募集することを思わぬ形で知ってしまった1期生メンバーが、ライブ*93をボイコットしようとするほど激しいショックを受けたという著名なエピソードもある。また、先にも引いた菅井と乃木坂46初代キャプテン・桜井玲香の対談では、このようなことも語られている*94。両名とも、驚くほど率直に現実を語っているように思う。

菅井 私が聞きたいのは、乃木坂46さんって2期生、3期生、4期生ってどんどんメンバーが増えてきたじゃないですか。どうやって仲よくやってきたのかなって。ウチは2期生が入ってきたばかりで、まだ壁を感じるんです。

桜井 いつ入ったんだっけ?

菅井 年末から一緒に活動するようになりました。前向きに受け止める子もいれば、やっぱりまだ整理がつかないっていう子もいて。

桜井 ウチでいうと、前向きな子はほぼいなかったよ。だから、2期生はホント可哀想だったと思う。

菅井 そうだったんですね。

(『BUBKA』2019年4月号 p.14)

 1期生が34人*95という大人数でスタートし、CDデビュー前からさまざまな場面で選抜制が展開されてメンバーの激しい入れ替えがあった状況で*96、結成から1年4か月というグループの色がまだはっきりしない時期に2期生の募集が始まった乃木坂46と、デビュー以来「全員選抜」が続けられ、“21人”でのまとまりが強調されてきた時代も長く、2期生を迎えるまでに結成から3年以上があった欅坂46とでは違う部分もたくさんあるだろうが、2期生というものが難しい立場であることには変わりない。後輩との接し方がわからないしその存在にマイナスな感情さえあったような先輩に対してはとんでもなく気を遣うだろうし、オリジナルメンバーを応援してきたというプライドがあるファンから「推し変」を勝ちとることも容易ではない。

 小池美波は、2期生の加入に対して抱いていた心情についてこのように語っている。

——今では大切な仲間になっている2期生ですが、初めに加入を聞いたときはどう思いましたか?

3年以上ずっと一緒に活動していたメンバーの卒業が決まったりして、すごく寂しいときに聞いたので、感情がめちゃくちゃになってしまって。どういう風に迎えたらいいのかもわからなかったです。でもこっちがそんな反応だと怯えちゃうから、それもいけないし……。*97 

(『青春の瓶詰め』〈2019年9月20日発売〉小池美波インタビュー)

 1期生の“21人”でのまとまりについてはこれまでもさんざん引いてきたところだが、ここでもうひとつ菅井の発言を紹介しておきたい。タイミングとしてはすでに「坂道合同新規メンバー募集オーディション」の開催が発表され、各地でのセミナーを経て、応募期間が始まる前後くらいの発言と推定される。

——パフォーマンスのクオリティを保つために、21人がベストだからという理由でしょうか?

菅井 それもそうだし、やっぱり21人でいる時が一番楽しいし居心地もいいなぁって感じます。まあ、願望でもあるんですよね。21人でやっていきたいというのが。みんなでやってきたからこそ、卒業とかもいつかはあると思うけど、誰かが誰かが抜けるってことは今は全く想像ができなくて。

(『BRODY』2018年8月号 p.26)

 少しフォローもしたいので、その後の時期のメンバーの発言もあげておく。副キャプテン・守屋茜は、2期生とともに過ごした2019年を経て、このように語っている(このインタビューの収録日は2020年1月12日)。

——この1〜2年でグループの形も変わってきました。1期生21人の時期が長く続きましたが、卒業するメンバーも出て、2期生も入ってきました。そのあたりをどう見ていますか?

守屋 グループが変わっていくことは怖かったです。そもそも3年くらい卒業生が出なかったことが奇跡だなと思って。そこに強さが生まれて、形となって表れていたんだなって思います。それが卒業生も出て、2期生が入りますとなった時はやっぱり不安でした。今後、このグループはどうなるんだろうって。でも、2期生はみんないい子たちで、新しい風を吹かせてくれました。だから、グループが変わっていくこともいい意味でとらえられるようになりました。入ってきてよかったなと2期生が思ってくれるようにならないといけないし、1期生がお手本にならないといけません。そういう心境になったので、みんなお姉さんになったなと思います。

(『BUBKA』2020年3月号 p.8) 

 また、“21人”への強いこだわりを抱いていたのはメンバーばかりでなく、多くのファンも同様であったように思う。21人全員で出演した「第67回NHK紅白歌合戦」での「サイレントマジョリティー」に心を動かされてきたし、卒業メンバーが出てさえ、写真集『21人の未完成』の出版を喜んだ。筆者の印象にすぎないが、はっきり言ってしまえば、欅坂46の2期生がファンに受け入れられていく過程には他のグループより時間がかかったように思う。新メンバーの活躍を喜びながらも、事あるごとに“21人”を思い出してしまうようなところが、筆者にもある時期までは、なかったといえば嘘になる。欅坂46にはそういう地盤もあった。

 あるいは、「坂道合同新規メンバー募集オーディション」の同期である乃木坂46の4期生、ひらがなけやき(日向坂46)の3期生と比べても、欅坂46・2期生の立場は少々厳しかったと言わざるを得ない。すでに後輩を迎えたことがあるグループと、そうではないグループという差はそもそも大きかっただろう(上述のように、「2期生」とは難しいポジションである)。2018年12月に、同じように日本武道館での「お見立て会」*98で世に出てきた彼女たちだが、そこから欅坂46・9thシングルの選抜発表が放送された2019年9月8日までの段階で、欅坂46には新規のリリース曲がなかった一方、乃木坂46・4期生は3曲のオリジナル楽曲*99をすでにあてがわれており、4月には初の舞台公演となる「3人のプリンシパル」を、5月25日には横浜アリーナで4期生としての単独ライブを経験。さらに遠藤さくら・賀喜遥香・筒井あやめの3人は24thシングルで表題曲でのフロントメンバー(遠藤はセンター)に選抜されている。ひらがなけやき唯一の3期生であった上村ひなのは、2019年2月11日のグループ改名をもって日向坂46のオリジナルメンバーとなり、3月27日発売の1stシングル「キュン」および7月17日発売の2ndシングル「ドレミソラシド」に参加*100し、2ndシングルではユニット曲「やさしさが邪魔をする」*101も得た。

 欅坂46・2期生についていえば、一部メンバーは最初期から「アンビバレント」で音楽特番に出演してきたし、「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」大阪公演以来ここまで、他の2グループよりも多くライブの場数を踏んできた*102。このときには、目前に東京ドーム公演も控えてもいる。ライブを重ねるなかで徐々に1期生とも交流が深まり、この頃までにはファンも彼女らの存在をおおむね自然に受容していたように思う。2期生は厳しい状況を耐え抜き、明るく前を向いて跳ね返してきたと言っていい。そうなると、どうしても欲しいのが楽曲だった。7人もの選抜入りもそういう意味では喜ぶべきことだったし、シングルのリリースがあれば2期生での楽曲やユニット曲を得ることも当然期待できた。ただ、そのリリースにグループとして至らなかったというのは周知の通りである。そこから1年近くが経ち、6人の新2期生も加わり、ようやく制作された配信シングル「誰がその鐘を鳴らすのか?」(2020年8月21日配信)。これについて藤吉夏鈴は「(自分の声が入った楽曲がリリースされることが)不思議な感覚です。本当に初めてなので、まだ実感ないというか、まだわからないです(2020年7月27日「はんにゃ金田と欅坂46と日向坂46のゆうがたパラダイス」)とさえ語る。欅坂46が2年にわたってさまよってきたという「出口の見えないトンネル」。その向こうから射す光が、彼女らのもとに届く日が早く訪れることを願ってやまない。

 

・東京ドーム公演前夜

 さて、話を戻したい。2019年9月18-19日、「夏の全国アリーナツアー2019」追加公演、東京ドーム公演である。前の公演が終わってから約2週間弱。リハーサル期間としては短かったのだという(参考:小林由依公式ブログ 2019年9月26日「夏が終わった感じしてたのになんでこんなに暑いんだ☆彡」。ステージの世界観やセットリストがどのようなものになるのかは、当然ながら大きな関心事であった。具体的に言ってしまえば、平手をセンターに置いた形では長らく封印状態となっていた「不協和音」および「ガラスを割れ!」がどうなるのか気になって仕方なかった。当然見たいという気持ちはあったし、ここまできたらやるんだろうなとも思っていたが、それぞれの最後の披露時*103のことを知っている筆者としては、「無理にはやってほしくない」「見るのが怖い」という気持ちも少しあった。

 公演が近づくにつれ、メンバーからの発信も増えてくる。菅井は9月16日の「レコメン!」で、「ツアーの追加公演っていうよりもかなり内容が結構変わってて」「久しぶりの曲もある」と発言。「皆さんに『これが欅坂46だな』って思ってもらえるようなライブにしたい(月刊エンタメ』2019年11月号 p.13*104という意気込みで臨んでいたという。公演前日の9月17日には、小池美波がレギュラーラジオ「ザ・ヒットスタジオ(火)」で「熱いセットリスト」と口にした。ただ一方で、この日には織田奈那が東京ドーム公演を欠席することが発表されてもいる。公式には、理由について言及はされていない。メンバーの欠席の発表がライブの直前になるのはいつものことといえばいつものことで*105、そうなるという危惧もあらかじめあり、「恐れていたことが起きてしまった」という感じが筆者個人にはあった。ただただ、残念でならなかった。

 また、選抜発表の放送がこの間であったということは、メンバーの心境に影響を与えていたようである。後日、インタビューで東京ドーム公演のときのことを振り返るなかで、9thシングルのフロントメンバーに選抜されていた田村保乃と、選抜メンバーから漏れた小池美波は、それぞれこう語っている。

——2期生にとっては初となる全国ツアーを経て、9thシングルのリリースも控えていますが今後の意気込みを教えてください。

田村 そうですね……。選抜発表される前のライブと、された後のライブでは今考えると心の持ちようが全然違ったなと思っていて。される前は自分ができることを一所懸命やって、精一杯楽しんでいたんですけど、発表されてからは背負うものとか感じるものが変わりました。ただ、それをプレッシャーに感じるのではなく、糧にできるくらい強くなれたらいいなと思っています!……(後略)

(『月刊エンタメ』2019年12月号 p.68)

「(前略)……とことん自分のダンスと向き合ったのは、久しぶりだったかもしれないです。ちょうど東京ドームライブの前の週くらいに、『けやかけ』で選抜発表の回が放送されたので、メンバー1人ひとりに対する、欅坂を応援してくださっている方からの見方が変わるかもしれないなと思って、いつも以上に力を入れたところも自分の中ではあったりしました」

(『B.L.T.』2020年1月号 p.40)

 このようななかで、 東京ドーム公演は当日を迎える。その日がくるのはあっという間だった。

 

欅坂46の“集大成”として

 東京ドーム公演は歓声から始まった。暗転した会場のメインステージに、スポットライトを浴びて平手友梨奈がひとり姿を現す。その世界観を見せていくかのようにゆっくりと時間をかけて、ゆるやかに舞い踊りながらステージを歩く。そして中心に置かれたピアノの鍵盤をひとつだけ叩くと、再度暗転。Overtureが始まった。

 1曲目はいきなりの「ガラスを割れ!」。全員が赤の衣装に身を包んだ欅坂46がステージに姿を現し、1年以上ぶりに平手がこの曲のセンターに立つ。照明に赤く染められたステージは特効の炎に包まれ、客席のペンライトもあっという間に緑から赤に変わる。けが明けの平手。しかしこの日はキレが違う。「勝った」。そう思った。

 ダンストラックを挟みながら、「語るなら未来を…」「Student Dance」「エキセントリック」と「全員曲」が次々に繰り出される。「Student Dance」ではスマホと椅子のパフォーマンスでメンバーは花道へ。水を使った演出も始まる。「エキセントリック」では、メインステージからセンターステージに「瞬間移動」するという大技も決まった。

 2期生によるMCを挟んで、雰囲気がガラッと変わり明るくなる。「世界には愛しかない」ではMVをなぞる傘を使ったパフォーマンス。「青空が違う」ではメンバー4人が気球に乗って客席の空を飛んだ。「バレエと少年」がメインステージ上手側をコンパクトなステージに見立てて演じられ、再びの「全員曲」となる「制服と太陽」ではセンターステージに、「二人セゾン」ではバックステージと花道に展開。バックステージをひとりで使った平手のソロダンスも圧巻だった。

 「キミガイナイ」が吹き上がる水のなかで披露され、幻想的な雰囲気をそのままに「もう森へ帰ろうか?」が続く。「僕たちの戦争」は、今度はメインステージ下手側で演じられた。「結局、じゃあねしか言えない」では花道からグラウンドに下りて会場をメンバー4人が自転車で走り、アウトロでは指7本の「なな」ポーズで、欠席となった織田へのメッセージが送られた。

 もう一度2期生によるMCを挟み、ライブは終盤へ。畳みかけるように、再び「全員曲」が続いていく。ネイビーブルーの新衣装に身を包み、ここでデビュー曲「サイレントマジョリティー」。あの頃よりいくぶんゆったりとした「モーセ」。必死で食らいついて踊ったはずの振り付けが、いまでは少しシンプルに見える。続く「避雷針」では、渡邉理佐が走って飛び込む平手をしっかりと抱きとめた。黒と白の新衣装に再度チェンジし、「アンビバレント」。客席にボールが放たれ、「Hey!」のかけ声とともに会場のボルテージが上がっていく。

 続く「風に吹かれても」では、動く階段という舞台装置を使って笑顔のパフォーマンス。ラストでは全員が階段に集まり平手が指差しを決めた。「危なっかしい計画」の前奏がかかると、メンバーは会場を次々に煽りながらセンターステージへ。なかでも小林由依の煽りはやはり圧巻であった。そして菅井からの「最後の曲」とのアナウンスとともに、「太陽は見上げる人を選ばない」。再び水の吹き上がるセンターステージでパフォーマンスしたのち、メインステージに戻ってメンバーは横一列に。客席からの「OH OH OH…」のかけ声がひととき会場を満たしたのち、「ありがとうございました!」と菅井がライブをまとめた。

 そして5万人のアンコール。ここまできたら、いやがうえにも期待は高まる。あの曲を見たい。まだあの曲を見ていない。暗転したままのステージに現れたメンバーの人影に客席が気づく。衣装、フォーメーション、まだわからない。来るか、本当に来るのか。暗闇に向けて無数の目をこらした客席を、その曲のイントロが流れるとともに驚きの色を含んだ大歓声が満たした。

 倒れていた人影がよろよろと立ち上がる。青い制服。拳を突き出す。こちらを見る。平手にとってじつに626日ぶりの披露となる「不協和音」だった。

 冒頭から情け容赦のない激しいダンスが展開される。原田葵が放った矢がこちらを射る。地鳴りのような「Oh!Oh!Oh!」が響き渡る。一度目の「僕は嫌だ」。まだまだこんなもんじゃない。来たるべき爆発に向けてボルテージが上がっていく。2番に入り、Aメロ、Bメロと過ぎていく。長濱ねるのポジションにいるのは誰だ? スタンドから目をこらしているうちに、その瞬間はもう訪れる。二度目の「僕は嫌だ」は田村保乃。強く少しだけ甲高い拒絶が耳を突き刺した。サビを経てCメロ、間奏。倒れた21人がもう一度立ち上がり、どんどんと中心に力を込めていく。来る、来る、来る。迫りくるものを逃すまいと目を見開いたそのとき、平手による三度目の「僕は嫌だ」が炸裂した。客席の熱狂が求めた渾身の叫び。そこには恐怖にも似た感情を凝縮して爆発させたような響きがあり、以前のそれと違うものが乗せて放たれた声だったように聴こえた。

 “Discord Discord Yeah! Discord”——胸を突き出す動きの21人が、青い三角の陣形をつくる。アウトロ。余韻を長く残して、曲が終わる。ライブが終わる。そこにメンバーは、もういなかった。

 すごいものを見た。スタンドの椅子に座り、筆者はしばし放心状態だった。求めていたものがすべて込められたようなセットリスト。このセットリストについて、菅井はライブ前、このように語っていたという。

——本誌が発売されている頃にはライブは終わっていますが、どんなライブになると思いますか?

菅井 こういう言い方が正しいか分かりませんが、“集大成”みたいな感じがします。セットリストを見て、私自身も「このセットリストでやってみたかった」と思いました。『ガラスを割れ!』『不協和音』とか爆発力のある曲は盛り上がりますし、パフォーマンスしている方としても胸にくる部分があります。……(後略)

(『月刊エンタメ』2019年11月号 p.13)

 欅坂46の“集大成”。「黒い羊」を除くすべての表題曲が披露され、ライブでは鉄板となっているカップリング曲やアルバム曲も揃えられていた。ユニット曲は決して網羅されたわけではないが、現役メンバーが残っているものを中心にバランスよく組み込まれた。「ガラスを割れ!」で始まり、「不協和音」で終わる。長い時間をかけてため込んできたエネルギーを、一気に放出したような2時間だった。

 

・東京ドーム公演2日目、無限の余韻

 そして翌日、公演2日目。セットリストは変わらない。メンバーのパフォーマンスにさらなる向上がみられる一方、筆者も含めて2日とも参戦の観客も多かったか、客席のざわめきは少しだけ抑制的で、そのぶん歓声が大きかったように思う。「ガラスを割れ!」でペンライトが赤に揃うのが早かったし、1日目で揃わなかった「結局、じゃあねしか言えない」での五人囃子の黄色も、この日は綺麗に揃った。ちなみに「エキセントリック」の「瞬間移動」は、この日もう一度アリーナから目をこらしてみても、結局何が起きているのかわからなかった。

 「サイレントマジョリティー」、「避雷針」。いつまでもこの場所にいたいが、時間はどんどん過ぎていく。「アンビバレント」、「風に吹かれても」。セットリストを知っているせいで、終わっていくのがわかってしまう。「危なっかしい計画」。ステージに立つ"26人"を目に焼きつける。本編最後の「太陽は見上げる人を選ばない」。「みんなのことが大好き!」と、小池美波が声を裏返らせながら叫んだ。

 アンコール。客席にいた肌感覚としては、1日目と違う演出を期待するというより、多くの観客が「不協和音」を待ち望んでいたように思う。イントロが流れたときの歓声は、驚きのあった1日目より歓喜の色が強かった。東京ドームでの、二度目の「不協和音」。欅坂46は、5万人を納める会場を完全に飲み込んでいた。さらに迫力を増したパフォーマンスをぶつけ終えて、ステージは暗転。アンコールまでが終わった。

 ペンライトで真緑に染まったアリーナ、スタンド。昨日と様子が違う。会場が明転しない。ステージがもう一度、緑色のライトで照らされる。まだ終わらない。客席にはざわめきの波が起こり、それはしだいに、欅坂46を呼ぶダブルアンコールの声に変わる。

 しばらくの間があった。5万人は、その先にある知らない何かを求めていた。切望が限界まで高まったそのとき、センターステージにひとり、平手友梨奈が現れる。どよめくような一度目の歓声。両手を胸に当てるポーズをとり、イントロがかかる。驚きを含んだような二度目の歓声。「角を曲がる」とスクリーンに曲名が表示されたところで、ようやく確信した客席に三度目の歓声がこだました。

 楽曲としてはリリースされていなかった、平手の主演映画「響 -HIBIKI-」の主題歌。もしかしたら、初めて聴く人も多かったかもしれない。筆者も劇場で一度聴いたきりになっていた。ひとりきりのダブルアンコール。優しく美麗なメロディに乗せて、しなやかなコンテンポラリーダンス。あの大観衆のなか、あんなにのびやかに踊れる人間が世界にどれだけいるだろう。欅坂46の“集大成”のステージ。そのクライマックスにあって、グループのセンターがひとりで踊る。唯一無二の才能が、「みんなが期待するような人に/絶対になれなくてごめんなさい」と歌う。言葉にならない。劇場のエンドロールで聴いたイメージが重なって、それはこの公演のエンディングテーマのようにも聴こえた。

 時間にして約3分。曲が終わるとともに、表情を緩めて少し微笑んだ平手。14歳の頃の無邪気な笑顔とも、パフォーマンスのなかで時折見せる18歳の笑顔とも違う、見たことのない表情だった。1秒、2秒、3秒。満員の東京ドームに歓声と静寂が入りまじる。時間にして10秒と少しの余韻だったが、それは無限に続いていくようにさえ思えた。そして「ありがとうございました」と深く頭を下げ、そのまま平手の姿はステージの暗闇に消えた。

 夢の大舞台。東京ドーム公演が、幕を閉じた。

 

・正しく進まない時計の針

 東京ドーム公演を成功させ、賛否はどうあれ選抜制の導入という新たな手も打った。2期生を本格的に組み込んだ形で、欅坂46の「新章」ともいうべき歴史が始まる。そんな期待が高まっていた。興奮冷めやらぬ公演翌日の9月20日には「角を曲がる」のMVが公開され、10月9日にはストリーミングサービスでの配信も始まった。配信のみとはいえ、7か月以上ぶりの新規楽曲のリリースは好意的に受け止められた。

 これに前後して、菅井からも9thシングルへの言及が増えていく。「レコメン!」では、9月30日に「(9thシングル収録曲は)全部好きです」、10月28日には「もうすぐ言えると思いますけど」、11月4日には「全部いい曲なので楽しみにしててください」と、情報解禁に向けて期待が高まる発言が続いた。同じ11月4日に更新されたブログでは、「今冬」とのアナウンスだった発売日について「年内」と表現した(時期は不明だがのちにこの記事は消去され、現在確認することはできない)。

 なかなかシングルの詳細が明らかにならず*106、もやもやした時期でもあったが、制作が進められているという情報も着実に出てきていた。上村莉菜は「最近、選抜メンバーだけで過ごすことも増えてきて」いる(『月刊エンタメ』2019年12月号 p.65)と発言していたし*107、小池美波は『B.L.T.』2020年1月号でのインタビュー*108で、選抜メンバーから漏れたことを苦しみながら受け入れて前を向いていく過程について語ったのち、参加する9thシングルのカップリング曲の制作について以下のように語っている(改めて読むと、かなり具体的に踏み込んだ発言に思える)。

 そんな風にいろいろと乗り越えた選抜外メンバーの曲ですが、そんな思いを抱いているんでしょう?

「欅坂で初めてのアンダー曲なので、『このメンバーで、この楽曲を歌ったんだよ』ってグループの歴史に残したいって思いました。衣装さんも、(振付の)TAKAHIRO先生もすごく細かい部分まで考えてくださったと聞いて……。スタッフの皆さんも『アンダーではなく、1つのユニットとして見てほしい』という思いを込めて、私たちのために最高の準備をしてくださったことがパワーになりましたし、秋元(康)先生の歌詞も、失恋の歌なんですけど、選抜に入れなかった私たちのことを歌っているようにも聞こえて、すごく響いたんです。……(中略)……私自身も含めて誰も“アンダー”っていう意識が今はないんですよね。……(後略)」

(『B.L.T.』2020年1月号 p.42) 

 しかしこの時期以降、9thシングルの話題はトーンダウンしていく。11月が終わる頃になり、徐々に諦めムードも漂い始めた。そして12月8日、公式サイトで正式に発売日の見直しがアナウンスされる。「当初この冬年内のリリースを予定して」いたが*109、「制作を進める上でより良い作品を追求して行きたいという考えに至り、発売日を見直す」ことになった、という説明であった。発売日は「改めてご案内」するとのことであり、公開されている情報が事実上ゼロになってしまう。

 これを受けて、当日に菅井はブログを更新する(メンバーではほかに、守屋茜も近い趣旨のブログを更新している)。

オフィシャルサイトに発表されましたように
9枚目シングルの発売日を見直すこととなりました。
 
楽しみに待っていてくださっている皆さまには
ご報告のタイミングが遅くなった事も含め
申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 


メンバーも、発売に向けて精一杯取り組んでいました。
その分悔しい気持ちもあります。
 
ですが、よりこだわって良い作品を追求する事が欅坂46の為にも必要なのだと、今は思っています。
 
もう少し私たちに時間をいただけたら嬉しいです。

菅井友香公式ブログ 2019年12月8日「9枚目シングル」

 また、菅井は翌日の「レコメン!」でも「よりよいものを追求していきたいということで」「もう少し待っていただけたらありがたい」と語った。齋藤冬優花ブログによれば、表題曲についてもMV撮影までは行われていたようではあったが、それ以上の状況は見えてこない。これ以降、9thシングルについての言及はなくなっていく。

 

・「紅白」までを駆け抜けて

 一方で、この時期に前後して年末恒例の音楽特番が続いていくことになる。9thシングルが「間に合わなかった」という形でもあるのか、この年の音楽特番では、さまざまな楽曲が演じられることになっており、それはそれでけっこう楽しかったような覚えがある(2017年は「風に吹かれても」、2018年は「アンビバレント」で〈「紅白歌合戦」を除いて〉固められていたため、それらとはかなり対照的だった)。

 例年通り、スタートは11月13日の「ベストヒット歌謡祭2019」。披露曲は地上波テレビ初披露となる「避雷針」だった。事前に曲目は明かされておらず、「Student Dance」「もう森へ帰ろうか?」「Nobody」とあわせたカップリング4曲のうちどれか、という形で予告がなされていた。どの楽曲でも地上波テレビ初披露で、どれも見てみたかったが、「避雷針」はなんとなく妥当な選択だったようにも思える。センターは平手で、1期生のフォーメーションに2期生を取り混ぜる従来の体制。この体制で、年末までを駆け抜けていくことになる。

 続く11月27日の「ベストアーティスト2019」では、「風に吹かれても」と「アンビバレント」の2曲をメドレーで披露。平手は「アンビバレント」では片手側転を見せ、コンディションのよさを感じさせた。12月11日の「FNS歌謡祭 第2夜」では、「月曜日の朝、スカートを切られた」を披露。この曲は2017年7月15日の「音楽の日2017」および2017年7月22日の「COUNT DOWN TV」以来、3回目のテレビでのパフォーマンスであった。12月23日の「CDTVスペシャル!クリスマス音楽祭2019」では「二人セゾン」を披露した。

 12月27日の「ミュージックステーション ウルトラスーパーライブ2019」は圧巻であった。「黒い羊」を5分という長尺で披露(2サビのみをカットし、大サビ前にブレイクを挿入)。会場である幕張メッセの階段や通路を使い、MVに近い世界観を展開させたあと、特設された誰もいない会場で、半ば演劇のような色のあるダンスパフォーマンスを繰り広げた。さらにこの日には、平手が「角を曲がる」をフル尺で披露。平手の直筆と思われる歌詞テロップとともにソロダンスで楽曲を届けた。

 12月28日の「Melodix! Plemium 年末スペシャル」では、「アンビバレント」を披露。また、この日には「COUNTDOWN JAPAN 19/20」にも出演している(平手は欠席*110)。「黒い羊」以外の表題曲をすべて盛り込んだ10曲のセットリストで、メインステージであるEARTH STAGEにトップバッターとして立った。センターは「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」および「夏の全国アリーナツアー2019」の際のメンバーを基本にしつつ、「サイレントマジョリティー」と「アンビバレント」では小林由依が務めた*111。12月30日には「第61回日本レコード大賞」発表会に出演し、優秀作品賞受賞作品として「黒い羊」を披露。この日は全編にわたってダンスパフォーマンスの形であった。加えてこの日には「坂道テレビ〜乃木と欅と日向〜」(第2回)が放送。「アンビバレント」がフル尺で披露された。

 そして12月31日、「第70回NHK紅白歌合戦」。披露楽曲は「紅白歌合戦」では2年ぶり2回目となる「不協和音」であることが、12月20日に発表されていた。「紅白歌合戦」と「不協和音」。その因縁についてはここではもう語らないが、注目度は高かったと言っていい。曲順は24番目、後半の4番目。総合司会の内村光良が、「本当にもう1回聴けるとは思わなかったし、でももう1回やると決めた彼女たちの気概をすごく感じました」と送り出した。

 赤い衣装に身を包んだメンバーが画面に現れる。「不協和音」オリジナルの青基調の制服と同じ形で、色を反転させたものだった。イントロがかかり、立ち上がって拳を突き出す平手のまなざしが大写しになる。立ち上がったメンバーを率いて、胸を突き出しながら陣形を作る。「君はYesと言うのか」。2番の歌詞から始まった。すぐにわかる、これは「あの日」の続きだ。引きのアングルが挟まれた。21人のキレは十分だ。一度目の「僕は嫌だ」を田村保乃が放つ。手を振り払われた平手は、もうすでにイヤモニを吹っ飛ばしていた。

 ここからは圧巻だった。陣形をくるくると変えながら、パフォーマンスは加速していく。平手の「僕は嫌だ」には、東京ドーム公演のときとも違う、何か大いなるものへの怯えさえ乗っているように感じた。曲はクライマックスに向かう。全員の動きがよりいっそう激しくなる。全員全力のパフォーマンスのなかで、それでも明らかに平手の動きが凄まじい。「僕を倒してから行けよ!」と歌いあげた平手の表情には狂気の笑みが差し、高笑いをするように身体をのけぞらせた。三角の陣形が曲を終わらせる。「欅ポーズ」はつくらなかった。その手を田村がぎゅっと握ると、うつむいた平手の表情から狂気が消え、またしても何かに怯えたような表情になる。最後には何かをささやいているようにも見えた。

 「新・『不協和音』だ!」。内村光良はそう叫んだ。「あの日を乗り越えた」なんて言わない。ただただ拍手を送るしかなかった。2019年最後の日、平手友梨奈欅坂46は新たなフェーズに入った。そう思っていた。

 改めて語るまでもない。このときが平手にとって、欅坂46での最後のパフォーマンスとなった*112

 

・いくつもの「一番星」

 2020年1月23日夜。織田奈那・鈴本美愉のグループ卒業、平手友梨奈のグループ脱退が公式サイトで発表される。 また、あわせて佐藤詩織の活動一時休止も発表された*113

 唐突かつあまりにも大きな発表に、筆者にも当然驚きはあった。一時は呆然となったと言っていい。しかしそれよりも、「世間が大騒ぎになった」という印象のほうが強い。「報道ステーション」が速報を打ち、Yahoo!のトップニュースが平手の脱退だけで2行を使った。Twitterのトレンドも独占状態。そんな世間の喧噪をどこか遠く感じて、携帯電話を置いてテレビを消したことを覚えている。普段は聴かない「SCHOOL OF LOCK!」を聴いた。脱退の理由が語られなかったことに、なぜだか少しほっとした。

 翌日。こういうときにトップバッターでブログを更新するのは、いつも菅井だ*114。 

ずっと試行錯誤していましたが、
メンバーとしてだけでなく、
一人の人間として向き合った時
それぞれの意志の固さを感じました。
 
本人たちの背中を押してあげることが1番だと思いました。
 
1度きりの人生、チャレンジしたいことには本気でぶつかって欲しい!
 
自分を大切にしてね。
ずっとずっとみんなのこと応援しています!

菅井友香公式ブログ 2020年1月24日「(無題)」

きっと、これだけの変化があり
応援してくださるみなさまを本当に不安にさせてしまっていると思います。
 
今まで本当に色々なことがありました。
 
その全てを糧に
積み上げてきたものを大切に、
道を切り開いて行きたいです。

 
私自身も、欅坂のために出来る精一杯の行動をして行きたいと思っています。

 (菅井友香公式ブログ 2020年1月24日「(無題)」

 1月27日の「レコメン!」での彼女の発言によると、「メンバーはずっともう知ってたことだった」という。「ずっと」が具体的に指すところは不明だが、確かに織田と鈴本は長期間グループを離れている状態だった。佐藤の留学だって、だいぶ前から準備をするものだろう。平手が菅井に最初に「辞めたい」と口にしたのは2017年の紅白を終えた頃だったらしい、ということは、先にも引いた通りだ。ずっとずっと、たくさんの逡巡があったのだろう。菅井のいう「試行錯誤」の内実もわからないが、彼女なりに手を尽くしたことは疑いない。彼女はキャプテンであり、菅井友香だから。われわれにできることはきっと、彼女と同じように、「本人たちの背中を押してあげること」しかないし、そうすべきなのだと思った。

 また、これも大きな話題となった「脱退」という聞き慣れない言葉選びには、筆者はあまり引っかからなかった。報道されているところによれば、それは平手の意思によるものであるらしい。彼女からのメッセージとして、筆者は受け取ることにした。 

 比較的近年において、平手は繰り返し、「欅坂46への恩返し」ということについて口にしている。

●やっぱり、普通には終われないんだっていうかね。(編註:2018年9月5日「夏の全国アリーナツアー2018」千秋楽幕張メッセ公演でステージから転落して病院に運ばれるも、ダブルアンコールでステージに戻るという形でツアーを終えたことに関して)

「確かに。終わってみたい、いつか。やっぱり自分ってダメなんだなあと思いました。だから、あのままじゃ終われない気がして。欅坂に恩返しをしなくちゃ、ちゃんとお礼をしなくちゃ終われないって思ったから。だから、ほんとに今があると思うんですけど」

●それだけ欅坂に借りがあるという感覚が強いんだね。

「うん、それはあります」

(『ロッキング・オン・ジャパン』2019年4月号 p.176) 

●この前のインタビューでは、「恩返しをしなきゃいけないから」って言ってたよね。その感覚は今もまだある?

「ああ、それはずっとあります」

●もしかしたら、欅坂に入った最初からずっとあるのかな?

「ああ、それはそうかもしれない。それこそずっと支えてくれたスタッフさんとか、メンバーとかに、恩返しをしたいって言うのはずっと思ってます」

●大袈裟に言うと、 欅坂っていう居場所、自分を変えてくれた場所に対する恩返しをしたいというか、さっき平手本人が言ってくれたけれども、欅坂が始まって、ようやく自分の人生が始まったという感覚はあるんだよね。

「うんうん。」

(『ロッキング・オン・ジャパン』2019年6月号 p.82)

 「恩返し」がどうしたら果たされる性質のものなのかは、筆者にはわからない。グループを離れる選択をした理由も、同じくわからない。わかるべきものでもないのかもしれない。ただ、シングルの制作途中というタイミングでグループを離れるという形は、少なくとも100%は、彼女の望むものではなかったのだと思う。その100%に満たなかった部分が、「脱退」と「卒業」のあいだにある隔たりだった。筆者はそう受け止めている。

——最初は不安や戸惑いもあったと思いますが、結果、欅坂46に出合えてよかったと思いますか?

難しいな。上手く言葉では表現できないんだけど……うん、感謝はしています、すごく。

(『Numéro TOKYO』2020年3月号*115

 

 菅井がメンバーについてたびたび使う言葉のひとつに、「一番星」というものがある。

――メンバー個人での活動も増えてきました。

 うれしいですね。一人ひとりが力を持って、どこにいっても一番星で輝けたらいいなって。それで、またみんなが一つになったときにより良い化学反応を起こしたい。だから、それぞれの活動も応援したいし、自分も頑張りたいなと思います。

(読売新聞オンライン・読売中高生新聞「欅坂46 菅井友香さんインタビュー」〈2018年4月20日公開〉)

——菅井さんは先日、舞台『飛龍伝2020』に出演されましたし、メンバー各々が重ねている経験が欅坂46に反映されることも、今後さらに増えるんじゃないでしょうか?

「そうですね。……(中略)……欅坂46は、個性的で魅力的なメンバーがたくさんいるので、私がキャプテンになったときに掲げた『ひとりひとりが輝けるグループ』というのをもう一度見直していきたいです。ひとりひとりが一番星として輝けて、それが集まった時に最強のグループになるっていうのが理想です。……(後略)」

(『CUT』2020年4月号 p.81) 

 「レコメン!」でも、4人のメンバーについて「これからも一緒にみなさんと背中を押してあげられたらいいなって」としたうえで、「魅力的な子がたくさんいるから欅には。どんどん輝いていってほしいなって思う子がたくさんいて」とも語った。グループという同じ空で輝く、いくつもの「一番星」。その輝きを誰よりも近くで、誰よりも目をこらして見てきたのが菅井なのだろう。時間が経つにつれて、違う空に流れていってしまった星もある。それがどうしても大きく見えてしまうこともある。でも、あの空にある星もこの空にある星も、それぞれの輝きをもつ「一番星」なのだ。 

——1月に織田奈那さんと鈴本美愉さんの卒業、平手さんの脱退が発表されて、現在の欅坂46は岐路に立っていると感じるんですが、どのような気持ちで今後の活動に取り組んでいきたいと思っていますか?
「いなくなってしまったメンバーの影を追ってしまうみなさんもいると思うんですけど、私たちは弱音を吐かずに、より欅坂46というものを追求していきたいです。2期生も入って、1期生も力が十分に蓄えられているので、今の私たちはマグマが溜まっているような状態なんです。それを早く爆発させたいです」
(『CUT』2020年4月号 p.81)

 この直後の1月29日には、東京ドーム公演のDVD/Blu-rayがリリースされた。欅坂46の“集大成”であった東京ドーム公演に2日間とも行けたことは筆者にとってかけがえのない体験になったし、このタイミングでリリースされたこの作品は記念碑的なものになった。

 

・グループの再始動と停止

 フォーメーションのセンターであった平手らがグループを離れ、9thシングルが宙に浮いたような状態になるなかではあったが、2月の半ばごろから少しずつグループに新たな動きが出てくる。

 2月16日には、坂道研修生から6人のメンバーがいわゆる「新2期生」として配属される。同時に配属された乃木坂46の「新4期生」、日向坂46の「新3期生」と比較して平均年齢が高く*116、ヒップホップダンスで国際大会に出場した経験のある遠藤光莉やジャズダンスの経験者である守屋麗奈を筆頭に、「即戦力」の色のある新メンバーであるように感じられた。SHOWROOM配信での配属発表であり、「飛龍伝2020」の東京公演と大阪公演の間の時期にあった菅井だが、他2グループのキャプテンとともに新メンバーを紹介するポジションで出演。大園玲、大沼晶保、増本綺良の3人が推しメンとしてその菅井の名前をあげた。

 2月25日には「イオンカード」の新CMがスタート。新曲「誰がその鐘を鳴らすのか?」が使用されたことや、3人の2期生*117が出演したことが話題となった。8thシングル「黒い羊」のリリースから1年という日であった2月27日には、欅坂46として初のドキュメンタリー映画「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」の劇場公開が発表される。公開日はグループがデビュー4周年を迎える直前の4月3日に設定され、特にこの時期に向けてグループとしての動きが出てくることが期待された。映画の公開決定と「飛龍伝2020」の完走が重なり、菅井はこの時期グループを代表して取材を受けることが増える*118

 しかし、この頃から新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に始まっていく。「4th YEAR ANNIVERSARY LIVE」の開催告知もあろうかというタイミングであったが*119、情報が出てこない。大規模イベントについては、2月20日に政府より(「現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではありません。」としながらも)「感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討していただくようお願いします。」というメッセージが出され、2月26日には「今後2週間は、中止、延期又は規模縮小等の対応を要請する」と表現が強まる*120。期間についてはその後延長され、最終的には実質無期限となった*121

 このような状況にあって、メンバー7人*122が出演の2月29日の「東京ガールズコレクション 2020 SPRING/SUMMER」は無観客・生配信での開催となった。そして3月12日には、ドキュメンタリー映画の公開が延期となることが発表される。この頃まではまだメンバーによるSHOWROOM配信が積極的に行われていたが、それも3月26日の井上梨名・武元唯衣による配信を最後にストップした。「欅って、書けない?」のスタジオ収録も3月31日を最後に一時休止となり、リモートへの収録に切り替わる*123

 またそのような折、3月29日に長沢菜々香のグループ卒業が公式サイトで発表された。卒業日は3月31日とされ、非常に急な発表であったといえる。過去には志田愛佳・織田奈那・鈴本美愉平手友梨奈の卒業・脱退が「公式サイトでの発表をもって」なされたこともあったが、公式サイトでの発表では「急なご報告となりましたことをお詫び申し上げます」という過去に例のない表現が用いられるなど、どこかバタバタとした印象もある卒業だった。

 グループ結成4周年となる4月6日には、これを記念してのYouTube配信が行われたが、出演メンバーは菅井ひとりで、自宅と思しき場所からの配信であった。ここでは4周年記念グッズの発売が告知されたほか、「4th YEAR ANNIVERSARY LIVE」が4月15・16日に予定されていたが、開催を見送ったということが明かされる。そして菅井は、デビュー5年目を迎えたグループのこれからについて「どんな茨の道が待っていても、これからみんなで進んでいこうという覚悟ができています」「早く出したいですね、9枚目もね」「この4年間にとらわれすぎず、新しいことにたくさん挑戦したい」と前向きに語った。

 この日に配信の「けやみみ」#4にも、菅井は守屋茜とともに登場。守屋は表だっての活動が停滞するなか、グループとしてはダンスレッスンに力を入れているということを明かし、菅井もそれを早く形として届けたいと語った。ふたりをはじめ多くのメンバーがこうした状況に悔しさをもっているとも語られ、菅井は「あとちょっと待っていただけたら嬉しい」とファンに投げかけた。

 しかし翌日の4月7日には7都府県に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発出され、4月16日にはそれが全国に拡大。グループ活動は本格的に自粛に入り、ブログやメッセージなどの発信を除き、ほとんどの活動が停止。レギュラーのラジオ番組も次々に自宅からのリモート収録・放送や過去の回の再放送に切り替わっていった。

 

・続くコロナ禍のなかで

 グループの活動が停滞するなかで、5月29・30日には「鑑賞会」としてYouTubeにて「欅共和国2017」のライブ映像が配信された*124。2018年にすでにDVD/Blu-rayとしてリリース済みで、その後音楽チャンネル「MUSIC ON! TV」でも放送されたことのある映像ではあったが、メンバーの実況コメントがリアルタイムでTwitterにポストされるなどのしかけもあり、多くの視聴者を集めた。配信の最後では、過去のグループ活動の写真などを「太陽は見上げる人を選ばない」に乗せて構成したスペシャル映像も流された*125

 5月25日に緊急事態宣言が解除されたことを受け、少しずつだがグループの活動も再開されていく。グラビア撮影やテレビ収録が新様式で徐々に再開されていくほか、6月15日には、過去の回の再放送が続いていた「はんにゃ金田と欅坂46と日向坂46のゆうがたパラダイス」がリモート収録の形で再開。さらに7月6日以降はリモートのままではあるが生放送が再開された*126。またリモートでの出演が続いていた菅井の「レコメン!」も、7月6日よりスタジオからの生放送が再開した。

 こうしたなかで、6月30日には「欅坂46スペシャルインタビュー特番」のYouTube配信が告知され、「欅坂46 season’s 28の欠片」として7月4日に配信される。メンバーへのインタビューを通してグループの歴史を振り返っていく構成で、菅井が大きな欅の木をバックに「いまここから私たちは何にでもなれるんじゃないかな」と前向きな気持ちを語って締めくくった。エンディングでは、石森虹花小林由依齋藤冬優花・井上梨名・松田里奈によるアカペラバージョンの「二人セゾン」が披露されたほか、「欅共和国2019」のDVD/Blu-rayが8月12日にリリースされることが発表される。

 グループとして久しぶりの作品リリースは好意的に受け取られたが、一方でこれをきっかけに、改めて9thシングルのリリースやライブの開催などを待ち望む声も噴出していた雰囲気だったと記憶する。ファンは深刻な飢餓状態だったと言っていい。そうした折、7月9日に告知されたのが、無観客配信ワンマンライブ「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU !」の開催であった。

 

・「重要なメッセージ」

 ここでようやく時間は冒頭に戻り、2020年7月16日。無観客配信ワンマンライブ「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU !」である。開催の発表から当日まで1週間という短さであったが、この期間には10か月ぶりのライブへの期待とともにさまざまなものが飛び交っていた。7月13日に公式サイトに掲載された文章では、ライブに懸けるメンバーおよびスタッフの思いが語られるとともに、「そして欅坂46より、皆さまへ重要なメッセージをお伝えする予定です。」と綴られた。その夜の「レコメン!」では菅井から、「パフォーマンスをお見せしていない曲の初披露もある」と伝えられる。

 公式サイトではさらに「これまでの欅坂46の歴史の中でも、見逃してはならない重要なライブ」とまで振りかぶられ、何が起こるんだろう、と誰もが思っていた。筆者の経験と印象によれば、欅坂46はシングルの発売や東京ドーム公演の発表のときなど、事前に匂わせるような情報やビジュアルをリリースすることこそあれ、ここまではっきりと言葉にされることはあまりなかったように思う。

 そうしたなかで迎えた当日には、全メンバーがブログを更新するという過去に経験のない事態が起こる。多くのメンバーは揃ってリハーサル用の緑のビブスが畳まれて置かれている写真をアップし、齋藤冬優花の記事のタイトルは「20150821201811292020021620200716*127、菅井のそれは「欅坂」。昼間から「欅坂46」がTwitterでトレンド入りを続け、改名の可能性を含めてさまざまな予想や噂が飛び交うという状況であった。

 はっきり言ってしまえば、筆者はそうした状況にちょっと疲れていたことを書き残しておく。「推測だらけの伝言ゲーム」ではないが、ライブに向けてとはちょっと違うムードが盛り上がっており、なんとなくすわりが悪かった。たぶんけっこう大きめの「何か」は本当にあるんだろうな、ということだけ思っておいて、インターネットはあまり見ないようにした。何が出てきてももう驚かない。暴れ馬のようなグループの歴史にずっと立ち会ってきたのだから。そうして迎えた19時の「開場」(配信開始)。リモートでファンと交流し、グッズを紹介するメンバーの姿を見ていたら、少し気持ちが落ち着いた。恒例の円陣と「ミニ円陣」の様子*128が流れ、新2期生6人による影ナレがあった。そして19時半、いよいよ開演の時間となる。

 Overtureが流れて、メンバーがゆっくりと入場していく。筆者はこのOvertureが大好きだ。「欅ポーズ」とともに、「太陽は見上げる人を選ばない」でライブは滑り出す。センターに土生瑞穂を置いた「エキセントリック」、全員のソロカットが映し出される「東京タワーはどこから見える?」、森田ひかるをセンターに置いた「Student Dance」、小林由依をセンターに置いた「Nobody」と、ライブでの演出が特徴的なカップリング曲・アルバム曲を重ねていくあたりが欅坂46らしかった。幕張メッセの「アリーナ」を全面に使い、ステージを次々と変えながらライブが展開していく。

 続く「アンビバレント」では小池美波が、換気の時間およびMCを挟んだあとの「大人は信じてくれない」では山﨑天がセンターに立つ。ふたりとも、このセンターポジションは初めて。小池の「アンビバレント」では、2018年末の音楽特番でセンターメンバーを変えながら披露が続いた同曲のフォーメーションにあって、彼女がポジションを自在に変えてフォローしたことが思い出される。山﨑の「大人は信じてくれない」には、グループ最年少の年齢ということもあってまなざしに刺さるものがあった。また、ライブにおいて1期生・2期生混合のフォーメーションで2期生がセンターに立ったのは、この日の森田と山﨑が初めてである*129。 

 そこからは畳みかけていく。 渡邉理佐がセンターの「避雷針」ではステージに雨が降り、それが明けると小林由依の「風に吹かれても」。続いて全員がMA-1に衣装を着替えて、「ガラスを割れ!」が続く。これで10曲目。そして、本稿冒頭のシーンにつながっていく。パフォーマンスを終えて、菅井友香守屋茜が「真ん中」に立った。

 

 「そしてここで、私たちからみなさまにお伝えしたいことがあります。

  私たち欅坂46は、この5年間の歴史に幕を閉じます——」

  

・「僕たちの鐘はいつ鳴るんだろう?」

 菅井の言葉は続いていく。

 10月に予定しているラストライブにて、欅坂46としての活動に区切りをつける。新しいグループ名となり生まれ変わる。もちろんこの決断をすぐ受け入れられるメンバーだけではなかった。半端な気持ちで続けてきたわけではない。グループとしてもっともっと強くなるための決断。スタッフやメンバーと話し合った結果、いまは前を向いている。

 「欅坂46だからこそかなえられた夢がたくさんありました」。菅井はそう表現して、メンバーやスタッフへ、そしてファンへの感謝を述べる。しかし、それだけでは終わらない。

 たくさんの楽しい思い出の一方、悔しい思いもたくさんあった。この2年は、特に出口の見えないトンネルをさまよっていたような状態だった。思うように活動できない日があり、期待に応えられていないんじゃないかと思った日もあった。メンバーの卒業、脱退も続いた。グループの名前が独り歩きして、耳をふさぎたくなるようなことに悩まされた日もあった。

 「でも、欅坂46を好きだと思えば思うほど、苦しくなり、もっとこうしなければならないと考えれば考えるほど、執着も生まれたと思います」。それは菅井自身の偽らざる気持ちであり、また「出口の見えないトンネル」のなかでずっとグループにまとわりついていた、黒いもやのようなものでもあったのだと思う。

 28人でのリスタート。菅井は「相当な茨の道が待っている」と表現した。まだ色のない真っ白なグループを、みなさまと一緒に染めていきたい。欅坂46での経験を信じて、また新たに強いグループになる。「これからも私たちに期待していてください」と強い口調で言って前を向き、「これからも私たちの応援、どうぞよろしくお願いします」と、28人が長く長く頭を下げた*130

 そして最後の曲として披露されたのが、ラストシングル「誰がその鐘を鳴らすのか?」。28人のフォーメーション。小林由依のポエトリーで始まり、センターの位置には小林と渡邉理佐、そして菅井と守屋がくるくると入れかわる。陣形を何度か変えながら、激しいダンスが続く。カメラに向けられる強いまなざし。泣いているメンバーもいた。左胸のエンブレムに重ねるようにしてつくった「欅ポーズ」。彼女たちが重ねてきたすべての時間を、その手でぎゅっと握りしめる。そしてそれを、楽曲の終わりとともに胸の前でそっと手放した。

 「際限のない自己主張は/ただのノイズでしかない」、「一斉に口をつぐんで/みんなで黙ってみよう」。ほんの少しでいいから他人の話を聴いてみてほしい。冷静になろうという合図、世界中のどこにいても聴こえる「巨大な鐘」。それを鳴らす「愛の救世主」。僕たちの鐘はいつ鳴るんだろう?——それはこれまでの作品で歌われてきた「僕」の物語ではなく、どこかわれわれのことを歌っているようでもあり、そしてさらに形を変えていくグループからの新たなメッセージであるようにも聴こえた。

 公演を終えたメンバーは、ファンクラブ限定の「アフターライブ・スペシャル配信」に再度登場。ひとりずつパネルにサインをしてから横一列に並び、改めて終演のあいさつをした。

 いつものようにライブをまとめる菅井。しかし、横一列の「真ん中」に、彼女がいる構図に少し違和感があった。こうしたときは、楽曲のフォーメーションに準拠して立ち位置がつけられることが多い。その場所にはおおむねずっと平手がいたし、下手側に少し離れたくらいの場所に菅井は立っていることが多かったような印象がある。これまでのライブなら、菅井がそこに立つことは、ないはずだった。

 本来は「真ん中」に立つタイプではないし、そのような立場でもない。しかしそういえば、グループが難局にぶつかったときはいつも、「真ん中」に立つ彼女の姿があったように思う。そしてこの日も、間違いなくその日だった。菅井友香が「真ん中」に立った日。2020年7月16日は、グループの歴史に深く刻まれる日となった。

 

・ただひとりのセンター、ただひとりのキャプテン

 グループの改名。それがショッキングな発表ではなかったかと言われると、それは嘘になるだろう。そのニュースはあっという間に世間をかけめぐり、多くの人々の話題をさらった。日向坂46のときのように、「(複雑な気持ちも数々あれど)やったぜ!」というような性質のものでは間違いなくない。菅井も、「今回の決断で欅坂46のことをずっと好きでいてくださったみなさんにショックを与えてしまったら、すごく申し訳ないです。それはメンバーも一緒の気持ちであって。(『日経エンタテインメント!』2020年9月号 p.75)と語る。でもなぜか、事前にいくつかの「匂わせ」があったり、憶測として「改名」ということが飛び交っていたという状況を差し引いても、筆者はそれを思ったより従容として受け入れたようなところがあった。これは完全にあてずっぽうで書くのだが、ファン歴が長かったり、深かったりする人ほど、そういう傾向があるのではないかという気がする。

 同誌で菅井が明かしたところによると、メンバーに改名の可能性が伝えられたのは、「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU !」の準備が進んでいる頃合いであった。その後、メンバーどうしで意見が交わされ、スタッフを含めた長時間の話し合いがもたれ、全員の気持ちを固めてライブに臨んだのだという。これまでに菅井が口にしてきた「欅坂を終わらせたくない(2018年4月7日「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」2日目、『BRODY』2018年8月号 p.22)という言葉や、「欅坂がなくならないようにもっとがんばりたいです(『フィアンセ』菅井友香ロングインタビュー)という言葉が思い出される。メンバーにとってどれほどそれが受け入れがたいことで、どれほど大きな決意であったか。筆者なんかがいくら想像しても、とうてい届かないだろう。

 7月20日の「レコメン!」に出演した菅井は、「誰がその鐘を鳴らすのか?」のセンターは「いない」と口にした。どのような意図をもってそのようなフォーメーションがとられたかはわからないが、結果としてすべての表題曲、すべての「全員曲」において、平手以外にオリジナルのセンターが置かれないまま、欅坂46はその歴史に幕を閉じるということになりそうだ。「欅坂46のセンターは平手友梨奈ただひとりだった」と言い換えることもできる。また、平手はセンター以外に立たないままメンバーとしてのキャリアを終えたということでもある*131。それほどの存在であった平手の「後任」をつくらないということは、賛否両論もあるだろうが、ひとつの考え方としてはあり得たように思う。グループが平手に殉じたような形ではとらえたくないが、改名によって新たなフェーズに進めるのであれば、平手の背中を追い続けるより新たな道を進むほうがよいようにも思える(改名によって楽曲やパフォーマンスのテイストがどの程度変わるかは予測がつかないが、少なくともそのようなパブリックイメージを与えるとは思う)。

 2017年の全国ツアー、日本武道館公演の中止、映画の撮影で平手がグループを離れたとき。ある時期までグループが何度も直面してきた、「平手がいないと」という壁。それを乗り越えた先にあっても、欅坂46がどこまでも平手に賭けるグループであったことは否定しようとしてもできない。もはや喧伝するまでもないことだったし、そうすることもあまり適当ではなかったことだが、彼女がグループを離れたいまだから、はっきりと一度言葉にしておきたいと思う。巨大なものを賭けるだけのとてつもない才能が、欅坂46平手友梨奈にはあった。

 MVを通して平手と欅坂46の力を引き出してきた映像ディレクター・新宮良平は、最後のCDシングルとなった「黒い羊」のMV撮影のとき、このようなことがあったと明かしている。

僕はTAKAHIROさんと「ここは1つの賭けになるね」と言ってたんですよ。「ここで平手さんが踊れなかったら、このMVはダメだ」って。
(『BRODY』2019年4月号 p.65)

 チーム全員が振りしぼった力を平手に賭ける形で続けられてきた作品づくり。その平手がグループを離れたのだから、当然グループは変わっていくし、変わらなければならなかった。改名が持ち上がる前の段階ではあるが、菅井はグループの現状と展望をこのように語っていた。

過去の楽曲は全部、センターである、てちが曲の主人公でもあるので、その存在の大きさは感じますし、彼女だから表現できることがたくさんあったと思います。仮に、新しい楽曲がない状況で何をするにしてもセンターは彼女の代わりになってしまうので…。でも、てち以外の子がセンターという曲がなかったからこそ、私個人としてはこれからの欅坂46がどういう楽曲を歌うのか、歌詞がどう変わっていくのか、楽しみにしている部分もあります。
(『CM NOW』2020年5-6月号 p.21)

 どこまでも的確に現状をとらえた、冷静で、しかし前向きな発言である。菅井はキャプテンとして、ずっとグループの姿を見つめて包み込み、守り抜こうとしてきたし、これからもそうしていこうとしている。 「欅坂46のセンターは平手友梨奈ただひとりだった」というならば、「欅坂46のキャプテンは菅井友香ただひとりだった」。ここまでこうして書いてきてみると、グループを支える立場であり続けてきたからなんとなくそう見てこなかったというだけで、欅坂46の主人公はずっと菅井友香だったのではないかとさえ思えてくる。

 改名での再出発。グループとして、楽曲のテイストやパフォーマンスのしかたは変わっていくのかもしれない。いや、変わっていかなければ嘘だろう。しかし、われわれがずっと欅坂46に見てきた夢を、希望を、光を、もう一度彼女が率いる(支える)グループに託して間違いはない。嘘偽りなく、そう思う。

 菅井は改名発表後のブログで、「欅坂46 season’s 28の欠片」で語ったことにも重ねて、「今の私たちなら何にだってなれると信じています!」と力強く宣言した。変わる、変える。何にだってなれる。彼女たちは、未来へと進んでいく。

 

・夕立、予測できない未来

 とはいえ、その先にあるのは「茨の道」だ。冷静になってみると、4年連続で「NHK紅白歌合戦」に出場し、3年連続で日本レコード大賞の優秀賞にノミネートされるようなグループが、5年近くの年月を積み重ね、世間にも浸透してきた名前を変えて再出発するなんて、あまりにも突飛なことである。

 改名とその先にある新たな道が、どのようなものになるかはいまの段階では想像もつかない。「欅坂46として培った経験が、きっと私たちを鍛えてくれています。」と菅井は言った。きっとそれは間違っていない。しかし同時に、あまりにも大きく成長してきた“欅坂46”は、大きく重い鉛の十字架となって、未来の彼女たちにのしかかるかもしれない。

 しかし、7月21日の「けやみみ」#37で、菅井は「(2期生に)今後活動していくうえでその欅坂っていうものについてるいろんなものを全部背負わせてしまう、それが本当にいいことなのかっていうのもちょっと考えて、やっぱり新しくなるっていう決断はいいんじゃないかなって」とも語る。「グループの名前が独り歩きして、耳をふさぎたくなるようなことに悩まされた日」もあったという欅坂46。「茨の道」の先にある、トンネルの出口。彼女たちは、その未来に賭けたのだ。

今では新メンバーも加わり、グループは1期・2期・新2期合わせて28人になりました。

それぞれの夢と未来の可能性を秘めた個性溢れるメンバーたちが沢山います。

今道を切り開くために私たちに必要なのは、
大きな改革とメンバー、そしてチーム全員の相当な覚悟なんだと今は思っています。
 
 
まだ突然の発表に戸惑っている方もいらっしゃるかもしれませんが、
この改革を私たちの活動と行動で正解にして行きたいです。

菅井友香公式ブログ 2019年7月18日「未来」

 グループのこれまでを思えば、未来はいつだって予測不可能だった。しかしそれでも、菅井はいう。 

 「夕立も予測できない未来も嫌いじゃない。

 あの「世界には愛しかない」のリリースからもうすぐ4年。時間を経て、パフォーマンスを重ねるにしたがって、彼女のポエトリーリーディングの声色はどんどん明るくなってきたようにも思う。夕立、予測できない未来。それがずっと積み重なってきたのが現在なのだろう。しかしそれでも、彼女は笑う。「世界には愛しかない」と、満面の笑顔で歌い踊る。そんな彼女のことを、これからもずっと信じていきたいと思う。

 

 この5年間に、菅井友香と“欅坂46”がくれたもの。

 それはわれわれのなかで、永遠に生き続ける。

 

 彼女たちの未来に、幸あれ。喜びあれ。栄光あれ。

 どんな道だって、どこまでだってついていく。

 

  

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・Postscript(あとがきにかえて、もう少しだけ)

 ここからは構成など考えずひと息に書かせていただきます。

 筆者は欅坂46をきっかけに坂道シリーズを追うようになりました。このブログでも、もっと欅坂46について書いてきたかったのですが、書こうとしても言葉にしたら嘘になってしまう気がして、筆が止まるということを繰り返して、ほとんど記事を出してこられずにいました。
 「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU !」でのグループ改名発表。“欅坂46”との別れが宣言されたこのタイミングを逃したら、このグループについて書けるタイミングを永遠に失ってしまうのではないかと思いました。ただ、単に歴史を振り返って書いていくだけでは平板な記事になってしまいますし、自分でも途中でおもしろくなくなって書けなくなるだろうと思っていました。
 そんな折、改名発表での菅井友香の凛とした姿が目に焼き付いていることに気づいて、彼女を軸にして欅坂46を振り返ろう、と思いつきました。本来はもっと菅井友香個人に絞り込んだ記事にして、もういくぶんかは短い記事にするつもりだったのですが、グループ全体のこと、平手友梨奈のこと、いろいろなことを書かずにいられず、このような記事になりました。正直予想外の事態ですが、これでよかったのだと思います。
 振り返れば振り返るほど、菅井友香の歴史は欅坂46の歴史そのものでした。「レコメン!」はずっと聴いてきましたし、写真集も買いましたが、筆者は特に菅井推しというわけでもありません(『日経エンタテインメント!』の連載をきちんと追っていればこの記事を書くのももっと楽だったのかもしれないとも思います。メッセージもとってきませんでしたので、彼女の息づかいみたいなものは実際のところよくわかっていないようにも思います)。それでも、そこまで網羅的に買ってきたつもりはない本棚の雑誌や、なんとなく眺めてきたWeb記事に、彼女のインタビューやコメントが大量に見つかりました。印象深くずっと覚えていたものもあれば、すっかり忘れていたものもありました。記事全体の流れのなかで、少しでも彼女自身の言葉を紹介できたらなと思い、意識して引用を増やす形で記事を作成しました。ただ、引用を増やしたことには功罪相半ばといったところだと思います。もしかしたら自分は、メンバーの言葉をいいように切り取って好きなことを書いてきただけなのではないか、という思いもあります。すでに手に入りにくい雑誌も多いですが、引きつけられた発言があれば、原典にあたって全体を読んでみていただきたいです(それらももともと編集されたものではありますが)。
 あわせて、センターに立ったメンバーの紹介をしたり、わざと詳しく日付について言及したりして、なかなか体系立ってまとまっていない欅坂46の歴史を少しでもまとめようと試みました。資料的価値というと大げさですが、少なくとも「あの時の欅はどうだったっけ?」と思ったときに、自分で最初に読み返すくらいのものにはしたつもりです。完全にひとに読ませる気のないような脚注も多かったかと思います。独りよがりの問わず語りとして、お目こぼしいただけたらと思います。

 こんなところまで読んでいただいた方はいるのでしょうか。多分いないと思います。でも、ここまで書き切ることができて幸せでした。もやもやしたものが晴れてきた気がします。ありがとうございました。この御礼をもって、結びとしたいと思います。

 

 

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*1:長濱は「お見立て会」には参加しておらず、1stシングルの選抜メンバーにも選ばれていなかったが、個別握手会に関しては平手や今泉と同等の完売速度を記録しており、こうした意味では早い段階からすでに人気メンバーだったといえる。

*2:ただし、2016年5月24日の段階ですでにドラマの情報が公開され、プロモーションが先行していたこともあってか、6月17日の「こちら有楽町星空放送局」ですでに音源がオンエアされており、ポエトリーリーディングのパートのあった長濱が選抜入りを果たしたことについては、すでに多くのファンが知るところとなっていた。

*3:参加メンバーは、渡辺麻友横山由依小嶋陽菜向井地美音柏木由紀松井珠理奈山本彩白間美瑠指原莉乃宮脇咲良(以上AKB48グループ)、生駒里奈白石麻衣西野七瀬生田絵梨花(以上乃木坂46)、菅井友香守屋茜(以上欅坂46)。菅井と守屋、および当時AKB48グループ総監督であった横山を除く全員が、この日の時点で所属グループのシングル表題曲でのセンターポジションを経験しているメンバーで構成された「ドリームチーム」であった。

*4:2016年8月11日の「めざましライブ 2016」、8月20日の「テレビ朝日六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION 音楽ライブ」に出演。これらの公演および9月24日の「@JAM×ナタリー EXPO 2016」においては、冒頭でゆいちゃんず(今泉佑唯小林由依)による「渋谷川」が披露されたあと、このふたりによるグループ名のコールがあってOvertureが流れ、ライブ本編が始まるという変則的なセットリストがとられた。

*5:2016年10月22日の「PERFECT HALLOWEEN 2016」、10月29日の「日テレ HALLOWEEN LIVE 2016」に出演。また、ハロウィン当日の10月31日には音楽特番「ハロウィン音楽祭2016」にも出演した。「PERFECT HALLOWEEN 2016」には黒をベースとしたハロウィン仕様の新衣装で出演したが、これがナチスの軍服を想起させるとして抗議を受け、公式サイト上で総合プロデューサー・秋元康の名義で謝罪文を掲載する事態となったほか、当該衣装に関する写真がメンバーの公式ブログから削除された(イベントの内容をレポートしたニュースサイトの記事については削除・修正されずに残されているものもあるため、当該衣装はそうしたサイトでいまでも確認することはできる)。また「PERFECT HALLOWEEN 2016」の模様は音楽チャンネル「MUSIC ON! TV」で放送の予定があったが、この事態を受け立ち消えとなった。これらのことと直接の関係があるかは不明だが、「日テレ HALLOWEEN LIVE 2016」および「ハロウィン音楽祭2016」への出演の際には、「語るなら未来を...」の衣装を血糊で加工し、エンブレムなどを変更したものが着用された。

*6:「デビューカウントダウンライブ」などそれまでにも単独イベントはあったが、この公演が公式には「初ワンマンライブ」とアナウンスされ(参考)、メンバーもMCでそのように言及している。ただし、「デビューカウントダウンライブ」に関しても、「初単独ライブ」などと称されることはそれなりにあった(参考:菅井友香公式ブログ 2016年3月18日「初単独ライブありがとうございました!!」)。

*7:2016年12月24・25日の初ワンマンライブで初披露された「W-KEYAKIZAKAの詩」および2017年3月21・22日のひらがなけやきZepp Tokyoワンマン公演」で初披露された「僕たちは付き合っている」を除く。

*8:このライブの名称・表記はあまり統一されておらず、「1st ANNIVERSARY LIVE」(“YEAR”は入らない)という名称・表記も多く見られた(筆者もこちらで記憶していた)。本稿では、公式サイトの名称・表記によった。

*9:今回に限らず、欅坂46のライブではすべての楽曲がフル尺で披露される。

*10:記憶が曖昧で、「The End」ではなく「THE END」または「END」だったかもしれず、文献によっても表記が割れており決め手がない。画像が出てこないと解決しない問題のように思われるので、ライブ映像が公になることを期待したい。2020年10月7日発売のベストアルバム「永遠より長い一瞬〜あの頃、確かに存在した私たち〜」に映像が収録されるとアナウンスされたが、「過激な表現が含まれている」として結局収録が見送られることになり、確実なソースを得ることはほぼ絶望となってしまった。

*11:全員で披露された「不協和音」は、テレビ番組では2017年4月6日放送の「SONGS」、4月8日放送の「COUNT DOWN TV」、4月9日放送の「欅って、書けない?」#76スタジオライブ、4月15日放送の「欅坂46 SHOW!」までで、4月13日の今泉の活動休止を受け、翌4月14日生放送の「ミュージックステーション」以降は全員揃ったことはない。ライブパフォーマンスについては、4月6日「デビュー1周年記念ライブ」のみ。8月29日・30日の全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」幕張メッセ公演には全員が揃っていたが、29日の公演では「不協和音」の披露がなく、30日のダブルアンコールで演じられた「不協和音」には今泉が参加していない。

*12:公式発表によれば、上腕三頭筋損傷、全治1か月。

*13:のちに菅井は、自らがセンターとして「不協和音」に臨んだ際の、この倒れ込む振り付けの練習に関して、「あれはTAKAHIRO先生と『倒れるのは危ないから』って、受け身の練習をちゃんとやっていました。」と語っている(『BRODY』2018年8月号 p.21)。

*14:6thシングル「ガラスを割れ!」の制作は21人で行っており、MVにも全員が参加しているが、音楽番組・ライブへの出演において全員が揃ったことはなかった。まだ平手がグループを離れていた期間(2018年7月7日の「THE MUSIC DAY」で再合流)であった2018年5月3日に原田葵および志田愛佳が活動を休止し、このふたりの復帰を待たず(志田は最終的に「復帰」の形はとられず、2018年11月16日にグループ活動を終了)、2018年11月4日に今泉佑唯がグループ活動を終了した。

*15:結果としてこの公演が、ひらがなけやきのメンバーが漢字欅の楽曲をパフォーマンスした最後の機会になった(2018年2月12日の「2期生『おもてなし会』」における「音楽部」〈河田陽菜、金村美玖、富田鈴花、松田好花〉で披露された「チューニング」、2018年11月15日の「ベストヒット歌謡祭」で披露された「アンビバレント」〈舞台「ザンビ」の出演メンバー4人が出られなかったことによる代打メンバーとして、小林由依のポジションに渡邉美穂土生瑞穂のポジションに佐々木久美、菅井友香のポジションに東村芽依守屋茜のポジションに高本彩花が入ってパフォーマンスした〉を除く。また、漢字欅ひらがなけやき合同の曲に話を広げると、2018年2月12日の「2期生『おもてなし会』」で「W-KEYAKIZAKAの詩」がひらがなけやき2期生のみで、2018年7月20-22日の「欅共和国2018」で「太陽は見上げる人を選ばない」が漢字欅ひらがなけやき〈2期生を含む〉合同で演じられている。また、史上唯一の漢字欅ひらがなけやきの混成ユニット曲である「猫の名前」〈ユニットメンバーは菅井友香守屋茜・佐々木久美・加藤史帆〉については、「ひらがな全国ツアー2017」のZepp Sapporo公演以降の4公演〈2017年9月26日北海道公演、11月6日福岡公演、12月12・13日千葉公演。歌唱メンバーは井口眞緒加藤史帆、佐々木久美、高瀬愛奈〉、2018年1月30日-2月1日の「ひらがなけやき日本武道館3DAYS」〈歌唱メンバーは柿崎芽美、加藤史帆、佐々木久美、高瀬愛奈〉、2018年6月4日-7月10日に10公演が行われた「『走り出す瞬間』ツアー」〈歌唱メンバーは神奈川・東京・大阪・愛知公演では柿崎芽実佐々木美玲高瀬愛奈東村芽依、千葉公演では金村美玖、丹生明里、松田好花、宮田愛萌〉で演じられている。なお、これらの例以外でひらがなけやきの2期生が漢字欅の楽曲をパフォーマンスしたことはない)。また、この公演についてはこの記事でも書いたことがある。2期生ブロックで、3日間になったことを活かした選曲と演出があった。

*16:2016年3月17日の「デビューカウントダウンライブ」にも当時ひらがなけやき専任の長濱ねるが参加していたため、これは厳密には「漢字欅単独」ではなかったと取り扱われている(参考)。

*17:映画「響 -HIBIKI-」で初出演にして初主演を務めることが明らかになったのは4月16日。当月ごろにクランクインし、クランクアップは6月1日。映画の公開は9月14日だった。

*18:以下の脚注について、2018年9月5日「夏の全国アリーナツアー2018」千秋楽幕張メッセ公演の平手不在時については含んでいない。また、ひらがなけやきが2017年3月21・22日にZepp Tokyoで開催したライブについては、当初は初ワンマンライブ「Zepp Tokyoワンマン公演」として告知され開催されたが、当日のサプライズ発表として「ひらがな全国ツアー2017」の開催が発表されたという経緯から、Zepp Tokyoでの公演を全国ツアーに含めるか否かの2通りの考え方があり、それに配慮した表記としている。なお、欅坂46の楽曲は多くのグループなどによってカバーされてきたが、それは「坂道グループ合同 研修生ツアー」を除いてここでは考慮しない。調査には最善を尽くしたが、本記事の執筆にあたって筆者が独自に集計したものであるため、データの正確さには不安が残る(抜けや誤りを見つけた方は教えていただけますと幸いです)。

*19:2016年10月28日「ひらがなおもてなし会」、2017年3月21・22日「Zepp Tokyoワンマン公演」。

*20:2018年4月6・8日「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」1日目・3日目、2018年10月23日「GQ JAPAN 15th Anniversary Party in association with LEXUS」、2018年11月17日初回放送「SONGS OF TOKYO」。

*21:2018年12月10日「欅坂46二期生/けやき坂46三期生『お見立て会』」。

*22:2019年6月26日「テレ東音楽祭2019」、2019年12月28日「COUNTDOWN JAPAN 19/20」。

*23:2019年10月30日-11月21日「坂道グループ合同 研修生ツアー」全6公演。

*24:2016年10月28日「ひらがなおもてなし会」。

*25:Zepp Tokyo公演を含む「ひらがな全国ツアー2017」のZepp Sapporo公演を除く7公演、2018年1月30日-2月1日「ひらがなけやき日本武道館3DAYS」。

*26:2018年4月6・7日「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」1日目・2日目、2018年5月6日「ビバラポップ!」、2019年10月19日「LAGUNA MUSIC FES. 2019」、2019年12月28日「COUNTDOWN JAPAN 19/20」、2020年9月27日「KEYAKIZAKA46 Live Online, AEON CARD with YOU !」

*27:2019年10月30日-11月21日「坂道グループ合同 研修生ツアー」全6公演。

*28:Zepp Tokyo公演を含む「ひらがな全国ツアー2017」の福岡サンパレス公演を除く7公演、2018年1月30日-2月1日「ひらがなけやき日本武道館3DAYS」。

*29:2018年4月7・8日「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」2日目・3日目。

*30:2018年5月6日「ビバラポップ!」、2018年5月19日「GirlsAward 2018 SPRING/SUMMER」、2018年12月28日「COUNTDOWN JAPAN 18/19」、2019年8月16日-9月6日「夏の全国アリーナツアー2019」の追加公演を除く全10公演、2019年10月19日「LAGUNA MUSIC FES. 2019」、2019年12月28日「COUNTDOWN JAPAN 19/20」、2020年9月27日「KEYAKIZAKA46 Live Online, AEON CARD with YOU !」

*31:2019年10月30日-11月21日「坂道グループ合同 研修生ツアー」全6公演。

*32:2018年4月6-8日「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」、2018年5月6日「ビバラポップ!」、2018年5月19日「GirlsAward 2018 SPRING/SUMMER」、2019年8月16日-9月6日「夏の全国アリーナツアー2019」の追加公演を除く全10公演、2019年9月28日「Rakuten GirlsAward 2019 AUTUMN/WINTER」、2019年10月19日「LAGUNA MUSIC FES. 2019」、2019年12月28日「COUNTDOWN JAPAN 19/20」、2020年7月16日「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU ! 」、2020年7月18日「音楽の日2020」、2020年9月27日「KEYAKIZAKA46 Live Online, AEON CARD with YOU !」

*33:2019年4月20-21日・4月27-28日「二期生『おもてなし会』」全4公演。

*34:2019年10月30日-11月21日「坂道グループ合同 研修生ツアー」全6公演。

*35:2018年3月4日「シブヤノオト」、2018年3月9日「ミュージックステーション」、2018年3月24日全国握手会(ポートメッセなごや)、2018年3月24日「欅坂46SHOW!」、2018年3月31日「東京ガールズコレクション2018 SPRING/SUMMER」、2018年4月6-8日「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」、2018年4月21日全国握手会(幕張メッセ)、2018年5月4日全国握手会(インテックス大阪)。

*36:2018年5月6日「ビバラポップ!」、2018年5月19日「GirlsAward 2018 SPRING/SUMMER」、2018年12月28日「COUNTDOWN JAPAN 18/19」、2018年12月31日「第69回紅白歌合戦」、2019年10月19日「LAGUNA MUSIC FES. 2019」、2019年12月28日「COUNTDOWN JAPAN 19/20」、2020年7月16日「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU ! 」。

*37:2019年4月20-21日・4月27-28日「二期生『おもてなし会』」全4公演。

*38:2018年10月23日「GQ JAPAN 15th Anniversary Party in association with LEXUS」、2018年12月21日「ミュージックステーション スーパーライブ2018」、2019年8月16日-9月6日「夏の全国アリーナツアー2019」の追加公演を除く全10公演、2019年9月29日「Rakuten GirlsAward 2019 AUTUMN/WINTER」。

*39:2018年12月24日「CDTVクリスマス音楽祭2018」、2018年12月28日「COUNTDOWN JAPAN 18/19」。

*40:2019年12月28日「COUNTDOWN JAPAN 19/20」、2018年12月30日「第60回日本レコード大賞」、2019年10月19日「LAGUNA MUSIC FES. 2019」。

*41:2019年1月1日「CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2018→2019」。

*42:2019年4月20-21日・4月27-28日「二期生『おもてなし会』」全4公演。

*43:2019年10月30日-11月21日「坂道グループ合同 研修生ツアー」全6公演。

*44:2020年7月16日「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU ! 」。

*45:2020年1月1日「CDTVスペシャル! 年越しプレミアライブ 2019→2020」、2020年9月27日「KEYAKIZAKA46 Live Online, AEON CARD with YOU !」

*46:2018年4月6-8日「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」、2018年5月6日「ビバラポップ!」、2019年12月28日「COUNTDOWN JAPAN 19/20」。

*47:確かに記憶はあるのですがこのエピソードのソースを見つけられませんでした。ご存知の方がいたら教えていただきたいです。→2018年2月28日の齋藤冬優花齊藤京子によるSHOWROOM配信での発言と教えていただきました。ありがとうございます(筆者は雑誌のインタビューで読んだ記憶があるので、これも改めてもう少し探してみようと思います)。

*48:デビュー以前には、お披露目後本格的に活動が始まる前に鈴木泉帆が、2015年11月11日に原田まゆが、それぞれ「活動辞退」という形でグループを離れている。ちなみに、原田まゆは「欅って、書けない?」#3(2015年10月18日)・#5(11月1日)・#6(11月8日)には出演しており(#3はプロフィールの紹介と自撮りによる動画のみでの出演)、#7(11月15日)・#8(11月23日)にも収録には参加しているが、活動辞退を受けてこれらの回においてはぼかし処理がなされた。

*49:この曲が収録された7thシングル「アンビバレント」は、ツアー中の8月15日に発売。この時点ではまだ、MVが公開されているという段階だった。

*50:この涙の背景については、菅井がこのようなエピソードを明かしてもいる。「最後の涙は、実はメンバーだけが見えるモニターに今までの映像と写真と、スタッフさんからの『ツアー完走おめでとう』というメッセージがサプライズで流れて、それを見たら涙を堪えきれなくて、MC終わりでホッとしたのもあって、久しぶりにこんなに泣きました(笑)」(『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20180918』 p.136)

*51:公式発表によれば、腰部打撲・左仙腸関節捻挫による仙腸関節不安定症。

*52:活動休止中の原田葵を除く。

*53:2017年夏についての箇所(「『センター』と『キャプテン』の距離」)で先述した、「『平手的なもの』が純化され、楽曲の世界を伝えることに人格が投入されて戦いが繰り広げられるとき、グループという形を整え、理想と現実のあいだを埋めようとする『菅井的なもの』は嘘ですらある」例としても捉えていただきたい。

*54:2019年2月22日「ミュージックステーション」、2019年2月23日「COUNT DOWN TV」、2019年2月28日ストライプインターナショナル社員総会、2019年3月5日「うたコン」、2019年3月9日全国握手会(幕張メッセ)、2019年3月16日全国握手会(ポートメッセなごや)、2019年3月21日全国握手会(インテックス大阪)、2019年3月23日「坂道テレビ〜乃木と欅と日向〜」(第1回)、2019年5月11日「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」東京公演3日目、2019年12月27日「ミュージックステーション ウルトラスーパーライブ2019」、2019年12月30日「第61回日本レコード大賞」、2020年1月1日「CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2019→2020」(平手は不参加、センターは森田ひかる)。→その後、2020年9月27日「KEYAKIZAKA46 Live Online, AEON CARD with YOU !」で披露され、計13回となっている。

*55:当初のリリース予定は2018年5月23日だった。「『走り出す瞬間』ツアー」は全曲ひらがなけやきのオリジナル曲で構成され(ただし厳密には、欅坂46としてのアルバム「真っ白なものは汚したくなる」所収の「猫の名前」は漢字欅ひらがなけやきの混成ユニットであるため〈ユニットメンバーは菅井友香守屋茜・佐々木久美・加藤史帆〉、「ひらがなけやきのオリジナル曲」ではない。なお「『走り出す瞬間』ツアー」での歌唱メンバーは、柿崎芽美・佐々木美玲高瀬愛奈東村芽依だった)、セットリストにはこのアルバムでの新曲も多く含まれていたが、ツアー前半の公演(6月4-6日のパシフィコ横浜公演、6月13日の東京国際フォーラム公演)は、アルバムのリリース前に行われる形となった。

*56:ひらがなけやき」および「僕たちは付き合っている」。ひらがなけやきとしてはこのほか、アンコールの「W-KEYAKIZAKAの詩」に参加している。また、ソロ曲「また会ってください」を披露した長濱ねるは、このときひらがなけやきのメンバーでもあった。

*57:漢字欅と合同でパフォーマンスした「太陽は見上げる人を選ばない」を含む。その他の披露曲は、「期待していない自分」「誰よりも高く跳べ!」「NO WAR in the future」。なお、ライブの場でひらがなけやきの2期生が漢字欅のメンバーとともにパフォーマンスをしたのは、このときの「太陽は見上げる人を選ばない」のみ(2018年7月7日にひらがなけやき〈1・2期生〉が参加した「LIVE MONSTER LIVE 2018」に、漢字欅専任となった長濱ねるが参加したことがあったが、2期生を含めて演じられた曲には長濱は参加しなかった。音楽番組に広げると、2018年11月15日「ベストヒット歌謡祭」において渡邉美穂が参加した「アンビバレント」や、2018年12月5日「FNS歌謡祭 第1夜」において「欅坂46×けやき坂46」として金村美玖・河田陽菜・小坂菜緒丹生明里が参加した「ジングルベル」がある。また日向坂46への改名後には、AKB48乃木坂46欅坂46との混合ユニット「坂道AKB」の3作目「初恋ドア」に渡邉が参加したが(2019年3月13日リリース)、この楽曲は音楽番組で披露されることはなかった。その後2019年12月31日「第70回紅白歌合戦」では、乃木坂46の「シンクロニシティ」に「坂道合同ステージ」として欅坂46と日向坂46が参加するという形で、グループどうしの共演が実現している)。

*58:具体的には、(1)単独シングルデビューの決定、(2)デビューシングルのタイアップ決定(メチャカリ)、(3)「デビューカウントダウンライブ」の開催決定、(4)単独オフィシャルサイトのオープン、(5)「デビューカウントダウンライブ」のチケット先行予約決定、の5点。記者会見を兼ねたこのSHOWROOM配信「ひらがなからのおしらせ」には、キャプテンの佐々木久美に加え、柿崎芽美・加藤史帆齊藤京子佐々木美玲小坂菜緒が参加し、柿崎以下の5人がこの順でそれぞれ(1)〜(5)を1点ずつ発表した。そののち、サプライズで改名を伝えるVTRが流された。

*59:長濱ねるは1998年9月4日生まれ。したがって、卒業発表の2019年3月7日から活動終了の7月30日までにおいては20歳。

*60:大阪フェスティバルホールの収容人数は2700人。欅坂46漢字欅)としては、2015年11月14-15日の「お見立て会」を1102人収容(着席)のZepp DiverCityで、2016年1月16-17日の「新春! おもてなし会」を901人収容(着席)のZeppブルーシアター六本木で開催したことがあり、また2016年5月25日の「UTB NIGHT Vol.2」で2473人収容(スタンディング)のZepp DiverCity、2018年8月13日「渋谷ストリームホール こけら落としミニライブ」で700人収容(スタンディング)の渋谷ストリームホールなどの会場でのイベントに出演したことがあるが、狭義の「欅坂46のライブ」(欅坂46運営委員会が運営する、ライブパフォーマンスを主とするイベント)としては最も収容人数の少ない会場であった。これに次ぐのが、2016年3月17日「デビューカウントダウンライブ」の東京国際フォーラムホールA(収容人数5012人)。また、大阪フェスティバルホールでは、2018年6月27-28日にひらがなけやきが「『走り出す瞬間』ツアー」の公演を行っている。

*61:欅坂46が「誰のことを一番 愛してる?」をパフォーマンスしたのは「欅共和国2017」の2公演以来2回目。

*62:2016年1月16・17日には漢字欅の1期生による「新春!おもてなし会」が、2016年10月28日には長濱ねるを含むひらがなけやき1期生による「ひらがなおもてなし会」が、2018年2月12日にはひらがなけやき2期生による「2期生『おもてなし会』」が、近しい構成でそれぞれ行われている(ただし漢字欅の1期生による「新春!おもてなし会」については、ミニライブはなし)。

*63:2020年7月現在、「W-KEYAKIZAKAの詩」がライブで披露されたのはこのときが最後であり、ひらがなけやき(日向坂46)が独立して以降ではこのときが唯一である(タイトルや歌詞からわかるように「欅坂」と「けやき坂」が合同で制作し、パフォーマンスしてきたことが重要だった曲ではあるため、このタイミングで披露されたのは少々意外だった。このほか、漢字欅単独のライブでは2018年9月5日「夏の全国アリーナツアー2018」千秋楽幕張メッセ公演のダブルアンコールで披露されたことがある。ひらがなけやき単独のライブではZepp Tokyo公演を含む「ひらがな全国ツアー2017」の全公演のアンコール、2018年1月30日-2月1日「ひらがなけやき日本武道館3DAYS」のアンコール、2018年2月12日の「2期生『おもてなし会』」ミニライブのアンコールで披露されたことがあり、ひらがなけやきのほうが積極的にセットリストに入れていたといえる。なお、漢字欅ひらがなけやき合同のライブでは、2018年12月10日「欅坂46二期生/けやき坂46三期生『お見立て会』」のミニライブで披露されているが、これを除いて漢字欅ひらがなけやきによる「全体ライブ」での披露に絞ると、2017年8月30日の全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」千秋楽幕張メッセ公演のアンコールが最後である〈2018年7月20-22日の「欅共和国2018」では披露がなかった〉)。

*64:ただし2期生の9人は、2018年12月10日「欅坂46二期生/けやき坂46三期生『お見立て会』」において、日本武道館のステージにはすでに立っている。

*65:1期生のみの時代に当時のメンバー全員が参加していた楽曲であるという意味で、このライブにおいて2期生が常時全員参加していたわけではない。これ以後も「全員曲」という表記は同様の意味で用いる。

*66:長濱ねるを含む。卒業を発表していた長濱だが、「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」には大阪公演、東京公演ともに参加した。そしてこの日が、長濱が欅坂46のライブに出演した最後である。

*67:筆者は現地にいたわけではないので、この程度でご寛恕いただきたい。伝聞で集めた情報はたくさんあるが、なかなか想像が難しいというのが率直なところである。

*68:2017年以降3年連続で就任しているが、2020年に関しては就任のニュースがなく不明。Webサイトでは現在も馬術スペシャルアンバサダーとして取り扱われている。2020年8月になって4年目に突入した旨の告知がなされた。

*69:グループのメンバーとして2人目の出演となる。1人目は、2017年12月27日初出演の長濱ねる。

*70:この回は小林由依とともに出演。

*71:長濱ねる・守屋茜渡邉理佐と出演。

*72:小林由依土生瑞穂渡邉理佐と出演。

*73:このほか、欅坂46メンバーによる始球式としては、2018年3月30日に今泉佑唯小林由依・長濱ねる(ロッテ対楽天ZOZOマリンスタジアム)が、2019年5月26日に石森虹花守屋茜楽天オリックス楽天生命パーク宮城)がそれぞれ務めている。

*74:「誰のことを一番 愛してる?」が47thシングル「シュートサイン」(Type E、2017年3月15日発売)に、「国境のない時代」が51thシングル「ジャーバージャ」(Type E、2018年3月14日発売)に、「初恋ドア」が55thシングル「ジワるDAYS」(Type B、2019年3月13日発売)に、それぞれ収録。

*75:1・2回目当時はひらがなけやき。ただし、1回目では誰も選出されていない。2回目は加藤史帆が選出。

*76:3回すべてに参加しているのは菅井のほか、AKB48の小栗有以のみ。

*77:1回目に参加の欅坂46渡辺梨加乃木坂46伊藤万理華は菅井と同学年(誕生日を基準として厳密にいえば、菅井は渡辺梨加より年下で、伊藤万理華より年上)。2・3回目では、同学年のメンバーもいない正真正銘の最年長。

*78:歌唱した楽曲「必然性」は、AKB48の55thシングル「ジワるDAYS」(Type C、2019年3月13日発売)に収録。

*79:この間の2019年6月22日には、長濱ねるの卒業イベント「ありがとうをめいっぱい伝える日」の開催も発表され、7月30日に昼・夜2公演が行われた。トークやVTRを中心に構成されたソロイベントであったが、公演の最後にはこの日のために書き下ろされたソロ曲「立ち止まる手前で」が披露された。この日の深夜には「普通の人・長濱ねる」として「長濱ねるのオールナイトニッポン」にも出演。これをもって、長濱は芸能界を(いったん)離れることとなった。

*80:例えば乃木坂46の初東京ドーム公演は、2017年7月2日に開催が発表され、9月10日よりチケットの先行受付がスタートし、公演そのものは11月7・8日に開催。また、日向坂46は2020年12月6・7日に東京ドームでの公演を行うことを2019年12月18日に早くも発表している。ただし、両グループとも開催発表はライブの際にメンバーに対してもサプライズの形で行われたため、それだけ早めのタイミングとなったという事情もある。

*81:撮影は2017年11月に行われているが、インタビューの収録時期は2018年4-5月頃と推定される(大学をすでに卒業しているという記述があるため)。

*82:菅井はこの楽曲でのパフォーマンスに関して、「自分が『大人は信じてくれない』のセンターをやらせていただけるとは思っていなくて。自分の中では大きな挑戦でした。もしかすると驚いた方もいらっしゃると思います」(『月刊エンタメ』2019年11月号 p.13)と語っている。

*83:この前日である9月7日には坂道研修生15人のプロフィールが突如公開され、グループのさらなる地殻変動が予感されていたタイミングでもあった。

*84:17人という数字は、このときに所属していた1期生の人数と一致する。上村莉菜によれば、「17人という人数を言われた時、2期生の子は『1期生メンバー17人なんだな』って思ったらしいんですけど、私は2期生も入るんだなと思っていて。むしろ、自分は入れないだろうって、ずっと下を向いていました……。」(『B.L.T.』2020年1月号 p.34)。

*85:これは「欅共和国2019」(2019年7月5-7日)の直後であったという。原田葵によれば、「選抜発表の日は、ミーティングをするという名目で集合したんです。『欅共和国2019』が終わった直後だったし、私も復帰したばかりだったので、夏に向けての話し合いをするのかなってふつうに思っていたんですけど、“けやかけ(冠番組の『欅って、書けない?』)”のスタッフさんとカメラを見て、察しました。」(『B.L.T.』2020年1月号 p.34)。また、同誌での小池美波へのインタビューの聞き手(ライター・平田真人)によれば、「7月中旬」であったということである(p.41)。

*86:これもまた『B.L.T.』2020年1月号によれば、ツアーの期間を通して雰囲気はよくなっていたというが、発表当初にはやはり動揺や気持ちの落ち込みもあったという。上村莉菜7月はほぼ毎日がツアーのリハーサルだったので、沈んでいるメンバーの姿を見るのは正直つらかったです。」(p.31)、原田葵ずっと一緒にがんばってきたメンバーに悲しい思いをさせてしまっているのに声を掛けられないし、声を掛けないほうが優しさなのかもしれないっていう葛藤もあって、涙が止まらなかったです。」(p.31)、小池美波「全国ツアーのリハーサルの時も、その場にいられなくなるくらいツラくなってしまって、メンバーのみんなを見ていると、どんどん気持ちが落ちていっちゃって……。」「(尾関梨香とは)選抜発表からしばらく同じように落ち込んで泣いていた同士なんですよ。」(ともにp.41)。また同誌によれば、選抜落ちした小池の心の支えだったのは、いちばんはメンバーでも家族でもなく日向坂46の潮紗理菜であったといい(このふたりは日向坂46のひらがなけやき時代から仲がよく、「うすしおポテチ」というコンビ名があり、潮は小池のレギュラーラジオ「ザ・ヒットスタジオ(火)」に二度にわたって代打出演をした経験もある〈2017年5月16日:小池の体調不良のため、2019年9月3日:欅坂46「夏の全国アリーナツアー2019」福岡国際センター公演1日目前夜のため〉)、ここからもメンバー内での関係が難しい時期があったことが伺える。小池「1番の支えになったのは、さりちゃん(日向坂46の潮紗理菜)かなぁ。私のことも欅のこともすごく客観的に見てくれているので、素直な意見を言ってくれるんですよ」(p.42)。

*87:土生瑞穂2期生が入ったことで環境が変わって、いつか全員選抜じゃなくなるんだろうなと感じていました。」(『EX大衆』2019年11月号 p.13)、小林由依2期生が入ってきた時から『いつか選抜制になるだろうな』と予測していたし、そのタイミングはいまなのかなとは思っていました。」(『EX大衆』2019年11月号 p.43)、齋藤冬優花驚いたとかショックだったとかっていう気持ちよりかは、ついにこのときが来たんだって思いました。いずれ欅坂46にも訪れることなんだろうなっていうのは私自身も思っていたし、メンバー同士でも話したりしたことがあったんです。」(『月刊エンタメ』2020年1月号 p.36)など。

*88:先に引いた「今は全員でいろいろなことをさせてもらっているけど、もしかしたら21人で撮る最後のMVになるかもしれないから、悔いのないようにやろうよ」(『blt graph.』 2016年8月号)という彼女の発言も思い出される。

*89:ただし、1stシングル・2ndシングルともに3列目のポジションだったメンバーのうち、齋藤冬優花だけでなく小池美波、佐藤詩織原田葵も3rdシングルではフロントに抜擢されたため、この時点では名前を呼ばれていなかった。

*90:さらに言えば、4thシングルおよび5thシングルの選抜発表の際にはまた従来の形式に戻っている。6thシングル以降は、スタジオでの発表ではなくなった。

*91:なお、結果としてこの3rdシングルのフォーメーションは、「全員選抜」の続行、7-7-7という新規性のあるフォーメーション(これは21人体制での最後のシングルとなった6thシングルまで引き継がれた)、固定してしまうかとも思われていた3列目からフロントへの抜擢(最終的には5thシングルまでで21人ともがフロントを経験することになる)、とその後の編成の大きな流れを作ったと評価することができるように思う。筆者はこの3rdシングルのフォーメーションが(「二人セゾン」という楽曲も込みで)けっこう好きである。選抜発表のやり方をちょっと悪しざまに書いてしまったが、リアルタイム視聴時から別に齋藤らが選抜されないとは全然思っていなかったし、1列目に従来と変わった顔ぶれが呼ばれていくさまをワクワクしながら見守っていた記憶がある。

*92:筆者はSTU48についてはほぼ知識がないので本稿の執筆にあたって改めて調べてみたのだが、2020年9月2日に発売する5thシングルでは再度「全員選抜」(しかもメンバーは大幅に増えて44人)という形をとり、全員を表題曲の歌唱メンバーとした上で、加入期によって21人と23人の2チームに分け、2バージョンの表題曲を収録するのだという。これはこれでなかなかアクロバットだ。

*93:欅坂46”として漢字欅とともに出演した2017年4月6日の「デビュー1周年記念ライブ」。アンコールでメンバーに対してもサプライズの形で新メンバーの募集を発表する段取りであったが、そのための映像がリハーサル中のメンバーの目に入ってしまい、開演前に知られるところとなってしまった。

*94:この対談の収録日は2019年2月9日。8thシングル「黒い羊」の発売を控えた時期であり、欅坂46としてのライブに2期生が初めて参加した「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」に向けてもまだ動き出していない頃合いであろうか。

*95:結成お披露目直後に活動を辞退した2人は除いて数えている。また、秋元真夏が活動本格開始前に学業のため1年強の休業に入ったため、活動開始は33人で迎えることになった。

*96:結成お披露目の時点で「暫定選抜メンバー」の発表という形でメンバーが区別されたほか、冠番組乃木坂って、どこ?」も一部のメンバーのみが「選抜メンバー」として登場する形で始まった。

*97:デビュー以来初めての卒業メンバーである今泉佑唯の卒業発表が2018年8月7日。欅坂46の結成日は2015年8月21日であるから、ここまでの活動期間は3年に満たない。そのため、ここでいう「3年以上ずっと一緒に活動していたメンバー」は、2018年9月22日に卒業を発表した米谷奈々未か、11月16日の公式サイトでの発表をもって卒業した志田愛佳(またはその両方)であると思われる(事実関係が厳密ではないものの、今泉を含めて当時の状況について広く言及していると考えることもできるが)。以上のことから、「初めに加入を聞いたとき」というのは、オーディション合格者のなかから2期生9人が配属された11月29日(またはこれに先だってメンバーにそれが告知されたタイミング)だと思われる。合格者が発表されたのは8月19日で、この日もタイミングとしては特に米谷の卒業が決まった時期と近いと考えることもできるが、この日はまだ結成3周年を迎える直前であるため、可能性としては相対的に低いと考えられる。

*98:乃木坂46は12月3日に、欅坂46ひらがなけやきは合同で12月10日に開催。

*99:2019年4月17日発売の4thアルバム「今が思い出になるまで」に収録の「キスの手裏剣」、5月29日発売の23rdシングル「Sing Out!」に収録の「4番目の光」、9月4日発売の24thシングル「夜明けまで強がらなくてもいい」に収録の「図書室の君へ」。

*100:日向坂46は2020年7月現在までにリリースされている1stシングルから4thシングルまでにおいて、「全員選抜」の形がとられている。

*101:加藤史帆渡邉美穂と3人でのユニット。

*102:パフォーマンスに参加した単独ライブに限ることとし、「お見立て会」「おもてなし会」を含めると24公演。同条件(ただし、全国握手会および「3人のプリンシパル」のミニライブは除く)では、乃木坂46・4期生は14公演、日向坂46・3期生は3公演。

*103:「不協和音」は2017年12月31日の「第68回NHK紅白歌合戦」(平手を含むメンバー3人が過呼吸で倒れた)、「ガラスを割れ!」は2018年9月5日「夏の全国アリーナツアー2018」千秋楽幕張メッセ公演(この曲で平手が「暴走」し、ステージから転落する事故があった)。

*104:発売日は2019年9月30日だが、インタビューの収録は東京ドーム公演以前に行われていた。

*105:欠席が決定した時期については不明だが、東京ドーム公演のビジュアルイメージ(東京ドーム公演スペシャルサイト〈最下部〉、グッズ〈メンバー名入り箱推しスポーツタオル〉、会場の装飾など)には織田の名前が残っている(新撮の生写真もあったようである)。2020年1月29日発売のDVD/Blu-rayの冒頭にもこのビジュアルが使われ、ここにも織田の名前は残っているが、この発売にあわせて制作されたポスターでは消されている(参考)。 また、石森虹花は2期生の加入後からの努力を称える文脈で「東京ドームでオダナナ(織田奈那)のポジションに入った子達の対応力は、本当にすごいと思った」(『B.L.T.』2020年6月号 p.62)と語っており、ここからも織田の欠席が公演に近い時期であったことが伺える。

*106:1stシングル「サイレントマジョリティー」は、2016年4月6日の発売に対して、発売日の発表が2月6日(60日前)、タイトルの発表が3月7日(30日前)、収録内容の発表が3月14日(23日前)。2ndシングル「世界には愛しかない」は、2016年8月10日の発売に対して、発売日の発表が6月7日(64日前)、タイトルの発表が6月14日(57日前)、収録内容の発表が7月21日(20日前)。3rdシングル「二人セゾン」は、2016年11月30日の発売に対して、発売日の発表が9月30日(61日前)、タイトルの発表が10月29日(32日前)、収録内容の発表が11月9日(21日前)。4thシングル「不協和音」は、2017年4月5日の発売に対して、発売日の発表が2月14日(50日前)、タイトルと収録内容の発表が3月11日(25日前)。5thシングル「風に吹かれても」は、2017年10月25日の発売に対して、発売日の発表が9月15日(40日前)、タイトルと収録内容の発表が9月25日(30日前)。6thシングル「ガラスを割れ!」は、2018年3月7日の発売に対して、発売日の発表が1月30日(36日前)、タイトルと収録内容の発表が2月12日(23日前)。7thシングル「アンビバレント」は、2018年8月15日の発売に対して、発売日の発表が7月5日(41日前)、タイトルと収録内容の発表が7月23日(23日前)。8thシングル「黒い羊」は、2019年2月27日の発売に対して、発売日とタイトルの発表が1月14日(44日前)、収録内容の発表が1月31日(27日前)。初期の頃から収録内容はおおむね20日以上前に発表されてきたといえる。また、発売日についても直近の数シングルでは40日ほど前には発表されてきていた(初期のシングルではもっと早かった)。いずれにせよ、それまではざっくりいって1か月前くらいには何らかのはっきりした情報が出てくるものだったといってよい。9thシングルの発売日が2019年の「年内」であるとするならば、発売日は水曜日に設定されるため、最も遅くて12月25日であると考えられた。「今冬」「年内」という微妙な形で情報が出てきていたとはいえ、少なくとも発売日くらいは11月には出てくるはずだった。

*107:『月刊エンタメ』2019年12月号の発売日は10月30日であるため、おおむね10月の前半くらいの発言であると推測される。

*108:『B.L.T.』2020年1月号の発売日は2019年11月22日であるため、収録は11月初頭前後くらいであろうか。

*109:ショッピングサイトに12月11日の発売として商品が登録されていたことから、本来予定していた発売日はこの日であったとする説もある。

*110:第32回「日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」の授賞式に、前年に同賞の新人賞を受賞したことからプレゼンターとして出席。

*111:両曲のセンターを多く務めてきた鈴本美愉はこのとき不在。小林由依はこの日、「風に吹かれても」「ガラスを割れ!」とあわせて計4曲のセンターに立った。「サイレントマジョリティー」で小林がセンターに立つのは、2019年6月26日「テレ東音楽祭2019」以来2回目。

*112:このあと欅坂46は日向坂46および内村光良とともに「坂道合同ステージ」として乃木坂46の「シンクロニシティ」に出演するが、ここに平手は参加していない。日付が改まり2020年になった直後には「CDTVスペシャル 年越しプレミアライブ2019→2020」で「黒い羊」のパフォーマンスが放送されたが、平手はここに参加しておらず、センターポジションは森田ひかるが務めた。

*113:ただし佐藤詩織はその後、新型コロナウイルスの感染拡大により予定していた留学を見合わせる事態となったことを受けて、5月2日付けで一時的にグループ活動に復帰している。当初はリモートでの活動復帰ということであったが、社会情勢の変化に合わせて、TBSのバラエティ番組「この差って何ですか?」(2020年6月16・23日放送)にスタジオから出演し、「欅って、書けない?」のスタジオ収録にも復帰したほか、2020年7月16日の無観客配信ワンマンライブ「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU ! 」にも出演するなど、他のメンバーと足並みを揃えて活動を続けている。

*114:この日は主演舞台「飛龍伝2020」の東京公演直前というタイミングでもあった。本当に、頭が下がる。

*115:2020年1月28日発売。収録時期は不明だが、おそらく平手が欅坂46在籍中に受けた最後の雑誌インタビューであったと思われる。

*116:この2020年2月16日時点で、「新2期生」(6人)の平均年齢は19.40歳。乃木坂46の「新4期生」(5人)は平均17.63歳で、日向坂46の「新3期生」(3人)は平均16.12歳である。また、同じくこの2020年2月16日時点で、「坂道合同新規メンバー募集オーディション」出身メンバー全体に広げて平均年齢を計算してみると、欅坂46の「2期生」(15人)は平均19.33歳、乃木坂46の「4期生」(16人)は平均17.89歳、日向坂46の「3期生」(4人)は平均16.05歳である。この日に加入した新メンバーを加えても平均年齢は各グループほぼ変わらないと言ってよいと思われ、「同期」内での年齢バランスを考慮しながら、二度にわたる新メンバー加入が行われたと評価することができる(なお、より実態を反映するため、ここでの計算においては満年齢を用いるのではなく、2020年2月16日時点での各メンバーの日齢を算出し、簡単のためにそれを365.25で除することによって得られる値を「年齢」とし、これの平均を「平均年齢」としている)。ちなみに、このように平均年齢が相対的に高い欅坂46「2期生」であるが、そのなかにあって山﨑天は2020年7月現在坂道シリーズ(吉本坂46を含む)における最年少メンバーであり、そうした意味ではかなり際立った存在といえる(グループ内で最も年齢が近い幸阪茉里乃でさえ、学年でいうと3年の差がある。また、グループ加入・配属時の年齢でいっても、山﨑はプロフィールが公開された2018年12月5日時点で13歳68日であり、欅坂46・1期生最年少の平手友梨奈は結成お披露目〈2015年8月21日〉時点で14歳57日、欅坂46「新2期生」最年少の幸阪茉里乃は配属発表〈2020年2月16日〉時点で17歳59日、ひらがなけやき1期生最年少の柿崎芽美は加入お披露目〈2016年5月8日〉時点で14歳158日、ひらがなけやき2期生最年少の濱岸ひよりは加入お披露目〈2017年8月15日〉時点で14歳321日、ひらがなけやき唯一の3期生である上村ひなのはプロフィール公開〈2018年12月6日〉時点で14歳238日であり、これらの例より年少であったということになる。ただし、乃木坂46・1期生最年少の齋藤飛鳥が結成お披露目〈2011年8月21日〉時点で13歳11日、乃木坂46・3期生最年少の岩本蓮加が加入お披露目〈2016年9月4日〉時点で12歳215日という例もある。また、「新2期生」の加入を経ても山﨑がグループ最年少であることは変わらなかったということでもあるが、これは3グループとも同じで、乃木坂46でも「新4期生」の加入を経ても最年少は筒井あやめのまま変わらず〈新加入で最も生年月日が近いのは黒見明香だが、黒見は筒井の1学年上〉、日向坂46でも「新3期生」の加入を経ても最年少は上村ひなののまま変わらなかった〈新加入で最も生年月日が近いのは森本茉莉・山口陽世だが[このふたりは2004年2月23日生まれで生年月日が同じ]、森本・山口は上村の1学年上〉)。また、「坂道合同新規メンバー募集オーディション」組のなかでの最年長は松平璃子で、これに続くのが関有美子と田村保乃であり、年長者の上から3人が欅坂46所属であることになる(この3人は1998年生まれの同学年である。このほか、他グループでは乃木坂46の田村真佑と弓木奈於が早生まれの同学年)。また、グループ加入・配属時の年齢でいうと、欅坂46「新2期生」最年長の遠藤光莉は配属発表時の2020年2月16日時点で20歳305日であり、松平璃子のプロフィールが公開された2018年12月5日時点での年齢20歳214日を上回っている(欅坂46・1期生最年長の渡辺梨加は結成お披露目〈2015年8月21日〉時点で20歳97日、ひらがなけやき1期生最年長の井口眞緒は加入お披露目〈2016年5月8日〉時点で20歳180日、ひらがなけやき2期生最年長の宮田愛萌は加入お披露目〈2017年8月15日〉時点で19歳109日であり、これらの例にも上回っている。ただし、乃木坂46「新4期生」最年長の弓木奈於が配属発表〈2020年2月16日〉時点で21歳13日であり、「坂道合同新規メンバー募集オーディション」組のなかではこれが最年長であるほか、乃木坂46・3期生の吉田綾乃クリスティーが加入お披露目〈2016年9月4日〉時点で20歳364日という例もある。乃木坂46の1期生・2期生はオーディション応募の上限年齢がここまでの例と異なるため、ここでは参照しない)。

*117:関有美子・田村保乃・森田ひかる。1期生からは、小林由依菅井友香土生瑞穂守屋茜渡邉理佐が出演。

*118:本稿でも繰り返し引いてきた、『CUT』2020年4月号、『CM NOW』2020年5-6月号、シネマトゥデイ『僕たちの嘘と真実 DOCUMENTARY of 欅坂46』菅井友香 単独インタビュー」など。映画の内容に関連させる形で欅坂46の歴史が振り返られる場面も多く、本稿執筆にあたっては大いに助けられた。

*119:「デビュー1周年記念ライブ」の開催発表は2017年3月4日、「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」の開催発表は2018年3月3日、「3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」(大阪公演)の開催発表は2019年2月28日であった。

*120:大規模イベントの一例としてあげると、この2月26日はPerfumeの東京ドーム公演2日目であったが、要請を受け会場1時間半前に中止が決定している。一般的なライブの開催については、この日を境にほぼ絶望的となった。

*121:(まったく関係ない話であるが)2月21-24日には乃木坂46の「8th YEAR BIRTHDAY LIVE」がナゴヤドームで開催され、筆者も全日参加したのだが、いま改めて開催日(乃木坂46のデビュー日は2012年2月22日であり、通常はこの日にあわせてライブが設定される)と当時の社会情勢を見比べてみると、開催できたこと(そして感染者が現れなかったこと)は豪運としか言いようがない(ただし、3月7日・代々木第一体育館での開催が告知されていた「『乃木坂46オールナイトニッポン』presents 乃木坂46 2期生ライブ」はチケット発売後に中止に追い込まれたほか、5月5-7日には東京ドームで白石麻衣卒業コンサートが開催予定であったことが明かされている。このことを受け、卒業コンサートの延期とともに、白石麻衣のグループ卒業も無期限延期の状態にある)。

*122:小林由依土生瑞穂渡辺梨加渡邉理佐・藤吉夏鈴・森田ひかる・山﨑天。藤吉・森田・山﨑はこの日が初ランウェイであった。

*123:3月31日収録分は、#229-230(4月26日・5月3日)で放送。その後3月17日収録の#231-232(5月10・17日)を挟み、#233(5月24日)から#240(7月12日)まではリモートでの収録分の放送となった。

*124:これに先立ち、5月5-7日には乃木坂46が「真夏の全国ツアー2017 FINAL! IN TOKYO DOME」を配信しており、これと同様の形式での配信であった。

*125:一方で、5月29日の配信冒頭では、「欅共和国2020」の開催見送りも発表されている。

*126:ただし、7月6日の出演メンバーは日向坂46の河田陽菜と渡邉美穂。生放送再開後最初の欅坂46メンバーの出演は、7月20日石森虹花佐藤詩織

*127:2015年8月21日がグループの結成日、2018年11月29日が2期生9人の、2020年2月16日が新2期生6人の加入日。

*128:欅坂46は、菅井が発声する「謙虚、優しさ、絆」の通常の円陣のあとで、メンバーどうしが親指と小指をつなげる形のより密集した「ミニ円陣」を行うことが恒例になっており、こちらの声出しは守屋茜が行う。守屋「みんなで組む大きな円陣だと、大きな輪になるからメンバーとの(物理的な)距離が近くならないんです。だから、小さな輪になって、みんなで指でつながって、心がひとつになるように円陣をするんです。それがミニ円陣。それでさらに気合いが入るように。」(『BUBKA』2020年3月号 p.8)

*129:テレビでのパフォーマンスでは、2020年1月1日の「CDTVスペシャル! 年越しプレミアライブ 2019→2020」で、「黒い羊」のセンターを森田ひかるが務めている。

*130:菅井のスピーチの全文はこちらで参照できる。

*131:デビュー前まで広げても、2015年12月16日「2015 FNS歌謡祭 THE LIVE」・2016年1月30日「ALL LIVE NIPPON VOL.4」・2016年2月28日「スカパー!音楽祭」で披露された「制服のマネキン」(乃木坂46のカバー)でもセンターに立っている。「スカパー!音楽祭」では加えて武部聡志とのコラボレーションの形で「君の名は希望」(同)も披露され、このときはピアノを囲んで弧を描くようなフォーメーションの上手側の端でありセンターとはいえないが、先頭に立ってパフォーマンスしたような形であった。デビュー後も欅坂46名義の作品のほか、第1回の坂道AKBに参加した際にも「誰のことを一番 愛してる?」でセンターに立ち(第2回以降には参加していない)、2019年12月31日の「第70回NHK紅白歌合戦」で欅坂46が日向坂46および内村光良とともに乃木坂46の「シンクロニシティ」に加わった際のパフォーマンスには参加しなかった。ユニット曲まで広げて、唯一の例外といえそうなのが1stシングル所収の「乗り遅れたバス」で、これはグループに特例で遅れて加入し、表題曲「サイレントマジョリティー」などの歌唱メンバーに選出されなかった長濱ねるの境遇に重ねて書かれた曲であり、メインボーカルを長濱が務め、そこに今泉佑唯小林由依鈴本美愉渡辺梨加および平手(1stシングルフロントメンバー)が参加する形となっていた(この曲が最後にオリジナルメンバーで披露されたのは、2017年4月6日の「デビュー1周年記念ライブ」。その後2017年7月6日「ひらがな全国ツアー2017」Zepp Nagoya公演でひらがなけやきのメンバー〈井口眞緒加藤史帆、佐々木久美、東村芽依〉とともに披露されている。なおこの公演は、長濱がひらがなけやきのメンバーとして参加した最後のライブである)。このほか平手が参加したユニット曲は3rdシングル所収の「夕陽1/3」(長濱・今泉・小林との「てちねるゆいちゃんず」名義)、4thシングル所収の「微笑みが悲しい」(長濱との「てち&ねる」名義)、1stアルバム所収の「AM1:27」(小林・鈴本と3人のユニット)の3曲だが、「夕陽1/3」「微笑みが悲しい」は偶数人のユニットでありセンターポジションというものはなく、「AM1:27」は3人のフォーメーションで、センターは平手である(2018年7月20-22日の「欅共和国2018」および「夏の全国アリーナツアー2018」の各公演では「全員曲」として平手をセンターに置いて披露されてもいる)。