坂道雑文帳

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欅坂46がいちばん多く披露した楽曲ってどれだと思いますか?

 前回の記事(「欅坂46ベストアルバム「永遠より長い一瞬」には、何が収録され、何が収録されていないのか」)で「この楽曲はこのときが初披露」「この楽曲の映像化はこのときが最初で最後」みたいなことをひたすら調べて書きまくったら、だんだんいろんなことが気になり始めて、結局欅坂46の全パフォーマンス(単独ライブ、音楽番組、フェス系、ファッションイベントなど、とにかく人前でやったり放送に乗ったりしたものはぜんぶ)をひとつずつ追って数えることになってしまいました。

 Wikipediaには「欅坂46のライブ・パフォーマンスの一覧」という、他のアーティストではあまり見たことのない立て付けの項目があり、また「Livefans」などのセットリスト情報サイトにもていねいに情報がまとめられています。いわゆるまとめサイトにも、特に古株のサイトは結成からの全イベントをおそらく記事にしてきたのだろうというところもあります。しかし、楽曲がパフォーマンスされた回数を集計したようなものは見つかりませんし(どこかにはあるのかもしれませんが)、WikipediaやLivefansにはレギュラー放送の音楽番組についてはまとめられていません(「菅井友香が「真ん中」に立った日(5年間の“欅坂46”によせて)」を書いたときからこれらのページはかなり参考にさせていただきましたが、そこが痛し痒しという感じでした。また、特にWikipediaは当該ページに限らずけっこう粗が目立つという印象です)。

 そういうわけで、ぜんぶ列挙して集計してみました、というのがこれです。

 ほぼ作業用のシートという感じで、見やすいものではありませんが、ご容赦いただければと思います。「音楽番組・イベント」のシートがかなり大変でした。Wikipediaに文句を言う割に、まあこのデータもどこまで正確か、集計にミスはないかはまったくもって自信がないのですが、筆者としては最善を尽くしたつもりです。

 以下はこのシートをもとに、わかったことや見えたものをダラダラと書いていきます。それだけの記事なので、ぶっちゃけシートを見ていただければそれで済みます。

 

データはすべて2020年9月30日までの情報をもとに作成しています。10月12-13日の「THE LAST LIVE」、および10月17日放送の「SONGS」をふまえて、後日全体を更新する予定です。更新しました(10月17日)。以後はミスの修正以外では基本的に加筆・修正はしないつもりです。

 

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・いちばん多く披露したのは結局……

 もったいぶるのもめんどうなので最初に書いてしまいますが、欅坂46がいちばん多く披露した楽曲は「サイレントマジョリティー」です。約4年半で93回の披露がありました。これだけ書いてみるとなんのおもしろみもない結果なのですが、カウントしてみた側としてはけっこうおもしろかったです。

 2位以下、10位までをあげておきます(それ以下は「ランキング」のシートを参照してください)。2位が「二人セゾン」(90回)、3位が「風に吹かれても」(80回)、4位が「世界には愛しかない」(75回)、5位が「エキセントリック」(69回)、6位が「アンビバレント」(68回)、7位が「語るなら未来を…」と「危なっかしい計画」(66回)、9位が「手を繋いで帰ろうか」(56回)、10位が「キミガイナイ」(47回)です。

 「二人セゾン」が90回ということで、「サイレントマジョリティー」とかなりの僅差です(この差であればカウントミスで逆転することさえあり得ます)。作業順序として、単独ライブをすべて計算したのち、音楽番組および外のイベントなどを足し合わせるという形で集計したのですが、「サイレントマジョリティー」は「夏の全国アリーナツアー2019」など、主要なライブでセットリストに入らないケースが割とみられた楽曲でもあり、3年間にわたってツアーのセットリストから外れたことのない「語るなら未来を…」「エキセントリック」「危なっかしい計画」が、集計を始めた段階ではかなり回数が多かったです。

 当然、表題曲は音楽番組での披露がありますし、イベントでの披露も多くなりますから、その後の作業で回数を伸ばしていくことになるわけですが、それでも単独ライブのみを集計すると「二人セゾン」が「サイレントマジョリティー」を20回以上上回っており、これはさすがに逆転しないのではないかと思いながらの集計作業でした。

 しかし、「サイレントマジョリティー」は想像以上に外のイベントでの披露が分厚かったです。それは2016年夏〜秋頃にはグループとしてさまざまなイベントに積極的に出ていたということでもありますし、それ以降になっても、名刺代わりの代表曲として長く用いられたということでもあります。ただやはり近年では後景に退いていたとでもいいましょうか、全体の披露回数の3分の2を超える66回が2017年までのものです。

 また、このなかで傾向としておもしろいのは「キミガイナイ」です。1stシングルのカップリング曲ですが、初期における披露回数はあまり多くなく(2016年は12回、2017年は2回)、披露回数の約7割が2018年以降に集中しており、2018年と2019年ではともに「欅共和国」とツアーの全公演で演じられています。2018年以降で計算すると、「サイレントマジョリティー」「手を繋いで帰ろうか」「世界には愛しかない」あたりよりも披露回数が多いということになります。強さや明るさが押し出された楽曲でもなく、かといって暗くもない独特の柔らかい雰囲気があり、「全員曲」が多く演じられるようになっていったセットリストにおけるアクセントの役割を果たしてきたといえるのではないでしょうか。

 

・表題曲に注目してみると

 重複しますが、表題曲の披露回数も比較してみましょう。1位が「サイレントマジョリティー」(93回)、2位が二人セゾン(90回)、3位が「風に吹かれても」(80回)、4位が「世界には愛しかない」(75回)、5位が「アンビバレント」(68回)、6位が「ガラスを割れ!」(43回)、7位が「不協和音」(31回)、8位が「黒い羊」(14回)です(「誰がその鐘を鳴らすのか?」は11回)。

 初期の楽曲ほど披露回数が多いというのが当然の傾向であるわけですが、やはり「ガラスを割れ!」と「不協和音」が少ないです。「ガラスを割れ!」は「夏の全国アリーナツアー2018」最終日で平手友梨奈がステージから転落する事件があった以降、「不協和音」は2017年の「紅白歌合戦」以降、それぞれ平手をセンターに置いたものとしては東京ドーム公演まで封印状態にあったので当然といえば当然ではありますが、それにしたって「不協和音」が少ないです(全国ツアーで演じられたことがほぼなかった〈2017年にアンコールで3回演じられたのみ〉こともかなり響いています)。

 話が少しそれますが、「不協和音」は披露回数だけでなくライブでの披露順でもかなりヘビー級の楽曲であったことがわかります。単独ライブでは、アンコール・ダブルアンコール*1または本編最後*2でしか演じられたことがありませんでした。数は多くありませんがフェスなどのイベントでも、最後の楽曲としてしか演じられたことがありません*3。ほぼラスボスのような扱いを受けています。最も盛り上がる部類の楽曲であることももちろんあるでしょうが、それよりも体力の消耗が激しいということもありましょう*4

 また、最新(最後)のシングルCDの楽曲ではありますが、それでも「黒い羊」も披露が少なかったといえるでしょう。一方で割に多く披露されたのは「風に吹かれても」と「アンビバレント」です。積極的にセットリストに入れられる傾向があったことに加え、それぞれ2017年・2018年の年末の音楽番組で一貫して演じられたので、それもかなり効いています。特に「風に吹かれても」は10月という時期にリリースされたという背景があり、レギュラー放送の音楽番組の時期と年末の音楽番組の時期がシームレスにつながり、2か月強で14番組で演じられるという状況がありました。この時期は確かに「風に吹かれても」ばかりやっていたな、という印象が強いです。

 

・ユニット曲、ソロ曲

 ユニット曲およびソロ曲でいうと、最も披露回数が多いのは「AM1:27」(32回)ですが、これは近年はほぼ「全員曲」として取り扱われており、これにより回数が多くなっているという事情があります。これに続くのが「青空が違う」と「僕たちの戦争」(各25回)で、ユニット曲としてコンスタントに披露されてきたのがこの2曲といえるでしょう(ともに2016年リリースであり、かつ全国ツアーで披露されたことはなく、一方で「欅共和国」では3年連続で披露されています)。これに「渋谷川」(25回)も並んでいますが、このうち20回が2016年の披露で、初期に外のイベントで披露されたことが多かったことが大きいです*5。これ以降はどの楽曲も、多くても「だいたいツアー1回分+α」くらいの披露回数になってきます。

 ソロ曲でいちばん披露回数が多いのは「100年待てば」(20回)で、これに続くのが「山手線」「渋谷からPARCOが消えた日」「また会ってください」の9回なので、「100年待てば」が突出しているといえます。2017年の全国ツアーで演じられたことが大きく影響しているということができ、ツアーで各公演を通して演じられたソロ曲はこれのみです*6

 近年は特に、ライブにおいてはユニット曲やソロ曲が演じられにくい傾向が続いており、このこともあって全体的に回数がおさえられていると評価することができるかと思います。正真正銘1回きりの披露であった「チューニング」「自分の棺」、複数公演があったものの「そのときだけ」の披露であった「夏の花は向日葵だけじゃない」「1行だけのエアメール」「夜明けの孤独」「立ち止まる手前で」などなかなかレアだったものや、一度も披露されなかった「日が昇るまで」も含めて名曲も多いなと感じており、いつか何かの形で顧みられることがあればいいなと思います。

 

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 まとまりませんが、このへんにしておきます。シートを作って集計した時点でだいたい終わりのような感じだったので、ほぼおまけのような形で書いた、という感覚です。繰り返しになりますが、シートを見ていただければそれで済みます。

 まあどのくらい精密かはさておき、数字がはっきり出たのはすっきりしました。これで先に進める……という気持ちがある一方で、「代打センター」やパフォーマンス参加メンバー(欠席メンバー)など、数字を見てみたいものがまだあるな、という気もします。やるかもしれないし、やらないかもしれません。今回のところは、ここまでということで。

 

 

 

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*1:「欅共和国2017」、全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」3公演、東京ドーム公演。

*2:「1st YEAR ANNIVERSARY LIVE」、「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」(菅井友香センター)。

*3:2017年5月3日「GirlsAward 2017 SPRING/SUMMER」、2017年8月12日「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017」、2017年9月27日「MTV VMAJ 2017 -THE LIVE-」、2018年5月6日「ビバラポップ!」(菅井友香センター)、2019年12月28日「COUNTDOWN JAPAN 19/20」(菅井友香センター)。

*4:その後2020年10月12日の「THE LAST LIVE」1日目で、17曲中の13曲目として演じられ、これがアンコール・ダブルアンコールまたは本編最後以外で演じられた初めての例となりました。

*5:2016年に出演したフェス系のイベントでは、「渋谷川」でステージを始めたあとにOvertureを挟んで「本編」が始まるような形が定番となっていました。

*6:ほか、2017年の全国ツアーで「夏の花は向日葵だけじゃない」が2回と「自分の棺」が1回、2018年の全国ツアーで「夜明けの孤独」が2回演じられています。追加公演を含めるなら東京ドーム公演で「角を曲がる」が1回演じられてもいます。